NZ News & 雑学

スキー場や森林の維持。地域コミュニティーで助け合い

スキー場や森林の維持。地域コミュニティーで助け合い

海外からの観光客は戻りつつあるものの、新型コロナウイルスや異常気象の影響が続くニュージーランド。 そんな中、地域の人々が協力し合い窮地に陥った施設や店舗を支援する動きが広がっています。今回は、そんな助け合いのニュースをお届けいたします。 スキー場を守ろう! 北島の中心部に位置するトンガリロ国立公園。その公園の中心には「ルアペフ山」という火山があり、その斜面に広がるスキー場は、冬の人気観光スポットとして知られています。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大時に行われたロックダウンによる業績悪化に加え、悪天候等も重なり、70年近く続くスキー場の管理会社がVoluntary Administration(任意管理)となりました。任意管理とは、ニュージーランドやオーストラリアでとられる会社更生または破産に向けて行われる手続きのこと。 現在はとりあえずの資金が投入され、これから始まるスキーシーズンに向け、新しいシーズンパスの内容が発表されるなどしていますが、今後運営がどうなっていくのかはまだ不透明です。 そこでこのスキー場を守るために、クラウドファンディングで600万〜1,000万ドル(日本円で約5億〜9億円)を集めようという計画が持ち上り、株主やスキー場の生涯パスを持つ人たちによる呼びかけが始まっています。 この今回のスキー場を守るクラウドファンディングのアイディアは、7年前のある成功事例をもとに発想を得て、計画が進められたそうです。 それは、4万人から約2億円の寄付を集め、かつ政府から約4,000万円の支援を受けて、法人の所有だった南島北端のアビーチを公的化し、国立公園の一部として管理することに成功したという出来事でした。 今年のスキーシーズンは海外からの観光客数も増える事が予想されており、ここが踏ん張りどころ。地元の企業や小売店などももスキー場の復活に期待を寄せています。 人々がアクティビティやスポーツを楽しむことができるニュージーランドの美しい自然を、地域の人々で守っていこうとする動きは今後も大きくなっていきそうです。 ニュージーランドで一番小さな鳥 マオリ語で“Titipounamu”(ティティポウナム)英語では“Rifleman”(ライフルマン)と呼ばれるニュージーランドで一番小さな鳥が、北島西海岸の街Taranakiから車で2時間ほどの保護区域の森にお引越しをし、ニュースになりました。 ティティポウナムは鳥綱スズメ目イワサザイ科に属する鳥で、そのルーツは古く、その昔南半球に存在したと考えられているゴンドワナ大陸からの生き残りと言われています。 有害な昆虫から森を守るには、それらを食べてくれる鳥たちの力が不可欠。今回このティティポウナムのお引越しは、鳥そのものを保護していくだけでなく、森を以前のような健康な状態に戻すため、2021年から計画されていました。 今回お引越しした60羽のティティポウナムは、体重がたった4.5g〜7g。地域の人たちによるセレモニーも行われ、盛大な(でも鳥たちを驚かせないよう小さな声で)歓迎を受けました。 すでに森に住む他の鳥たちと共に、森を守りながら鳥たちも元気に数を増やしてくれるといいですね。 レストランで60人の予約がキャンセル サイクロンによって大きな被害を受けたホークスベイにあるレストランで、なんと60人キャンセル、という事態が発生。 こちらのレストラン、土曜日の夜にパーティーの予約が入り、貸切の予定でした。しかし時間になっても誰も来ない・・・。 そこでお店は1人もいないレストランの様子をFacebookに投稿。急遽1人4,000円で食べ放題、とアナウンスすると、地元の人たちが大勢集まってくれたそうです。 この様子は国営放送のニュースでも取り上げられました。出演したお店の人は 2ヶ月経った今でもサイクロンによる被害の影響は続いています。でも地域の人たちは後片付けを続けたり、自宅を避難場所として提供したり、炊き出しを行うなど、ずっとお互いを助け合っています。今回はたまたまうちが困っていたのですが、それにもすぐに答えてくれて。地域のつながりを感じました。 とコメントしています。 →Community rallies to help restaurant...

