複数の品種の果実を混ぜて発酵することを、混醸(こんじょう)といいます。
「フィールドブレンド」とは、同じ畑に異なる品種を植え、そこで実った多品種のぶどうを混醸することを指します。
同じ「ブレンド」でも現代の一般的なブレンドワインの多くは、品種ごとに栽培・醸造して、ワインになった状態でブレンドします。
それに対してフィールドブレンドは、古来の庶民的なつくり方を復刻させたような製法です。
古来ヨーロッパの庶民的なワインといえば、それぞれの家の畑で実ったぶどうを使い、自分の家でつくる「地ワイン」が一般的でした。その際、どんな品種かはあまり意識することなく、そこに植わっているぶどうを収穫し、踏み潰して自然に発酵させるという、現代から考えるとかなり大雑把なつくり方をしていました。
こういった古い手法はやがて洗練され、現代のような「品種ごとに畑を分けて植え」、「品種ごとに収穫、醸造を行う」というスタイルへと変わっていくことになります。
しかし、そういった洗練された方法ではなく、現代の技術を使いながらも、あえて古来の混植・混醸というスタイルを復刻させてつくろうというのがこのフィールドブレンド。
ぶどうは品種によってベストの収穫時期は異なりますが、このフィールドブレンドでは、ひとつの畑に色んなぶどうを混ぜて植えていても、品種ごとに収穫時期を変えるということはありません。全体をみて「今だ!」というタイミングで収穫して、一気に仕込みに入るのです。
昔ながらの混植・混醸を取り入れつつ、そこで現代の栽培・醸造の技術を駆使し、味わいを上手くコントロールする。
そんなフィールドブレンドは、ぶどうの品種の個性を表現することに重点を置くのではなく、畑そのものを表現するつくり方ともいえるでしょう。