良きペアの発見

「ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランって、美味しいけれど食事とあわせるのがちょっと難しい」

こんな声をたまに聞きます。

ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン(長いのでNZSBとします)は、他のワインと比べて明らかにフルーティーです。

グレープフルーツの果汁が入ってるの?と言われることもあるくらい、非常に豊かな果実味を持ちます。

なので、柑橘系の味わいが好きな方ならば、ひとくち飲んで「なんてフルーティーで美味しいんだ!」となることが多いです。

しかし、この極めてフルーティーであるというNZSBの最大の長所が、人によっては短所と捉えられるときもあります。

それが、件の食事とあわせるとき。

食事とワインのペアリングのやり方はいくつかありますが、僕がいちばんわかりやすいと思っているのは、「ドレッシング置換法」です。

例えばこのNZSBを、ちょっと強引ですが、グレープフルーツドレッシングと置き換えます

そして、グレープフルーツドレッシングをまとわせて美味しくなりそうな料理を思い浮かべます。

例えば・・・

・タイのカルパッチョ

・チーズを入れたグリーンサラダ

・海老のハーブグリル

・フィッシュアンドチップス

・チキンカツ(塩で)

どうでしょう。どれも柑橘の風味を加えるとさらに美味しくなる料理だと思いませんか。

こういう料理を食べたあとにNZSBを飲むと、口の中に残っている料理の余韻とワインの持っている個性が溶け合って、とても美味しく感じると、僕は思っています。

こうやって、ワインの中にある要素をドレッシングであると仮定して、良きペアとなる料理を探る方法を「ドレッシング置換法」と言います(というか、僕が勝手に呼んでいます)。

なるほど、こうやって考えれば、NZSBだってちゃんと食事とあわせられるじゃないか。

そう思うかもしれません。

でも、世の中には「そもそも料理にフルーツのドレッシングをまとわせたくない」という人がいるのです。

昨日もカウンターにいらっしゃいました。

「料理の中にフルーツを入れるのは嫌。パイナップル入りの酢豚なんてどうかしてる」と。

今、ボクモの人気メニューで「ラムバーク チーズ&アップル」というのがあって、これはローストした林檎をハンバーグの上にのっけて、そのうえにチーズをかけている料理です。

これも賛否両論あります。

最高!と言ってくださる方もいれば、デザートじゃないんだから林檎をのせるなんぞけしからんとおっしゃる方もいます。

だから、フルーティーさを料理に入れ込むことがあんまり好きじゃないという方にとっては、NZSBは冒頭の感想になるのです。

「美味しいけれど、食事とあわせるのがちょっと難しい」

でも、NZSBが大好きな僕としては、なんとかこれを解決したい。せっかく美味しいのに、最大の特長であるフルーティーさが仇になってしまうなんてもったいない。

そう思って、いつもいろいろな食材との相性を試しています。

その中で、最近「これはNZSBとのペアに良いぞ」という食材が見つかりました。

それは、ゴーヤです。

ゴーヤの苦みが、NZSBの持つ柑橘の白いワタのような苦みとあわさると、かなり美味しく感じます。

そして、もうひとつ。スパイシーな味つけです。

フレッシュなNZSBは、しっかりとした酸味の刺激があります。これがピリ辛な味つけによる刺激と非常にマッチするのです。

このゴーヤとスパイスを使って、ボクモの新メニューをつくりました。

それが「ゴーヤと夏野菜のスパイシー白和え」です。これ、本当にNZSBと良くあうのです。

単体で飲むNZSBはしっかりフルーティーさを感じますが、この料理を食べたあとにNZSBを飲むと、フルーツ感はぐんと少なくなります

そして、口の中に新しい旨み、苦み×苦み 酸味×スパイスのハーモニーがうまれるのです!

ほんと?

と思われる方、ぜひボクモで。

ゴーヤ+豆腐+スパイス+カリカリチーズで簡単に作れますので、よかったらご自宅でもお試しあれ〜

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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