ラジオの仕事をはじめてからもう28年くらい経ちます。現場のディレクターをやっていた頃とは違って、今は原稿を書いてメールで送るだけなのですが、相変わらずラジオを聴くことは好きです。
ボクモにいらっしゃるお客さまに聞くと、僕らより上の世代だとラジオを聴く習慣がある、あるいはあった方は多いように思います。
若い方はやっぱりあまり聴いていないですね。ショート動画文化の中にいると、音声だけっていうのがよくわからない、みたいな話も聞きます。
でも、たまに推しのアイドルや好きな芸人さんのラジオなら聴くという人もいます。やっぱり「強い人の発信」がこれからのラジオを支えるのだろうな、と思ったりします。
で、僕の好きな番組なのですが、その番組名を書こうと思ったのですが、今、なんだか急に恥ずかしくなってきました・・・。
冒頭で28年やってます、みたいに振りかぶったものの、それだけ長いことやっているヤツが聴く番組ってどんなもんじゃい、さぞご立派な、と思われやしないか。
なんだか、専門分野のコアな部分ってなんだかちょっと恥ずかしい。下着一枚になる感じがします。
考えすぎ?
まあ、いいです。繕ったってしょうがない。
ラジオって、マスメディアのようであって、その実はもっとパーソナルなものです。送り手と受け取り手による、ひっそりとした価値観の交換の場所なのです。
だから番組のチョイスにもパーソナルな「癖(へき)」が出て当然なのです(と自分に言い聞かせる)。
と、随分もったいぶりましたが、僕が好きな番組のひとつは、TBSラジオの「安住紳一郎の日曜天国」です。
正確に言うと、ポッドキャストに上がっている編集版しか聞いていないので、日曜天国の番組の一部のファン、です。
こないだ、安住アナがTBSの役員待遇になったというのがニュースになっていましたが、ファン的には、そりゃそうだろ、と思います。
あんな喋りが出来る人をフリーにさせてしまったら会社の損失になるって普通思うよね、(ちょっと入れ込みすぎていて気持ち悪いですね、すみません)。
世の中で起きている大きなこと、小さなことを、自分の目線で伝える。そして、何気ない日常の一隅を照らす。日曜天国は、その技が素晴らしいのです。この番組を聴いていて、僕は「世間とは今こうなっているのかあ」と唸っています。
たぶん、安住アナが僕と同年代(正確には2つ上)ということもあるんだろうな。あ、そんな見方があったのか、といつもハッとします。
番組には様々なゲストが訪れるのですが、中でも僕の印象に残っているのは、国立科学博物館の田島木綿子さんです。
打ち上げられたクジラなど、海の哺乳類を解剖して研究している方で、ほんとうにお話が上手。
20年以上にわたり全国を駆け回り、流れ着いた延べ2000頭以上の海獣を解剖してきたという彼女の、圧倒的な経験に基づくお話、聴き入りました。
特に大阪湾に迷い込んだクジラのヨドちゃんの話、興味深かったです。
クジラが死んで海に沈むと、その海底ではものすごいご馳走のボーナスタイムが2000年くらい続き、生態系がガラッと変わるんですって。へーー!!!おもしろ!
日曜天国はいつも10点満点の楽しい放送ですが、楽しい喋り手に楽しいゲストが欠け合わさると、10×10で100点になります。これはラジオ以外のメディアでは出ないスコアです(僕にとって)。
先日、常連さんからこんな質問をされました。
「今度、環境にまつわる学者さんを呼びたいんですけど、どなたかいい人知りませんか?」
そう言ったのは、名古屋市の職員の方です。環境関係のお仕事をされていて市民向けのイベントづくりなども担当しています。
すかさず僕は言いました。
「僕が聞いているラジオにちょくちょく出ている田島木綿子さんって方、すごくお話面白いですよ。」
そしたら、こうなりました。
「エコアクションin名東」
海からのメッセージ
〜漂着クジラが教えてくれたこと〜
日時 | 令和5年8月3日(木) 午後2時から |
場所 | 名東文化小劇場 |
講演 | 国立科学博物館 田島木綿子 |
定員 | 350名 |
主催 | 名古屋市名東区役所 |
事前申し込みが必要です
当日、僕も行ってみようと思います。
田島さん、まさかラジオを聞いていたヤツからの紹介で名古屋まで来ることになったとは思うまい。
やはり一隅を照らす力があるのだな、ラジオは。と思いました。