ニュージーランドでは、毎年更新されるワイナリーのランキングがあるというのをご存知でしょうか?
そのランキングを発表しているのは、The Real Review(ザ・リアルレビュー)というチーム。そして、そのチームを率いるのは、NZで最も著名なワインライターの一人であるボブ・キャンベルMW(Masters of Wine)です。
The Real Reviewから発表されるワイナリーランキングは、NZワイン業界では認知度が高く、ワインを購入する際にこのランキングを参考にする消費者もいます。
この記事では、 NZワイン界の重鎮であるボブ・キャンベルMWやThe Real Review、そして今年7月に発表があった2022年版のランキングについてご紹介いたします。
今年のランキングで1位に輝いたのは、なんと日本人醸造家のワイナリーでした。ぜひランキングをチェックして下さいね!
ボブ・キャンベルMWとは?

ボブ・キャンベルMWは、NZで2番目にMaster of Wine(マスターオブワイン)という世界最難関のワインの試験を突破した人物。現在世界でこの資格を持つのはたった417名です。
彼はNZで広く知られるワインライターであり、NZワインの教育の第一人者でもあります。
今までに、ニュージーランドやオーストラリア、シンガポール、マレーシア、ロンドンなど世界各地でワインの講座やセミナーなどを開催しており、それには延べ22,000人以上の人々が参加しています。
また、ボブ・キャンベルは、ワイン業界への貢献により2019年にはニュージーランドメリット勲章(ONZM)を受章しました。メリット勲章とは、1996年にNZ女王エリザベス2世により創設されたもので、国王とNZ国民に対し、すべての領域で賞賛に値する卓越した努力、能力と貢献を示した人物へ授与される名誉ある勲章です。
ボブ・キャンベルは現在も、国内外のワイン賞の審査員として活躍し、ワインや食の出版物に定期的に寄稿しています。
NZワイン界で名実ともに、最も影響力のあるワインジャーナリストの一人がボブ・キャンベルであると言えると思います。
The Real Reviewとは?
The Real Review(ザ・リアル・レビュー)は、ボブ・キャンベルMWが主導する、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスのワインをテイスティングし評論・評価するインターナショナルチームで、毎年約1万本のワインを審査しています。
ワイナリー審査では、各ワイナリーの最近の上位5つの銘柄をテイスティングし、その評価をもとに独自開発されたアルゴリズムを用いてランキングを決定し、毎年発表しています。
ワインのコンペなどでは、出品料がかかるプライズ(賞)もありますが、ザ・リアル・レビューでの試飲は無償で行われます。ワイナリーから一切の利益供与がないことから、NZではThe Real Reviewは「透明性が高く」「客観的である」と言われているようです。
The Real Review 2022のワイナリーランキング
ここからは、今年のワイナリーランキングをご紹介します。
1位 | クスダワインズ (Kusuda Wines) |
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2位 | デスティニーベイワインズ (Destiny Bay Wines) |
3位 | クラギー レンジ (Craggy Range) |
4位 | チャーチ ロード (Church Road) |
5位 | フェルトン ロード (Felton Road) |
6位 | ベル ヒル (Bell Hill) |
7位 | テ マタ エステート (Te Mata Estate) |
8位 | ドライリバー ワインズ (Dry River Wines) |
9位 | ノイドルフ ヴィンヤーズ (Neudorf Vineyards) |
10位 | アタランギ (Ata Rangi) |
1位はなんと、日本人醸造家である楠田浩之さんが経営するクスダワインズ(Kusuda Wines)でした!
日本人生産者のワイナリーが、NZのワイナリーランキングのトップに立つというのは、とても誇らしいですね!!
