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「ワインを贈りたいけど、いったいどれを選んだらいいの?」に答えます。

カウンター越しにお客さんから聞かれることがあります。

「知り合いにワインをプレゼントしたいんだけど、何を贈ったらいいかわからないから教えてほしい」と。

その質問が来るたびに、僕はまず拍手を送ります。

センス良すぎ。愛あふれすぎ。 大切な人にワインを贈りたいって、なんて素晴らしい発想でしょう。

だって、プレゼントとしてのワインは「特別な願い」がこもるから。 それは「このワインをお供に、どうか幸せな食事の時間を過ごしてください」という願いです。

「美味しそうなワインをもらったから、今度ウチで食事会しない?」

贈られたワインが起点となって人が集まりパーティーが催されるかもしれない。

「今度の誕生日、このワインに合いそうな料理を作ってみようかな。」

ワインが起点となって、ご馳走をつくってみようとなるかもしれない。

イイ感じのワインを贈るという行為は、そのワインを囲んで大切な人と豊かな食事を共にしてくださいね、というメッセージが勝手に含まれるのです。

まさか、シャンパンの開栓をミスって天井のライトに当たってパリーンと割れて食卓が大惨事になれ!!!!と願って贈る人は誰もいません。

なので、ワインをプレゼントに選んだ時点でもう、あなたの相手への愛情レベルは非常に高いわけです。

さて、前置きが長くなりましたが、じゃあそのあなたの思いをどんなワインに託せば良いのか。

お店でどうやって選べばいいのか。

お店にワインのプロがいれば、相談するのが手っ取り早いです。 ただし、そのプロはワインのことは知っていても、あなたが贈りたい相手のことは知りません。もし、そのあたりのことが詳しくヒアリングされない場合、お店のおすすめ=売らなきゃいけないアイテムに落ち着いてしまうことがあります。

それじゃあちょっとな、と。

もっと贈られる相手のことを考えたワイン選びをした方がいいんじゃないですかと、僕は言いたい。

プレゼントは、あなたに興味があります、あなたのことを思ってますの気持ちです。相手がどんなワインの趣向を持っている人かを考える、が基本です。

ということで、「贈る相手のタイプ別・ワインの選び方のコツ」を述べてみます。

タイプはざっとこんな感じにしてみました。

  • タイプ1)ワイン愛がたっぷりあるワインおたく
  • タイプ2)おたくじゃないけど、そこそこ知ってる人
  • タイプ3)赤しかダメ、または白しかダメな人
  • タイプ4)甘いワインが好きな人
  • タイプ5)どこか特定の国に縁がある人
  • タイプ6)配偶者もしくは近しい人がワイン好き

複数に当てはまる場合は、比重の高い方で見てください。

タイプ1)ワイン愛がたっぷりあるワインおたく

これは簡単です。なんでもいいです。 スタンダードから珍しいものまで、ワインならばなんでも楽しめるのが本物のワインおたくです。

ただし、ワインおたくには価格がバレやすいです。 あまり安い物を選ぶと、安く済ませたなと思われるし、逆に高級なワインは、おたくをひれ伏させるには有効です。

中でもいちばん無難なのは、シャンパン(シャンパーニュと言うとカッコイイです)。

シャンパーニュじゃなくても、3,000円以上のスパークリングワイン。

3,000円を超える泡ものは、だいたいシャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵の製法」です。

瓶内二次発酵の泡=お祝いのワインという方程式は、おたくなら誰でも知っています。

タイプ2)おたくほどじゃないけど、そこそこ知ってる人

これはけっこう難しい。

ワインをそこそこ知っている人は、知識欲がある人が多いです。だから、これまで飲んだことのないものを喜ぶ傾向が強いです。

でも、その人が何を飲んだことがあるかを調査するのはかなり難しい。

ならば。

王道を外すというチョイスがいいでしょう。

へえ、こんなのあるんだ、どんな味かなあ!と探究心のツボを押すことが出来ます。

国で言うと、ヨーロッパのマイナー産地。 たとえば、ハンガリーブルガリアジョージアなどの東欧系、あるいは最近注目の集まるイギリスなんかもいいかも。もちろんニュージーランドも完璧です(できれば、メジャー産地のマールボロ以外)

しかしまあ、無難なのはシャンパーニュです。

そこそこワインを知ってる人は、シャンパーニュを喜ばないわけがない。

タイプ3)赤しかダメ、または白しかダメな人

ダメなジャンルを避けて選べばよいので、割とらくちんです。

赤しかダメの場合は、赤の王道ボルドーかブルゴーニュ。ニュージーランドなら、ホークスベイかセントラルオタゴ。

白しかダメの場合は、そりゃもう、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン一択でお願いします。その素晴らしさはこのサイトの色んなところで語っています。