滋賀県・米原で4/15に「ニュージーランド災害復興支援イベント」開催

滋賀県・米原で4/15に「ニュージーランド災害復興支援イベント」開催

当サイトでもたびたびお伝えしているとおり、今年2月にニュージーランド北島をサイクロンが襲い、大きな被害をもたらしました。 今回のサイクロン・ガブリエルによって、ニュージーランドでは史上3度目の非常事態が出され、ヒプキンス首相は「被害の深刻さは、これまでに経験したことのないものだ」と発言。 およそ1万人もの住民が住居を失い、被害総額は日本円にして1兆円以上にも上ると言われています。 この被災者への支援に立ち上がったのが、滋賀に本社を構える「大沢ホールディングス」です。 大沢ホールディングスは、水害の被災地であるホークス・ベイでワイナリー「OSAWA WINES」を経営しています。また、地元滋賀の米原市には複合型観光施設の「English Garden ローザンベリー多和田」を運営しています。 そして今回、そのローザンベリ―多和田にて「ニュージーランド災害復興支援イベント」が開催されることが決定しました。 集まった義援金は、ニュージーランド赤十字を通して、現地の災害復興に充てられます。 開催概要は以下の通りです。 【開催場所】 English Garden ローザンベリー多和田(米原市) 【開催日】 2023年4月15日(土)のみ 【時間】 開園時間に準ず(10時00分~17時00分/入園最終受付~16時30分) English Garden ローザンベリ―多和田にて、2023年4月15日(土)の入園料とBBQ場で提供するメニュー(一部のぞく)の売り上げの一部が災害復興支援の義援金として寄付されます。 また、当日は、OSAWA WINESのSingle Estate Vineyard(自社単一ブドウ畑)産ワインの協賛もあります。 詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。 → ニュージーランド災害支援チャリティー |...

