「最初の数分、ふわふわする」
これ、先週の土曜日に久しぶりにワインセミナーの講師をしたときに感じたことです。
僕は、コロナ前の5年間くらい、ほぼ毎月ワインセミナーをやっていました。書店やカルチャースクール、ご近所のカフェ、そして自分の店。いろんな場所で、ワインの楽しみ方についてお話する機会がありました。
しかし、コロナブランク、2年半。ぱったりと途絶えました。
最近ようやくイベント再開ムードになってきて、ワインイベントも徐々に増え、「セミナー講師やってよ」のお声がけも戻ってきました。
復帰戦の会場は、ワイングラスのショップ「リーデル名古屋」さん。
お題は、ニュージーランドワインの雄「クラウディーベイ」を試飲していただきながら、NZワインの魅力を紹介するというものです。
その冒頭に事件は起こりました。
「えーっと。
そうですね。
まず。
いや、まずじゃなくて。
えーっと・・・。」
・・・これはイカン。
いや、言いたいことは、いくつか浮かんではいるんですよ。
ふわふわと、僕の頭上にはアレやコレがあるのです。でも、それが言葉になって出てこない。
だから正確に言うと、僕がふわふわしていたというよりは、頭上に浮かんでいるアレやコレをつかんで言葉にしようとしても、ふわっと逃げちゃう感じ。
そうこうしている間に空白が流れます。やばい。たぶん、わたくし、変な表情になってる。
結果、「岩須、ふわふわしてるな」という印象を持たれたように思います。
ふーっと一息置いて、レジュメを見返し、流れを確認。
ああなんだ、そういう順番でいえば良かったんだと思ってからは、なんとか話が転がり始めました。
途中からは、ああ、そうだ、セミナーで喋るってこんな感じだったな、と楽しくなってきて、気づけばあっという間に1時間。
質問タイムで積極的に発言してくださった方にも助けられ、ひとまず、無事に?いや軽傷で?セミナーを終えることが出来ました。
しかし、あのふわふわタイムで始まったのはマズかった。ワインは美味しかったのに。
おそらく、原因は、直前の緊張感が足りなかったことだ思います。
慣れたNZワインの話。スタッフさんも顔見知り。お客さんの中にもボクモの常連さんがちらほらいらっしゃる。
これで僕は慢心してしまったのです。
開始前、スタッフさんと雑談しながら、リラックスムードのままにセミナースタート。さあて、と、しゃべり出して、結果、ふわふわ。お恥ずかしい。
今思えば、直前にひとりになる時間をしっかり作って、流れを再確認して、よし、このお客さんにNZワインの魅力、伝えるぞ!と気合いを入れる必要がありました。
次からはこの反省を生かさねば。よし、生かすぞ、明日は!
そう。実はわたくし、土曜日と日曜日、セミナー2連チャンだったのです。
日曜日は、尾張旭市の青年会議所OB会さんに呼んでいただき、「ビジネスマン向けワインセミナー」と題して2時間お話をさせて頂きました。
会場に向かう車の中で、「なるべくワインを身近に感じてもらうにはどうすればいいかな。参加者の方を巻き込みながら進めようかな。」と作戦を考ます。
ほぼ全員はじめましての方ということもあり、ほどよい緊張感を持ちつつスタート。
シャンパーニュの抜栓と、コルク栓のワインの抜栓のときは、お客さまに前に来ていただき、いっしょに開けました。
質問タイムを随所に挟み、お客さまとコミュニケーションを取りながら進めました。後半は皆さんほろ酔いになって、和やかなムードで終えることができました。
幹事の方がワインを注ぐアシスタントの方を手配してくださったのもありがたかった。
やっぱり事前にイメージを膨らませておいて、挑む。これがいかに大事かがよくわかりました。
そんなわけで、二日目はふわっとすることなく、手前味噌ですが、まずまずの手応えを感じて、帰途につきました(あ、もちろん僕はノンアルです)。
途中、コンビニによって熱いお茶を買い、駐車場で「セミナー、うまくいったよ」と奥さんに電話しました。
「はいはい、お疲れさん。興奮してるねえ。」
「まあね!」
ちなみに、セミナーで使用したワインはこちらです。
リーデル セミナー「ニュージーランドワインの魅力」
尾張旭 セミナー「ワインは楽しく、スマートに」
- テタンジェ NV(シャンパーニュ)
- クラウディーベイ ソーヴィニヨンブラン 2022
- フェルトン ロード ピノ・ノワール カルヴァート 2020
- シャトーラグランジュ 2015
そうそう、嬉しかったのは、土曜日のリーデルセミナー終わりで、セミナーを受講していただいた方が、ボクモに飲みに来てくださったこと。
それから、クラウディーベイのインポーターの方や、リーデルのスタッフさんも来店してくださいました。だいぶありがたいです。
日曜日のセミナーの後も、「参加メンバーで岩須さんの店に行きたいっていう人がいるので連れて行きます!」と幹事様からご予約をいただいたりして、これまたとても嬉しい。シェフの料理とともにNZワインを楽しんで頂けたらありがたいです。
ワインって、何かきっかけがないと一生「小難しい」「ちょっと自分からは遠い存在」だと思います。
でも、こういうセミナーみたいなきっかけがあったら、もうちょっと身近になるかも。
そのきっかけになるように「なるべくわかりやすくワインの魅力を伝える」。そうです、コロナ前は、ずっとそれをやりたくてやってきたのでした。
コロナブランク中、自分の店であたふたしたり、通販のボクモワインを立ち上げたりして、その気持ちを忘れかけていました。
やっぱり、セミナーの後、質問がたくさんきたら「ああ、伝わったんだなあ」「やってよかったなあ」という実感をもらえます。
これをやらなきゃ。ワインの楽しさ、シェアしなきゃ。
そんな思いを新たにしたセミナー2連チャンでした。