それでは、「クスダワインズ」についてご紹介します。
クスダワインズ(Kusuda Wines)

画像引用元:クスダワインズ公式サイト
楠田 浩之(ひろゆき)さんは、日本人で最初にNZでワインづくりをはじめた人です。
1964年生まれの楠田さんは、大学卒業後は富士通に勤務し、その後シドニー総領事館へ。しかしワイン好きなお兄さんに影響を受け、30歳のときにワイン醸造家になることを決意します。
そしてドイツへと渡り、ガイゼンハイム大学でぶどうの栽培学・ワインの醸造を学び、同じ大学で学んでいたカイ・シューベルト(シューベルト ワインズ)の誘いを受け、学位論文を完成させるため2001年にマーティンボロに家族と共に移住しました。
そして、同年10月、畑や設備もなにも無い中「クスダ ワインズ(KUSUDA WINES)」を設立します。当初は、なにもかもが手探りの状態ではじめたそうです。その後幸いにも、2haほどの小さな土地を借りることができ、2002年に初ヴィンテージをリリースしました。
現在楠田さんは、3.8haの土地を所有し、ピノ・ノワール、シラー、リースリングを栽培しています。クスダワインズでは、スタッフを一人も雇わずに楠田さんがほぼ一人でワインづくりやワイナリーの運営業務を行なっています。
ピノ・ノワールが一番好きな品種だという楠田さんの長年の夢は「世界でトップレベルのピノ・ノワールをつくること」でした。その夢はNZに渡ってから20年近くが経ったいま、実現しつつあると言えるでしょう。
クスダ ワインズのピノ・ノワールは、世界で最も著名なワイン評論家ロバート・パーカー氏が創刊したワイン・アドヴォケイト誌でも93+を獲得するなど、今や世界中でかなりの高額で取引される入手困難なワインへと飛躍しています。
※クスダワインズのワインは、現在ボクモワインでの取り扱いはありません。
ボクモワインで購入できるTOP10ランクインワイナリーは?
ここでは、The Real Reviewで10位以内にランクインしたワイナリーのうち、ボクモワインでご購入頂けるワインをご紹介します。
5位:フェルトン ロード
フェルトン ロード(Felton Road)は、NZ屈指の高水準なワイナリーの一つ。
1997年に初リリースしたピノ・ノワールは瞬く間に世界中のワインファンを魅了し、世界最高レベルの評価を得るワイナリーになりました。
バイオダイナミック農法によるぶどう栽培や、重力に逆らわずにぶどうやワインを移動させる「グラヴィティ・フロー」など、より自然なアプローチによってワインづくりをしています。
僕が実際にワイナリーを見学させていただいたとき、コンパクトながらとても機能的につくられたシステムに驚きました。「ぶどうになるべく負荷をかけずに醸造したい」というお話が印象に残っています。
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9位 ノイドルフヴィンヤーズ
ノイドルフ ヴィンヤーズ(Neudorf Vineyards)は、日照量が豊富なネルソン地方の家族経営のワイナリーです。
設立は1978年。英国「WINE」誌主催の「世界ベスト・ワイン・テイスティング」シャルドネ部門で優勝するなど、シャルドネの評価が非常に高いことで知られます。
こちらはネルソンの代表的ワイナリーですね。サステイナブルな農法にいち早く取り組んだワイナリーとしても知られます。
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10位 アタランギ
1980年に設立したアタ ランギ(Ata Rangi)は、マオリの言葉で「新しい始まり」を意味します。
マーティンボロのパイオニアとして知られ、多くの評論家からNZのトップ5に入るワイナリーとして賞賛されています。
特に「ロマネコンティにルーツを持つ」という畑から生まれるピノ・ノワールは、国内外の賞を数多く受賞しています。
マーティンボロという産地を世界に知らしめたのは、このアタランギの成功があったからと言われています。ブルゴーニュに近いエレガントで上質なワインを生み出しています。
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まとめ
ワインは本来、客観的な物差しで優劣をつけられない飲み物。ただ、やはり初めて飲むワインが、専門家がどのように評価しているかどうかは気になるものですよね。
ボブ・キャンベルMW率いるThe Real Reviewは、NZのワインテイスターの中では知名度が高く、影響力があるチームとして知られています。そして、毎年発表されるワイナリーのランキングをチェックしている関係者も多くいます。
もちろん、「ランキングが高いから、そのワイナリーのワインが自分の口にあう」というわけではありませんが、このランキングで、NZワインに精通したプロたちが、どのような評価をしているかを知ることができるでしょう。