サイクロン被害状況。ホークス・ベイのぶどう収穫量25%減

サイクロン被害状況。ホークス・ベイのぶどう収穫量25%減

先月、ニュージーランド北島を襲ったサイクロン・ガブリエル。史上3度目となる国の非常事態宣言が出され、今世紀最大の自然災害と言われるほど、大きな被害をもたらしました。 そして少しずつ復興が進む中、被害の詳細がわかってきました。中でも農業、林業、畜産、酪農は特に大きな打撃を受けています。 気になるワイナリーの状況はどうなのでしょうか。詳しくお伝えします。 25%のぶどうが被害に 今回被害に遭った北島の東部には「ホークス・ベイ」というワイン産地があります。ホークス・ベイは、ニュージーランドで最も歴史のあるワイン産地の一つであり、国内では2番目に広いワイン産地で、100ほどのワイナリーがあります。ボクモワインでも人気のある産地ですが、サイクロンとその後の大雨により残念ながら予想される収穫量の25%にあたるぶどうが被害を受けました。 ホークス・ベイには東京ドーム約1,000個分、約4,800ヘクタールのぶどう畑が広がっています。しかし今回の災害で300ヘクタールの畑が、地滑りや洪水の被害に。そして、その内140ヘクタールのぶどう畑(3,000トン分のぶどう)が完全に破壊されました。 また、サイクロンの後の大雨では7,000トン分のぶどうが被害に。ホークス・ベイでは毎年40,000トンのぶどうが収穫されており、例年の収穫量の約25%が被害を受けたことになります。また、200近いワイン関連の事業者のうち、40の事業者が大きな影響を受けているそうです。 被害の修復にかかる費用は約1,200万ニュージーランドドル、日本円で約10億円と予想されています。 現在は、被害を免れたぶどうの保護が優先されており、ぶどう栽培学の専門家が修復のサポートにあたっているそうです。また、今回被害にあった人々の心のケアや、経営支援などにも専門家による支援プログラムが導入されています。 最近では、こんなチャリティーイベントも。 ホークス・ベイのワイナリーの一つ、Elephant Hill(エレファント・ヒル)で、犬と飼い主のウォーキング・イベントが開催されました。 参加者は愛犬と一緒にワイナリーを散歩するだけでなく、ワインの試飲も楽しめたそうです。わんこたちにも、サーモンのおやつが振る舞われました。このイベントの参加費用は、サイクロン被害の復興団体に寄付されるとのことです。 りんごや梨も被害に ホークス・ベイはりんごや梨の名産地としても知られており、ホークス・ベイ産のりんごは、日本にも輸入されています。 そして、今回の災害で果樹園も大きな被害にあいました。収穫予想量は、例年より33%減少する見込みであるとのこと。そして、この影響で国全体の果物の収穫量も、1月時の予想と比べると、21%減少しています。 しかし、被害のあった土地とそうでなかった土地には明確な差があり、影響を受けなかった土地からは今年も多く収穫が見込める様です。 日本でも人気があり、ホークス・ベイでも収穫の多いJazz Appleは、日本のりんごがオフシーズンとなる5〜8月に出回ります。日本に輸入されているなんと97%のりんごは、ニュージーランド産だそうです。今年の輸入量はどうなるのでしょうか。 政府が支援額を追加 ニュージーランドの農業、林業、漁業等の第一次産業を管轄するMinistry for Primary Industries(略してMPI、第一次産業省)は、当初、ホークス・ベイ地方の復興に2,500万ドル(日本円で約20億)の支援を発表していました。しかし、すぐに2,600万ドル(日本円で約22億)が追加され、トータル5,100万に。 助成金はまず、二次災害を最小限に抑えるため、畜産や酪農に必要な牧場の柵や水回りの修復に使用され、次に地滑りの被害を受けた森林や畑の土砂の撤去に優先的に使われるようです。 農業においては、1ヘクタールにつき2,000ドル(最高40,000ドルまで)、牧場では最高10,000ドルの助成金申請が可能であるそうです。 ニュージーランドの大きな産業に大きな打撃を与えたサイクロン。今後も政府のさらなる支援が求められています。

「女性」や「マオリ文化」に注目。ニュージーランド航空の特別フライト

「女性」や「マオリ文化」に注目。ニュージーランド航空の特別フライト

新型コロナウィルス感染拡大の対策として行っていた入国規制が全て解かれ、海外からの観光客数が戻りつつあるニュージーランド。ニュージーランド航空の利益も伸びているという明るいニュースも届いています。 そんなニュージーランド航空では、以前より様々な取り組みを行っており、度々話題になっています。今回は、その中でも最近話題になった取り組みをご紹介します。 すべて女性クルーでお祝い 女性の地位向上や男女平等を推進する目的で国連が制定した3月8日のInternational Women’s Day(国際女性デー)と、航空業界の女性の活躍を促す週間、Women Of Aviation Worldwide Week(航空業界の女性国際週間)を記念し、オークランドを出発した3便が、女性クルーのみで運行されました。 このビデオでは、まず機長を務めるレイチェルさんが 子供の頃から飛行機と働くのが夢でした。そして今年、ニュージーランド航空で飛び始めてから16年目を迎えます。 と語り、副操縦士のペニーさんが 毎朝、世界で一番の“オフィス”で働ける、そう目覚められる幸せ。 とコメントしました。 このビデオでは、フライトを担当した2人の女性パイロットだけでなく、キャビンクルー、整備、空港で働く大勢の女性たちの姿が映し出されます。 そして最後は いつの日か、私たちが「女性パイロット」ではなく、ただの「パイロット」と見てもらえる日が来ることを願っています。 というメッセージで、締めくくられました。 すべてマオリ語で運行 ニュージーランド航空は、オークランドで開催されたTe Matatini(テマタティーニ)と呼ばれるマオリの歌や踊りなどのパフォーマンスのコンテストとコラボレーションし、Te Matatiniに向かう参加者を乗せたウェリントン〜オークランド便を、すべてマオリ語で運行しました。これは初めての試みであるそうです。 搭乗前には、ロビーでマオリの歌と踊りで乗客を見送り、搭乗アナウンスからパイロットやキャビンクルーからのアナウンスもマオリ語で行いました。(安全に関わるアナウンスは、英語でも行われました。) そして、機内ではクルーによるパフォーマンスも行われました。 先住民であるマオリ族の文化を大切にする取り組みが多く行われているニュージーランド。Te Matatiniの責任者、ヘレウィニ・パラタさんは、 このコラボレーションは私たちのユニークなマオリの言語と文化を、歌や踊りのパフォーマンスを通じて伝え守っていくためのいい機会となりました。 とコメントしています。 Crystal...

