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ロックモを閉店します。誰か引き継ぐ人はいませんか?

ロックモ

大事なことなのでもう一度言います。

「ロックモを閉店します。誰か引き継ぐ人はいませんか?」

2020年7月末をもって、2011年にスタートしたボクモの姉妹店「ロックモ」を閉店することにしました。

そうか、コロナの影響だよね・・・と10人中10人が思ったと思います。

でもね。

ちょと違うんです。

実は、コロナの前から閉店は決めていたんです。そう言うと強がっているように思われるかも知れないけど、本当なんだから仕方ない。今年の夏には閉めよう。数ヶ月前からそう決めていたのです。

閉店の理由はわりと単純です。ロックモで店長を長らく務めているハルが、別の道を進むことになるからです。

現在のロックモは音楽バーであり、ハル特製の南インドのカレーが食べられる店でもあります。ハルに店をまかせ、ハルがカレーの人に傾いていくにつれて、ロックモのカレー色が強まっていった感じです。気づいたらハルは、うまいカレーがあると聞くと東京でも大阪でも行っちゃって、2時間でも3時間でも並んじゃうようなカレー男子になっていました。寝ても覚めてもスパイスの研究。ロックモで新しい南インドカレーを作って、常連さんに喜んでいただいてました。ボクモの周年パーティーでもハルカレーを出したこともありますね。あの時はあっという間に売り切れました。

で、ちょっと前にハルと話しました。

テーマは「これからの飲食店」についてです。

「やっぱり飲食店って、マニアの偏愛にみんなが賛同するっていうスタイルが理想だよね。この味が好き、これをみんなに食べてもらいたい、飲んでもらいたい。そういうパッションがあるから、小さい店って輝いてる。てか、輝いてる店をやってる人って偏愛の変態しかいないよね。」

「ほんと、そうですよね。」

「俺もさあ、ニュージーランドワインがもう既に日本で広まっていたら、別にここまで入れ込んでないもんな。やっぱりまだ知られていないから、みんなに知ってほしいっていう熱がある。休みのときもニュージーランドワインのことを調べちゃうし、まだ知らないものは飲んでみたいし、それがよかったら紹介したい。勝手にそればっかり考えちゃうんだよね。逆にその熱がなくなったら、もうやってる意味ないかなって思うんだよね。」

「僕もそういうタイプです。」

「てことはさ、ハルにとってはさ・・・」

「はい。南インドカレーが、まさにそれです(きっぱり)。」

「そっか。薄々と言うか、かなり濃く感じていたけど、ならば、そっちの道に進むのがいいんだろうな。」

「でも・・・とはいえ、僕はロックモも愛してますし・・・」

「そこはありがたいと思ってる。ハルのこれまでのロックモでの頑張りは、常連さんもみんな知っている。だからこそ、みんながきっとそっちの道も応援してくれるよ。だって家に帰ってもスパイスのことを考えているんだろ?どうやったらインド人になれるか考えているんだろ?だったら、カレーの世界、いやガンジス川に飛び込む姿を、みんな見たいと思うよ。」

「わかりました・・・インド人になれるかどうかわかりませんが、僕、飛び込みます!!!」

ということで、「そんならロックモは、閉店じゃ」となりました。

飛び込むガンジスはきっと予想以上にスパイシーでしょう。溺れることもあるかも知れない。しかし、その川で溺れるならば本望だ、彼はそう思っている。そう思えるものに出会えたことってデカいです。人生、ずっぽりハマれることに出会って、なおかつそれを仕事にしたいって思えるなんて、そう何回もあるもんじゃないですから。

あと、僕にとっては、ハルが人生の舵を切って頑張ることで、僕もその姿を見て頑張れる気がするっていうのも大きいです。あいつは南インドカレー偏愛を選んだ。僕のニュージーランドワイン偏愛も負けないぞ、とね。

 

ここまで読むと、疑問がわく諸賢もいらっしゃるでしょう。

まずひとつ。

「なんで、岩須がオーナーになって、ハルのカレー屋をやらないのか。」

答えは明確です。僕はカレーが苦手だから。これはとても残念な事実。南インドカレーのようなスパイスたっぷりのカレーを食べたら、たいがいお腹を壊します(情けないけどしょうがない)。そもそも、ここ20年くらいカレーは年に数回しか食べていないので、胃腸のスパイス耐性がぜんぜんない。ココイチでは甘口1択です。

オーナーが食べられない食事を出す、そんな店は嫌です。魚が食べられない寿司屋オーナーはいかんでしょう。新しくカレー屋をやるのも、ロックモを改装してカレー屋にするのも、いかんです。

