きっかけづくりは大事

ソムリエブログ

先日、久しぶりに外でワインを注いできました。

場所はお花見会場。名古屋の中心部から近い鶴舞公園です。

そこではラジオ局のZIP-FMによる催し物が開催されていて、その中の目玉のひとつが「SAKURA WINE FESTIVAL」というワインイベントでした。

僕は32歳まではZIP-FMのディレクターでした。僕にとっては、社会人の第一歩の場所であり、あの時代はいろいろ貴重な経験をさせていただいたと思っています。にも関わらず、なかなか恩返し的なことができていないなあと、ずっと引っかかっておりました。

しかし今回、コロナ禍明けを華々しく祝うように、「お花見+ワイン」のイベントが開催されると知りました。さらにそのイベントの中心人物が、僕にワインを教えてくださった方(元ラジオプロデューサー)だというご縁もあって、これはちょっとは役に立てるチャンスかもと思い、ワインの注ぎ手を志願したわけです。

当日は晴天に恵まれ、イベントは大盛況。わんさかという言葉が似合い過ぎるほどの、わんさか具合でした。

ワインブースのテントも、ずっと行列が絶えず、僕も気付けば数時間注ぎっぱなしでした。普段の営業であれほど連続で注ぐことはないので、途中から腕がぷるぷるしていました。が、「名古屋にもこんなにワインを楽しむ人がいるんだ」と実感できたのは、とてもよかったなあと思います。

ただ、すこし冷静になって考えてみると、やはりお花見のイベント会場という「お祭り感」があったからこそ、あんなにたくさんの方がワインを飲んだのかな、とも思いました。

この地方はハレとケをしっかり分ける人が多いと、昔からよく言われます。

普段は倹約。お祭りは大騒ぎ。製造業で働く人が多いのが関係しているのかもしれませんが、ON / OFFの区別が明確な人が多いなという印象は、僕にもあります。

今回のイベントは、いよいよコロナに振り回されない春がやってきたという解放感、お花見が堂々とできる喜び、天候の良さなど、ポジティブな要素が重なり合いました。お祭り感がブーストされた感じ。

そして、そういう場所では「非日常なもの」が似合います。屋台ではおしゃれなエスニック料理や石窯のピザ、鮎の塩焼きなんかも出ていて、みんな非日常を謳歌しようと、列をなして買っていました。

ワインもやはりそうなんだろうな、と。僕ら提供する側としては、もうちょっと日常の飲み物になってほしいと思うのですが、まだ多くの人にとっては「お祭りだから飲んじゃうオシャレドリンク」みたいな位置づけなのかも、と思います。

ただ、入り口がそうであっても、「あれ?オシャレと思って飲んだら、自分にあうかも」という発見をした人がいたら、それはとても喜ばしいことです。

やっぱり、出会うきっかけがないと、何事も広まらない。きっかけづくりは大事。たくさんワインを注いで、それが実感できたのは大きな収穫でした。

よーし、今年はニュージーランドワインのブース、どこかのお祭りに出店しますか!

こんなお祭りどう?ってな情報があれば、よかったら教えてくださいませ。また腕をぷるぷるさせながら注ぎたいな。

イベントでワインを注ぐ岩須さん

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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