お盆、繋ぐワイン

今月前半、ボクモワインはサマー・セールと題して、全品15%OFFの特売をやりました。

「今年はお盆休みで帰省する人もきっと多いから、そのときに美味しいニュージーランドワインを使ってもらえると良いね」

そんなことを言いながら、スタッフとともに今回のセールの準備をしましたが、おかげさまで、予想を超えるたくさんのご注文を頂きました。ありがとうございました。

どうでしょう。僕らの手元を離れた素敵なワイン達は、皆さんのお盆の団らんのひとときに役に立ったでしょうか。あるいは、ほっと一息の良きパートナーとなったでしょうか。

なったのならば嬉しいなあ。

 

「お盆のワイン」と言って思い出すのは、まだ僕のばあちゃんが生きているときのこと。

亡くなってしまった今は、すっかり親戚の集まりもなくなってしまいましたが、生前は、お寿司やすき焼き、岐阜の山菜の煮物などをずらっと机に並べ、お盆のひとときを過ごしていました。

10年くらい前かな。僕がソムリエになりたての頃。

お盆の集まりにワインを持っていったところ、親戚一同、とても珍しがってくれました。

普段は最初から最後までずっとビールという叔父さんも、せっかくならとワインを飲んで「やっぱりソムリエが選んだワインは美味しい」とおだててくれました。

小さい頃はよく遊んでもらった叔父さんですが、こちらが大人になると、久しぶりに集まったときに話すような話題はそうそうない。

そんなときに、新しいワインという話題が登場し、ワインのおかげで盛り上がりました。

フランスワインの瓶にはどうしてぶどうの品種が書いていないのか。暖かいところのワインが濃い味になる理由。すき焼きにあうワインは。そんな話をしたことを覚えています。

今思い返しても、ワインってのは人を繋ぐ飲み物なんだなあ、と思います。

 

うちのばあちゃんは、普段あまりお酒を飲まない人でしたが、孫がソムリエの資格を取ったと聞いて、少しはワインに興味が沸いたようでした。

僕が「ばあちゃん、ちょっとワイン飲む?」と聞くと、「すこしもうらおうかな」と、持っていったロゼワインを口にしました。

「どう?美味しい?」

「美味しい。これなら飲める。」

当時90歳くらいのばあちゃんが、生まれて初めての体験をしているのを見て、ちょっと感動しました。

人生、何歳でも新しいことがある。生きていると、新しいことに出会う。それって素敵なことだなあと。

以来、毎年お盆が来ると、ばあちゃんがロゼワインを飲む姿が思い出されます。そうか、ワインって、あっちとこっちも繋いでくれるんだな。

 

あ、でもばあちゃん。

「ロゼワインっていうこのピンク色のワインね、もう世界中で流行っているんだけど、日本はまだなんだよ。でも、いずれ流行るから、ばあちゃん、流行の先取りだね。」

あのとき、そう言ったけど、ごめん。まだ日本でロゼ、流行ってないや。なんでだろうな。笑

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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