物価高に光熱費上昇。総選挙の焦点は?

物価高に光熱費上昇。総選挙の焦点は?

10月に総選挙を控えているニュージーランド。国民に対し、政党に期待する政策の調査が行われました。すると、48%の人が「物価高や光熱費などの上昇による生活費に関する政策に最も重きを置く」と回答。 それに続いて「気候変動」が12%、「医療」が11%、「犯罪」が10%、「減税」が5%、「教育」が4%という結果になりました。生活費の48%は圧倒的に高い数字であり、それほど物価高が国民の生活を圧迫しているという様子がうかがえます。 食費は12%上昇 ニュージーランドでは、地価の上昇などをうけ、25年前と比べて最低賃金が約3倍になりました。そして、その人件費の上昇にともない物価も上がり続けています。ここに世界的なエネルギー価格の高騰なども加わり、食費は過去18ヶ月間上がり続けており、今年2月の食費は前の年の2月と比べ12%も上昇しました。 NZの経済学者は、国営放送のインタビューに 世界的な物価高のピークは過ぎたと言われていますが、まだ物価は高いままであるので、食費などは今年いっぱい高騰したままであると予想されています。負債を抱えたり、ローンが払えなくなる人も増えているため、選挙を控えている政治家たちは苦しんでいる人に何かしらの対応を迫られている状況です。 とコメント。 現在政権を握る労働党は昨年、低所得者など一部の国民を対象に350ドル(約3万円)の助成金を支給する“Cost of Living Payment(生活費の支払い)”という政策を実行に移しました。 しかし政治評論家は、 (昨年行われた低所得者等を対象にした助成金は)付け焼刃的な政策であり、有権者にとってはそんなことはすでに記憶の彼方であるはず。5月の予算案では、もっと実効性のある案がでることが期待されています。 と語っています。 気候変動へも強い関心 人々の一番の関心は物価高とはいえ、NZ国民の気候変動への関心も強まっています。 世論調査によると、気候変動に対するさらなる早急な対応が必要だと答えた人が過半数を超える54%に。 今年1月にオークランドを襲った大雨や、先月北島東部に甚大な被害をもたらしたサイクロン・ガブリエルなど、ニュージーランドを襲った異常気象の影響で、人々の気候変動への関心がさらに高まっていると言えます。 ニュージーランドでは気候変動への対策として、2050年のネットゼロ(温室効果ガスの排出が正味ゼロ)達成や、クリーンエナジー普及、ゴミの削減、EV車の普及など、様々な取り組みが行われています。しかし、更にそれらの速度を上げていくことを求めている国民が多いようです。 ヒプキンス首相の支持率は? 現在政権を握る労働党を率いる、ヒプキンスNZ首相は最新の世論調査で支持率を4%伸ばし、27%と健闘中。 ちなみにこちらの数字、便宜上“支持率”と訳していますが、正確にはPreferred Prime Minister、日本語で直訳すると「首相に好ましい人は」という調査の結果となります。 ヒプキンス首相の次が、対立政党の国民党・ルクソン氏で17%。ルクソン氏は前回の調査から5%支持率を下げており、残念な結果に。前首相のアーダーン氏を望む人も2%(前回は5%)いました。 労働党は党としての支持率は2%下がり36%に。同様に国民党も下がっていますが34%。こちらは僅差と言えそうです。 選挙に向けて、各政党がどんな働きをしていくのか注目されています。