マオリ族は、ニュージーランドにイギリス人が入植する前から住んでいる先住民族です。
諸説ありますが、約1,000年以上前にポリネシア諸島の「ハワイキ」という島からカヌーに乗ってやって来たといわれています。
「マオリ」とはマオリ語で「普通の人」という意味で、別の呼び方で「タンガタ・フェヌア=この土地の人」ともいいます。
ニュージーランドでは人口の約15%がマオリ族で、彼らの伝統的な生活や文化は大切に守られています。
マオリ族には独自の文字体系がなかった為、口語や踊り、彫刻、タトゥーなどでその文化が継承されてきました。
その最も有名なものは「ハカ」と呼ばれる民族舞踊で、ラグビーのニュージーランド代表オールブラックスが試合前に踊ることでも知られています。ハカは、もともとマオリ族の戦士が自らの士気を高め、相手を威嚇するために舞う舞踊です。
マオリの文化はワインづくりにも影響を与えていて、ワイナリーやワインの名前にもマオリ語が起用されることも多くあります。
また近年、NZのワインづくりで重視とされている考えが「トゥーランガワエワエ」というマオリの言葉。「私の立っている場所」という意味です。
この「トゥーランガワエワエ」は、ぶどうが育ちワインがつくられる環境「テロワール」とも似ていますが、微妙にそのニュアンスは異なります。
「テロワール」が、ワインをつくる人間から畑などの自然環境を見た言葉であるのに対し、「トゥーランガワエワエ」は、自分がその土地を耕し、またその耕された土地から自分も影響を受ける、そんな自然と人間の相互関係を表した言葉といわれています。