「コスパ」について考えてみた

 

コスパの呪縛

最近、スーパーによく行きます。

「どんな料理とどんなワインをあわせたら、楽しくなるかな。」

「飲食店営業が再開できたら、新メニューどんな感じにしようかな。」

色々妄想しながら、カゴを持って店内を巡っています。

ふと気づくと、お肉、お魚、お惣菜の各コーナーをぐるぐると何周も回っています。

まてよ。

自分は今、何を探しているんだっけ。

あ、知らず知らずのうちに、あれを探してるじゃないか!

それは・・・

夕方に現れる、黄色と赤の小さな四角。そこには「20%引き」の文字。

そう、僕の目が追うのは、値引きシール。

どこだ、どこだ。黄色と赤はどこにある。

今日は、まだか。はよう出てこい、店員さん。

気づけばもう4週目。

キター!シールを持った店員さん!よし、後ろにぴったりマークだ。

貼るぞ、貼るぞ、貼ったー!

一瞬にして20%オフの烙印を押されたお肉をカゴにイン!僕、ニンマリ!

・・・いかん。

これはいかんぞ。

こんなの、ボクモのお客さんに見られたら、非常にまずい。

普段、「このワインは実にエレガントでして」なんて、1本数千円のワイン(とか、もっとする高級品も)売ってるヤツが、日常ではよだれを垂らして値引きシールを待っているなんて。

見られたのが常連さんなら、まだいい。後日、カウンターで「かっこ悪いところを見られてしまいました、てへ。」で済む話だろう。

しかし、微妙に距離感がある方ならば・・・

「シール待ちの極貧ソムリエ、発見w」

「安いものを食べて高いワインを売る錬金術師かよ」

そうネットにお書き込みあそばせるかもしれない。

まずい。

そして、万が一、見られたのが、初恋の女性だったとしたら(どんな妄想だ)、

「あら、岩須くん、お久しぶり・・・もしかして、今、シール、貼られ待ちかしら?」

もうね、僕は、消えてなくなることでしょう。

45歳、おじさんソムリエ。

コスパに翻弄されています。

問題は予想を上回るかどうか

そう言えば、最近、仲良しの美容師さんから「コスパ」という言葉を聞きました。

僕は、10年以上、岩永さんという美容師さんに髪を切ってもらっています。

10年いっしょに年をとってきて、僕のことを、いつも客観的に見てくれる美容師さんです。

ちょっと前、その岩永さんが、店を移って、新しい美容室で働きはじめました。僕は引き続き、岩永さんに切ってもらいに行くことに。

が、新しいところは、どうやらかなり人気らしい。これは、ちょっと予約がしづらくなるかもと思って、

「切ってもらったその日に、次の予約をしたいので、もし、僕が忘れてたら、言ってくださいね」とお願いしました。

そうしたら。

これまでは、伸びて我慢できなくなったら予約して切ってもらっていたので、2〜3ヶ月に1回のペースだったのですが、毎回予約を翌月に入れるようにしたら、当たり前ですが、きっちり月に1回のペースになったのでした。

岩永さんは言います。

「結果的に、コスパが良くなりましたね。」

え?頻繁に来るようになったのに、コスパがいい?

「そう、おじさんにとって、最も必要なのは清潔感ですから。

月に1回来てもらえれば、常にいい状態をキープできるので、結果、清潔感を維持するためのコスパは高くなってると思いますよ。」

なるほど。

ボサボサ頭にもかかわらず、なんとか清潔感を出そうという行為ほど、コスパの悪いものはない。整髪料をたくさん塗って、時間をかけて整えても、ちっとも清潔にならない。

だったら、毎月、清潔感の賞味期限が切れる前に、美容院で整えてもらった方がはるかに良い。

それが分かり、月1美容院になった今、とても満足しています。

毎日、「髪の毛にまつわる清潔感」をそれほど考えなくても良くなるというのは、ずいぶん気持ちが楽になります。

もし、街中で初恋の女性とばったり会ったら(妄想二度目)、

「あら、岩須くん!髪の毛ボサボサじゃないわね!」

・・・んなこた言われるわけないですが、少なくとも、「やばい、今の自分、清潔な感じかな」と冷や汗をかく必要はなくなるわけで。

「僕のことをよく知ってる岩永さんが提案する最善策の頭(賞味期限内)なんだから、大丈夫なんだ」と思えること。これこそ、コスパが高いな、と思いました。

そうか。

コスパが高いのって「財布の残高がなるべく減らないこと」じゃないんだな。

「使った金額に対して、予想を上回るような満足感や安心感が得られること」なんだな。

シールが貼られたお肉を買った僕は、はたして、そのお肉で料理をして、食べて、予想を上回る満足感が得られたかどうか。

そこが問題ってこと。

そう言えば、それほど満足していなかったような気がします。

結局、「お得なものを買えた」という瞬間が、興奮のピークだったんだろうな、と。

よし、今日は、シールを意識しなくて済む、早い時間帯にスーパーに行こう。

秋の味覚のワイン

そうだ。

これはボクモワインでも、言えることかもしれない。

興奮のピークは、ネットショップでポチった瞬間よりも、実際にワインを口にしたとき、料理とあわせたときに訪れるのが、やっぱりいいよなあと思います。

だからこそ、「ああ、このワインのおかげで幸せな時間になった」と思ってもらえるようなアイテム、しっかり紹介していかねば。背筋しゃきん。

そんな、おうち時間が充実であれ!という気持ちを込めて、新しいワインのセットを組んでみました。

スーパーにも秋の味覚、いろいろ出揃ってきたということで、今回は「秋の味覚にあうニュージーランドワインのセット」です。

秋の味覚って、旨みが強いものが多いと思います。ワインも、さらっとした味わいよりも、旨みがしっかりあるワインの方が似合うはず。

今回は、そんな旨み系の「白」、「ロゼ」、「赤」を1本ずつ選んでセットにしました。ぜんぶ辛口。ぜんぶお食事に寄り添うタイプ。

「料理にあうワインがあると、いい時間になるね」なんて、食卓の会話が弾んだりしたら嬉しいなと思っています。

【送料無料】食欲増進、ワイン欲も増進!秋ワイン3本セット

ちなみに、このセットの商品紹介のページに飛ぶと、秋の味覚を使った料理の写真がめっちゃ出てきます。空腹時の閲覧は危険かも(笑)

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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