もうひとつ。

「ハルに代わる新店長を迎えて、継続すればよいじゃないか」

これはちょっと考えましたが、やっぱり無理でした。なぜかというと、僕は今、ロックモ以外にボクモとラジオとウェブサイト、3つの仕事を並行してやっていて、これであっぷあっぷだからです。あ、もうひとつワイン講師もやってます(今コロナで休止中)。どの仕事も、自分ひとりでやってるわけじゃなく、僕以外の方との信頼関係で成り立っています。なので、新しく店長を育てるというタスクをそこに入れると、僕の小さなお皿に入った甘口カレーがあふれてしまいます。テーブルがびしょびしょになって関係各所にご迷惑をおかけしてしまう。それはいかんです。

なので、新しい人を入れて、店を継続することもやめました。

というわけで、潔く、さよならにします

この場を借りまして、感謝します。これまでロックモに関わっていただいたすべての方にありがとうございますと言いたいです。ロックモは、ナイスなお客さまに囲まれて、めっちゃ幸せな場所でした。ロックモに寄ることが生活サイクルの一部になっている方もいっぱいいらっしゃったと思います。本当に感謝します。

でも残念ながら、何事も始まりと終わりはセットです。音楽もイントロ、Aメロ、Bメロ、サビと来て、静寂のエンディングへと向かいます。プログレッシブロックのように長くドラマティックな展開があった9年近くの演奏ですが、とりあえず7月末がエンディングとなります。コロナのせいでエンディング近くに急に長めの休符が入ったのは予想外でしたが。

とはいえ、まだ「さよなら営業」のアウトロ期間がありますので、どうかまた遊びに来てやってください。音楽を聴いて、カレーを食べて、あと2ヶ月弱の余韻を楽しんでください。

「ロックモ・さよなら営業」

2020年6月と7月

毎週木・金・土のみ営業 ※最終営業日は7/31(金)

営業時間 18:00~23:30

(営業日以外の貸し切りのご相談も承りますのでご相談ください)

お席の間隔をあけ、店内換気を良くし、アルコール消毒をこまめにするなど、COVID-19感染拡大予防に配慮して営業します。僕も、この営業期間は、なるべく多めにロックモに行こうと思っています。

さて、そんなこんなで、先日、今後についてハルとのミーティングをロックモでやりました。

そこで改めて思ったのですが、ロックモ、まあ非常に凝った内装をしているなあ、と。そりゃそうだ、めっちゃ愛情とお金を注いでつくったんだもん。

冷蔵庫も冷凍庫もワインセラーもちゃんと動いてる。エアコンにいたっては、前にあったものが壊れたので新品を付け替えた。トイレもちゃんと使えるし、YouTubeリクエストシステムも機能する。スピーカーもけっこういい音出す。これをなくしてしまうのはもったいないなという気が非常にある。

なので、ようやくここでタイトルに戻って、これをご覧の皆さんに呼びかけます。

「ロックモを閉店します。誰か引き継ぐ人はいませんか?」

この内装をうまいこと利用してお店をやりたい人がいらっしゃったら、喜んで受け渡したいと思います。もしお知り合いに興味がある方がいらっしゃったら、ぜひお声がけください。もちろん、引き継ぐのは全部でも、一部でも、ごく一部でもかまいません。

僕は、アフターコロナも、バー文化はそう簡単に廃れるもんじゃないと思っています。ちょっと時間はかかると思いますが、コロナショックの反動は来ると思う。これまでよりも、小さなコミュニティが人を癒やす時代になると思う。そうなったらこの場所は強いでしょう。栄駅から徒歩3分と立地はいいし、9年弱の営業実績はダテじゃなく、ロックモを愛してくださっているお客さんも多い。普通に店を新しく出すのに比べたら、だいぶ初速はつきやすいと思います。ぶっちゃけ、ひとりで頑張ればちゃんと食べていける売り上げが出せる箱です。なんなら営業にあたってのコツやこれまでのノウハウもお伝えしますし。

具体的な条件などは、またお会いして。Zoomなどの遠隔ミーティングでも良いです。内覧したい方、よかったら見に来てください。コロナ閉店の期間中、ハルが店内をぴかぴかにしてくれたので、今、お店はとっても綺麗な状態です。

ロックモに関するお問い合わせは

info@bokumo.jp

までお願いします。

長文、見てくださってありがとうございました。

2020年6月2日

株式会社イチロイモ 岩須直紀

ロックモ店内

 

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この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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