ワインと言えば、木製の「オーク樽」のイメージが強いかもしれませんが、最近ではステンレスタンクを使用するワイナリーが増加傾向にあります。
ステンレスタンクには、おおまかに下記のような利点があります。
- 気密性が高く、ワインの酸化が防止できる
- 木樽と比べ、耐久性に優れ経済的
- 温度管理がしやすい
衛生的で、温度コントロールがしやすいステンレスタンクを使用することで、ワイナリーは大量のワインを安定的に供給することが可能になります。さらに、木樽と比べて長期間使用できることも、ワイナリーの経済的な負担軽減に繋がっているのです。
しかし一方で、木樽のワイン特有の風味をステンレスタンクで再現することは難しいとも考えられています。
ワインを木樽で熟成する場合は、木樽がわずかに通す酸素で、ゆっくりと熟成が進みます。加えて、その木樽特有の成分がワインに移り、ワインに深みや複雑さが加わります。
ワイナリーは、木樽とステンレスタンクのそれぞれの特性を理解した上で、自分たちのワインづくりに適した方を採用します。また、両方をつくるワインによって使い分けたりもします。
NZは、ステンレスタンクを採用しているワイナリーがとても多い国です。それは、NZではもともと酪農が盛んであり、その生乳の管理にステンレスタンクを使っていたから。酪農からワインづくりに転向した生産者は、生乳用のステンレスタンクの扱いに慣れていたため、ワイン用のステンレスタンクも自在に操ることができたのです。
また、NZのワインは、化学物質を極力使わないオーガニックワインが多く、微生物が豊富に含まれる原料でも衛生的にワインを管理できるステンレスタンクが選ばれる傾向にあります。