▶ニュージーランドワインってどんなワイン? ▶ソーヴィニヨン・ブラン

ま、赤ワイン党の人で白ワイン党の人でもシャンパーニュを飲めない人は少ないので、シャンパーニュもいい選択肢だと思います。

タイプ4)甘いワインが好きな人

ドイツの白は甘口ワインがいっぱいあります。最近はドイツ産も辛口がぐんと増えましたが、それでもまだ日本のスーパーや酒屋さんだとドイツのリーズナブルな甘口がちゃんとあります。

あとはイタリアの赤の微発泡・ランブルスコはやや甘くてお財布に優しいもの多いです。

もうちょっと高級な本格甘口ワインならば、各国で作っているアイスワインやレイトハーヴェスト(遅摘み)がいいでしょう。それらは、たくさん飲めるワインじゃないので、ハーフボトル(375ml)のものでじゅうぶんです。けっこう高いけど満足度も高い。

ニュージーランドならば、クラシック・リースリングという表記があれば必ず甘いです。あんまり売ってないですが、NZ好きは頑張って探しましょう。

またNZでは、ウェブサイトで銘柄を調べるとR.S.という表記を載せている生産者があります。これはResidual Sugar=残糖量のことで、ワインの中に溶け込んで残った糖分の量を指します。僕の経験上、この残糖量が12g/ℓを超えると、ひとくち飲んで甘みがはっきりわかるワインが多くなります。 ただ人間が感じる甘みは、ワインに含まれる酸味の度合いやアルコール度数にも左右されるので、あくまで指標の一つということになりますが。

ちなみに、シャンパーニュも普通のものは少し甘みがあります。なので甘いワインが好きな人でもシャンパーニュは有効でしょう(Brut NatureやDosage Zéroと書いてあるものは甘みがないので避けてください)。

タイプ5)どこか特定の国に縁がある人

たとえば、ニュージーランドに旅行に行った話をしてくれた人、ワーホリに行っていた経験がある人。そういう人へのプレゼントは、当然ニュージーランドワインがベストです。

フランスの世界遺産巡りが好きならフランスワイン(シャンパーニュは完璧)、アメリカの音楽フェスに行っちゃうくらいなら、アメリカのワイン。

これは本当に喜ばれます。

なぜなら、贈られたワインを囲んで食事をするとき、楽しい現地の思い出が、きっと蘇ります。「そう言えばあの時こんなことがね」という会話が弾む可能性が高い。

プレゼントされた人は、食事が終わってボトルを片付けるときに「なんて素敵なワインを贈ってくれたんでしょう」とボトルをなでなでしながら、贈ってくれたあなたのことを思い出すでしょう。

タイプ6)配偶者もしくは近しい人がワイン好き

贈られた本人が飲まなくて、その人に近い人が楽しむパターンですね。

これはもう志向調査の対象外なので、そうですね・・・・

シャンパーニュにしておけば問題は起こらないです。

 

以上、タイプ1〜6までをご覧になってもうおわかりかと思いますが、シャンパーニュに勝てる便利なプレゼントワインはなかなかないです。

安くても3,000円以上という価格の安定性もあって、やはりお祝いにはわかりやすく最適です。

合う食事は、あらゆるワインの中で最も幅広いです。 寿司、焼き肉、ピザ、中華、エスニック、家庭料理、鍋・・・なんでもござれ。 多ジャンルが集まる持ち寄りパーティーにもマッチしまくりです。

最強かよ、ですね。

 

ただ僕の場合は、そこにちょっとひねりを加えて、ニュージーランド版シャンパーニュ(ちょっと表現おかしいけどね)とも言える、こんなワインが超クールなプレゼントかな、とリンクを貼って、しめたいと思います。ご参考になれば。

大沢ワインズ
プレステージコレクション メソッド トラディショナル NV ブリュット 5,500円(税込) ▶ボクモワイン


p.s.

タイプ番外)自己顕示欲を満たすのを第一優先にワインを飲んでいる人

「俺、オー○スワン飲んだことある」 「有名ソムリエ主催のパーティーに招かれた」 「こないだもらったワインは○万円だった」

ワインのスノビッシュな部分にのみ興味がある方、まれにいらっしゃいます。 こういう方にはワインを贈らない方がよいでしょう。 理由はね、まあ、わかるでしょ。

ではまた。

 

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この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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