久しぶりに東京へ行ってきました。
目的は、ワインのセミナーを受講するためです。
セミナーのタイトルは「クラウディベイ・マスタークラス」。
ニュージーランドの中で、世界でいちばん知名度の高いワイナリー、それがクラウディベイ。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループの傘下で、つくっているワインは、すべてプレミアムレンジです。
そのクラウディベイが、日本のワインのプロにさらに詳しくワイナリーのことを知ってもらおうと開催したのが、このマスタークラス。今年が第一回目です。
全国のソムリエの中から10人ほどが選ばれたそうで、なんと不肖岩須もそのリストに入れていただいたのでした。
普段から、口を開けばニュージーニュージーと叫んでいるやつが名古屋にいるというのが本国まで届いたのか。
はたまた、コロナ禍でもなんとか頑張ってるなあ、と神様が見てくれていたのか。
そんでもって、こういうラッキーなことが起きたあとには、アンラッキーなことが起きるのか。
それはやだなあ。できたらタンスの角で小指をぶつけるくらいのアンラッキーにしてほしいなあ。
たぶん本当のところは、日本で10人の優れたソムリエ、ではなくて、日本で10人のクラウディベイを売りそうなソムリエ、ということで、選んでいただいたのでしょう。
選んでいただいたからには、しっかりとインプットし、今後に役立てようと挑みました。
今回のセミナーは、1回目:オンライン、2回目:対面、3回目:オンラインという三部構成になっていて、この3回をすべて受講けることが出来る人、というのが条件になっていました。
なるほど。コロナ禍で急速に普及したオンラインセミナーの仕組みも使いつつ、対面セミナーでしっかりコミュニケーションもとろうということですね。あったまいい。
その2回目が今週東京でありまして、早起きして行ってきたわけです。
会場となったセミナールームとレストランは、高層ビルの51階。皇居を見下ろし、関東を一望できるロケーションでした。
人によっては「わあ、いい景色」となるところでしょうが、僕はというと・・・
なんというか、見下ろし免許不所持のわたくしが、見下ろさせていただちゃってます、、、そんな気分でした(高所恐怖症の田舎者なので)。
景色はともかく、大切なのはセミナーの内容です。
ようやく国境がオープンになり、はるばるニュージーランドからやってきたクラウディベイの頭脳ジム・ホワイト氏のお話をみっちりと聞きながら、テイスティングをしました。
定番のソーヴィニヨン・ブランのヴィンテージ違いの飲み比べは、非常に興味深かったです。さらに、天然酵母で樽発酵・樽熟成のテ・ココは、同じ地域の同じぶどう品種とは思えない仕上がりで、唯一無二のスタイルを追求していることを確認。
そして、普通のワイナリー主催のセミナーではちょっとあり得ないと思うのですが、他のワイナリーのワインとの飲み比べもさせていただきました。さすが王者。よそも良いけど、それと比べてもうちは良いスタイルでしょ?という自信を感じました。
セミナー終わりの懇親会は、フレンチのランチコースとワインのペアリングを、ジムさんといっしょに楽みました。
いいペアだとワインが飲み物から調味料に変わる楽しさ、しっかりと味わいました。実によきインプットになりました。ありがとうございました。
終わったあと、すこし東京の飲食店をふらふらとまわってみようかなと思って、あまり行ったことのない方面の電車に乗りました。
しかし、その途中で仕事の連絡が入り、近くの駅で降りて、スタバでパソコンを叩くこと2時間。名古屋に戻る時間が迫ってきて、結局、飲食店巡りはあきらめました。
で、東京駅へと向かう電車の中で、ふと、今日のこの気持ち、ちょっと何かに似てるな、と思いました。
そうだ。新幹線代を出していただき、超高級な場所で、素晴らしい学習体験をさせていただく。
これって、ラジオディレクター時代に似たようなことがちょくちょくあったな。
新人アーティストがお披露目ライブをやるからと東京のライブハウスにご招待いただき、ライブ終わりでご飯をご馳走になる。もちろん交通費は出していただけるし、なんなら宿泊もセットになっている場合もあった。すごい時代だったなあ。
自分がちょっと特別なことをさせてもらっているという気持ちよさは、正直、ありました。
しかし同時に、そんなに手厚い接待を受けるほどの人間なのかよ俺は、とも思っていました。
たまたま音楽を選ぶというポジションを任されているだけで、なにか、自分が特権階級にいるかのような錯覚をしそうになっている。いかんいかん、と思いました。
ああ、あの感覚だ。
高層ビルで、高級ワインのセミナーを受けたからといって、お前は偉いソムリエじゃない。今、たまたまそのポジションにいたから、お声がけいただいたんだぞ。
はい、そうです。その通りです。
それから、店を守ってくれるシェフ、スタッフがいるから少しくらい離れることができるんだ。
はい、ほんとに。感謝しなきゃ。
慢心イカン。まわりに感謝。
あらためてそう思って、東京駅でささやかなお土産を買い、帰途についたのでした。