「オレンジワイン」とは、赤ワインと白ワインの中間のようなワインのことです。果物のオレンジを使ったワインというわけではありません。
そのつくり方は、「白ぶどうを使って、赤ワインのようにつくる」と説明することができます。
一般的に白ワインを作る場合、収穫したぶどうから果皮や種の固形物を取り除き、果汁を取り出します。その果汁のみを発酵させるという方法で、ワインがつくられます。
一方、オレンジワインの場合は、白ぶどうの果汁を果皮や種ごと漬け込みながら、発酵させてワインを作ります(赤ワインは黒ぶどうを使い、果皮や種ごと漬け込んで作ります)。そうすることで、皮や種の成分が液体に移り、通常の白ワインとは違ったオレンジっぽい色合いをもつワインになるのです。
こうして皮や種の成分を活かしたつくり方によって、オレンジワインは通常の白ワインに比べて渋み成分であるタンニンを豊富に含むワインになります。タンニンは抗酸化作用をもつため、亜硫酸塩の添加を最小限に抑えられるというメリットもあり、よりナチュラルなワインを好む人にも人気となっています。
味わいの特徴は、果皮や種由来の複雑な旨みがあり、ほどよい渋さがあること。お肉料理と非常にマッチするワインです。
オレンジ色の濃いものは、渋みが強く、薄いものは渋みも穏やかです。この色や渋みの強さは、どれくらいの期間、果皮や種を果汁と接触させておくかによって決まってきます。
最近よく耳にするようになったオレンジワインですが、その起源は約8000年前までさかのぼります。
発祥の地は、東ヨーロッパの「ジョージア」という黒海とカスピ海に挟まれた小さな国。
ジョージアの伝統的なワインの製法は、「クヴェヴリ」という磁器の中に果皮と果汁を一緒に入れて、地中に埋め、長い時間をかけてゆっくり発酵・熟成させるという方法です。しかし、長い間イスラム教国家やソ連の支配下にあり、ワインづくりは下火になってしまいました。
そんなオレンジワインを現代にもう一度広めたのが、イタリア・フリウリ州の自然派ワインの生産者たち。ラディコン、ヨスコ・グラヴナーらがジョージア流のワインづくりをはじめ、今ではフリウリ州は世界有数のオレンジワインの産地となっています。
ちなみに「オレンジワイン」は、2000年代から使用されはじめた造語で、もともとジョージアでは「アンバー(琥珀色の)ワイン」と呼ばれていました。どちらの名前も市場に浸透しているので、「オレンジワイン」=「アンバーワイン」と覚えておくと便利です。
オレンジワインは冷やすとやや渋みが際立って感じられるため、あまり冷やさずに飲まれることが多いです。