「酢豚にパイナップルがアリかナシか」
というのは昔から意見の別れる選択肢です。
あなたはどちら派ですか?
ちなみに僕は大アリ派です。
だって、酢豚って酸味がかなりありますよね。 ひとくちずつ、酸っぱい豚肉、酸っぱいタマネギ、酸っぱいニンジンと進むと口の中が酸っぱさでいっぱいになる。 そこにパイナップルを放り込むと、甘くて優しいのキターとなる。
果実の甘みのなんという優しさよ。 酸味がリセットされると同時に、口の中に残っている酸味とパイナップルの甘みが混じり合って、新たなおいしさが発生する。 一見ミスマッチなようにみえて、めっちゃいい料理のアクセントになっていると思います。
もちろん、苦手という方が多いのは知っています。
でも、それってどちらかと言うと先入観もあるのでは。フルーツとおかずって合うわけがない、気持ち悪いっていう先入観。
食べる前から、組み合わせの奇抜さで敬遠しているだけかも。 試してみたら案外いけるという人も実は多い気がします。
さてここは、中華料理の話ではなくワインの話をする場所。
実はこの「酢豚とパイナップルの関係」というのは 「お料理とニュージーランドワインの関係」にとても似ていると僕は思うのです。
こじつけ?
いやいや、そう言わず最後まで付き合ってください。きっと納得するから。
この関連性の説明をするには、まず2つのワイン用語についての説明が必要になります。 その2つの用語とは「旧世界」と「新世界」です。
「旧世界」とは「ヨーロッパ」を指します。 ヨーロッパは、ワインの伝統国。場所によっては何千年も前からワインづくりをしています。食文化の中にどっぷりワインが入ってます。 こういうところで作られるワインは、生活に密着しているワインだらけ。 生まれた時から食卓にワインがあり、おかずとワインを行ったり来たりするのが当たり前の食卓の風景。まるで日本人にとっての味噌汁みたいに、ワインを楽しむ国です。
それに対する「新世界」とは、もともとワイン文化のない国。 ワインづくりがヨーロッパからあとから伝わった国です。 日本も新世界に当てはまります。
それらの国々は、味噌汁的なワインじゃないワインを作ります。どういうのか。 それは、超絶フルーティーなワイン。もう、ワインの中にフルーツが漬け込んであるんじゃないの?ってくらいフルーツ感が強い。ちょっと大げさ?いや、でもヨーロッパのワインに比べると、果物の香りがプンプンするワインが多いんです。
その急先鋒がニュージーランドワイン。正確に言うと、その7割を占める「マールボロのソーヴィニヨン・ブラン」です。もうね、めちゃくちゃフルーティーなんです。 グレープフルーツやパッションフルーツの香りががつんと鼻に飛び込んできて、味わいはジューシーかつちょっとほろ苦い。完璧に果物果物した白ワインなんです。
こういったワインは、古いヨーロッパの人はあまり好きじゃありません。極度にフルーティーな飲みものは、料理の邪魔になるから。
でも、新世界にはそういった感覚にとらわれることない人たちがいっぱいいます。やっぱりぶどうというフルーツで作ったお酒だから、フルーツの香りや味わいがガッチリ出ててもいいよね、と。日本でもこっちのフルーティー系ワインを好む人はとても多いです。
ここまでくると酢豚パイナップル問題なんとなく見えてきたのではないでしょうか
つまり、酢豚がパイナップルに入っててOKな人=フルーツが料理の邪魔にならないと思う人は、料理を食べたあとフルーツ感たっぷりのワインを飲んでも、違和感を感じない。むしろ美味しいと思える。
そういった人は、ニュージーランド、マールボロのソーヴィニヨンブランを、食事にあわせてごらんなさい。この果実味ってなんて美味しいの、料理にぴったりあうと驚くはずです(もちろん、チリやオーストラリア、アメリカなんかでも超絶フルーティーなワインもあります)。
酢豚にパイナップルがだめでも、ローストビーフのオレンジソースがありな人ならば、この法則、わかってもらえるかも。ま、果物を食事に紛れ込ませて楽しめる人ならば、きっとニュージーランドなどのフルーティー系ワインの魅力は伝わるのではと思います。
でもね。 当然、味覚は千差万別。
生まれ持った味覚や嗅覚、育った環境でまったく変わるし、 同じ人でも年齢によって好みが変わったりするものですし、 上記の意見は、僕の完全なる私見です。ご批判ももちろんあるでしょう。
ただ、言いたかったのは、どちらかというと新世界ののワインはフルーティーなものが多い。だけど、食事に合わせることができないなんてことはないし、なんなら、そういうペアリングを好む人もけっこういるんじゃないかってこと。