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サイクロン被害状況。ホークス・ベイのぶどう収穫量25%減

石黒さんニュース

先月、ニュージーランド北島を襲ったサイクロン・ガブリエル。史上3度目となる国の非常事態宣言が出され、今世紀最大の自然災害と言われるほど、大きな被害をもたらしました。

そして少しずつ復興が進む中、被害の詳細がわかってきました。中でも農業、林業、畜産、酪農は特に大きな打撃を受けています。

気になるワイナリーの状況はどうなのでしょうか。詳しくお伝えします。

25%のぶどうが被害に

今回被害に遭った北島の東部には「ホークス・ベイ」というワイン産地があります。ホークス・ベイは、ニュージーランドで最も歴史のあるワイン産地の一つであり、国内では2番目に広いワイン産地で、100ほどのワイナリーがあります。ボクモワインでも人気のある産地ですが、サイクロンとその後の大雨により残念ながら予想される収穫量の25%にあたるぶどうが被害を受けました。

ホークス・ベイには東京ドーム約1,000個分、約4,800ヘクタールのぶどう畑が広がっています。しかし今回の災害で300ヘクタールの畑が、地滑りや洪水の被害に。そして、その内140ヘクタールのぶどう畑(3,000トン分のぶどう)が完全に破壊されました。

また、サイクロンの後の大雨では7,000トン分のぶどうが被害に。ホークス・ベイでは毎年40,000トンのぶどうが収穫されており、例年の収穫量の約25%が被害を受けたことになります。また、200近いワイン関連の事業者のうち、40の事業者が大きな影響を受けているそうです。

被害の修復にかかる費用は約1,200万ニュージーランドドル、日本円で約10億円と予想されています。

現在は、被害を免れたぶどうの保護が優先されており、ぶどう栽培学の専門家が修復のサポートにあたっているそうです。また、今回被害にあった人々の心のケアや、経営支援などにも専門家による支援プログラムが導入されています。

最近では、こんなチャリティーイベントも。

ホークス・ベイのワイナリーの一つ、Elephant Hill(エレファント・ヒル)で、犬と飼い主のウォーキング・イベントが開催されました。

参加者は愛犬と一緒にワイナリーを散歩するだけでなく、ワインの試飲も楽しめたそうです。わんこたちにも、サーモンのおやつが振る舞われました。このイベントの参加費用は、サイクロン被害の復興団体に寄付されるとのことです。

りんごや梨も被害に

ホークス・ベイはりんごや梨の名産地としても知られており、ホークス・ベイ産のりんごは、日本にも輸入されています。

そして、今回の災害で果樹園も大きな被害にあいました。収穫予想量は、例年より33%減少する見込みであるとのこと。そして、この影響で国全体の果物の収穫量も、1月時の予想と比べると、21%減少しています。

しかし、被害のあった土地とそうでなかった土地には明確な差があり、影響を受けなかった土地からは今年も多く収穫が見込める様です。

日本でも人気があり、ホークス・ベイでも収穫の多いJazz Appleは、日本のりんごがオフシーズンとなる5〜8月に出回ります。日本に輸入されているなんと97%のりんごは、ニュージーランド産だそうです。今年の輸入量はどうなるのでしょうか。

政府が支援額を追加

ニュージーランドの農業、林業、漁業等の第一次産業を管轄するMinistry for Primary Industries(略してMPI、第一次産業省)は、当初、ホークス・ベイ地方の復興に2,500万ドル(日本円で約20億)の支援を発表していました。しかし、すぐに2,600万ドル(日本円で約22億)が追加され、トータル5,100万に。

助成金はまず、二次災害を最小限に抑えるため、畜産や酪農に必要な牧場の柵や水回りの修復に使用され、次に地滑りの被害を受けた森林や畑の土砂の撤去に優先的に使われるようです。

農業においては、1ヘクタールにつき2,000ドル(最高40,000ドルまで)、牧場では最高10,000ドルの助成金申請が可能であるそうです。

ニュージーランドの大きな産業に大きな打撃を与えたサイクロン。今後も政府のさらなる支援が求められています。

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この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
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