生活への刺激

土曜日、ボクモはイベントの店でした。

昼の部は、母校・名古屋大学のイベントでした。お話をしてくれたのは、デンキナマズなどの魚類を研究している飯田敦夫先生。

テーマは「論文と報道」について。以前マスコミ業界にいた僕としても、ちょっとドキドキするテーマです。

だって、研究者サイドからのマスコミに対する辛口の批判が飛び出るんだろう、と思っていたから。「マスコミのやることは誇張がすぎる!」とか、そんな主張かなと。

でも、実際にはそんな単純な話ではありませんでした。

確かに科学系の記事の中には、実際に論文を書いた研究者から見たら、こんな表現を使わちゃれうと誤解を与えるかもとヒヤヒヤすることもあるし、一部分だけを切り取ってセンセーショナルな見出しにしていることもある。

ただ、マスコミって元来たくさんの人の目を引く宿命を背負っているもの。しかも、専門的な知識を持っている人ばかりが記事を書いているわけではない。

報道には報道の独特の仕組みがある。なので、研究者の主張とのズレが生じるのは、ある意味仕方のないこと。

だからこそ、記事を見る皆さんは気になるものがあったら、「本当にそう?」と好奇心を持って、その記事の元になっている論文を読んでみると面白いよ、と先生は語っていました。

これには、僕もつい首を縦に振ってしまいました。

今だとChatGPTとかDeepLとか、助けてくれるツールのおかげで格段に英語の論文は読みやすくなっています。それほど思い切らなくても、学問の世界に飛び込めるわけです。

もうすぐイグノーベル賞が発表されます。今年も受賞した研究はおそらくネット記事になるでしょう。その記事から論文をディグするのもオツかもな、と思いました。

そして、質疑応答の時間。

質問と返答で会場の空気が活気づいていくのを感じながら、僕はふと「ああ、これって久しぶりの光景だな」と思いました。

コロナ前のボクモはこういう店だった。

専門的な何かを持つ人と、意見を交わし、新しいことを学び合う場所にしたい。そう思ってこの店に音響や映像の設備を入れ、ミニステージをつくったのでした。

残念ながらコロナでイベントはゼロになり、コロナが明けてもイベント開催は以前より控えめになっています(あれこれやることを増やしすぎて手が回らんのです←言い訳)。

でも、やっぱりこういう「いつもと違う人に関わる場」って良いです。これからもイベントはやっていくべきだと胸に刻みました。

そして夜。

ボクモは貸し切り営業をしました。こちらは、僕が大学生の30年前からお世話になっている方の還暦祝いのパーティー。大事な節目のイベント会場に、ボクモを選んでもらってありがたいです。

その方に言われました。

「お前さあ、文章が長いよ!」

この投稿のことだ・・・

「あの長さの文章を毎週書くって、よっぽど自分が好きなヤツのやることだよ。」

うぬぬ。そうか、この文章によって、僕って自己愛が溢れまくり男と見られているんだな。さすが30年僕を見ている方。ぐうの音も出ないぜ。

そんな大先輩は、赤いちゃんちゃんこを着て、以前自分がやっていた会社の元社員たちに祝われ(いじられ)、ワハハと笑ってワインを飲んでいる。なんといい光景だろうと思いました。

昼のイベントも夜の貸し切りも、集まった人にとって「生活への刺激」をもたらすことができる場になった。そんな気がするいい土曜日でした。

・・・と、今回は皆様のお目汚しにならないように、短くせねばと思って書いたのですが、やはり1500文字を越えてしまいました。

残念。今回も自己愛まる出し。次は目指せアンダー1000文字!

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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