
コロナ前の「ワッショイな週末」。
「週末」
それはとても良い響き。ドキドキする響き。
普通に飲食店をやれている頃は、週末が来るたびに「忙しくなるぞ」と気合いを入れていました。
お客さんの「楽しい時間」をつくる、僕らの仕事のがんばりどき。それが週末。
スタッフと予約帳を確認しながら、たまに「キヨーレオピン」(滋養強壮剤)を飲んだりして、おっしゃ、やるぞ!とアドレナリンをどばどば出しながら営業します。
営業が終わると、しっかり体が疲れて、すこしワインを飲んだらすぐ眠れる。そんな生活が普通でした。
が、時短営業・営業休止ばかりの最近は、体が疲れるまで働くことはなくなりました。平日の夜も週末の夜も、なーんにも変わらない。
これはちょっとまずい。
僕ら飲食店の仕事って、「うおおお!忙しい!でも、やったるぞ!」という時間があるからこそ、うまく回るのです(ずっとそうだとしんどいですが)。
バタバタしながらこなしていく、という経験は、とくに我々のような小さな個人店にとっては大事です。
その経験を積み重ねていくと、お客さんの数やオーダー数を読む「勘」、準備をどれくらいやっておくとスムーズにいくかという「勘」が育ちます(こういうの、将来AIがやってくれるかもしれませんが、今のところ、僕らのような店では自分たちで養うものだと思ってます)。
お客さんがどーっと入ってきたとき、バタバタの中で無駄なく動くにはどうしたらいいかというアイデアは、実際にやってみないと見つからない。それぞれの持ち場であたふたしながら、テンポアップの方法を見つけていく。そして、それぞれが見つけた「勘所」をスタッフ間で共有する。こういうPDCAがとても大事です。
うまいこと勘が育ち、テンポアップの方法がわかると、忙しい週末でも余裕が生まれてきます。そうなると、平日と同じくらいお客さんに気を配れるようになります。
つまり、バタバタの経験は、店のパフォーマンス(総合力)を上げるためには、とても重要な経験。
逆に、ずっとヒマだと、店は覇気を失い、パフォーマンスを維持することが難しくなります。
今、飲食店にとって、「お客さんが来ない」「売り上げがない」という点は、もちろんいちばん大きな問題です。
が、もうひとつ、僕は「勘が鈍ってしまう」というのもけっこう大きな問題なんじゃないかなと思っています。
週末の怒濤の仕事、もう1年半くらい体験していません(あっても稀です)。そして今は3度目の休業中。きっと、勘が鈍っていってるんだろうなあ。
お金的にも、だいたいの飲食店は、ちゃんとバタバタすることではじめて成り立つ構造になっています。
平日はヒマなときもありますから、そのヒマなときを埋め合わせをするためにも、週末は、ワッショイ!ワッショイ!な営業にならなきゃいけない。
しかし、今の情勢を考えると、「ほんとにコロナ以前みたいな、世の中がワッショイなモードに戻るのかな」と不安になります。
それと同時に、「気配りしながらのワッショイ営業が、ずいぶんご無沙汰になっちゃってるけど、ちゃんと動けるかな、大丈夫かな」という心配も大いにあります。
クルマって、一週間に一回くらいは乗っておかないと、エンジンやトランスミッションによくないし、バッテリーの上がりも早くなるって言いますよね。
あれとおんなじだよなあ、いざというときに、錆び付いて動かなくなるってこわいよなあ、と思ったりします。
飲食店の皆さん、どうですか。こういう気持ちを感じてる人、まあまあいるんじゃないかなあ。
営業が再開したら、このへんの話をスタッフと共有しながら、「お客さんとスタッフが気持ちいい、僕らなりのワッショイ」をどうやってつくっていくか、考えていきたいなと思っています。
今の週末の楽しみ。
さて、「週末」と言えば、もうひとつ。
最近、週末に嬉しいことがあります。
それは、ワインショップ「ボクモワイン」で購入していただいたニュージーランドワインを、「SNSで見かけること」。
これ、決まって週末です。やっぱり皆さん、ワインは週末に開けるものなんですね。
Instagramがいちばん多いかな。その次がTwitter。Facebookもたまに。NZワインを見かけると、わあ!やった!とニンマリしてしまいます。
これ、「パパ友が撮影してくれた、我が子が活躍している運動会の写真」を見たときと、ほぼ同じ気分です。
自分が撮るのと、人が撮るのって、やっぱり違う表情になるんだよなあ(親バカ)。
それと、これまた嬉しいのが、SNSにはアップしないんだけど、メッセンジャーとかDMで直接いただくワインについての感想や質問です。
「こないだ買った赤ワイン、単体だと重く感じたけど、お肉とあわせたらすごく美味しかったです」
とか、
「新しいワインセット、あれは期間限定?いつまでやるんですか?」
とか、
「NZワインがきっかけになって、我が家にワインブームがきました!」
とか。
思わずニンマリ。
嬉しくて返事をたくさん書きたくなっちゃう。
でも、あんまり長いのってウザいかもしれないから、いただいたメッセージの文字数とだいたい同じくらいまでにとどめておこう、と自制しながら返事を書いています。
こういうやり取りって、飲食店でFace to Faceでお話ししているのと似てるなと思います。やっぱりダイレクトに反応をいただけるのって、とても嬉しいし楽しいです。
ボクモワインは、ただワインを売っておしまいじゃなくて、コミュニケーションが似合う店にしたいと思っています。なので、こういうメッセージ、本当にありがたく思います。
もちろん、はじめたばかりのひよっこなので、いたらない点もあると思います。お叱りの声、もっとこうした方が良い、などのご意見もありましたら、教えてください。
週末と言えばイベントだったなあ。
店内で小さなイベントをやるのが好きな僕は、週末はいろんなイベントをやっていました。
生演奏のライブ、DJイベント、トークイベントなどなど。
上の写真は、ニュージーランドのワイナリーオーナーを招いてワインイベントを開催したときに撮ったものです。
写っているのはケヴィン・ジュッドさんと奥さまのキンバリーさん。ワイナリー「グレイワッキ」のオーナーご夫妻です。このケヴィンさんは、NZワインを語る上で外せない、NZワインを世界に広めた功労者のひとりとして知られています(クラウディ ベイの立ち上げスタッフで長らく醸造責任者を務めた方です)。
僕にとって、NZワインの沼にハマるきっかけとなったのが、このグレイワッキ。10年以上前、インポーターさんにこのワインを紹介していただき、初めて飲んだときの衝撃たるや!
ああ、これって「特別な味」だなあと思いました。NZのソーヴィニヨン・ブランだけは、他とは明らかに異なる個性を持っているとはっきり認識しました。
そして、それから数年後、実際にNZへ行き、彼のワイナリーを訪れて、畑やワイナリーを見学させていただきました。
ケヴィンさんご夫妻も、その後、来日したときにボクモに来ていただき、お客さんと交流しながら、ワインを紹介していただいたのでした。
今考えると、このケヴィンさんのイベント、相当密だったなあ(2018年11月のこと)。
グレイワッキの全種類のワインを、ケヴィンさんご本人の解説付きで紹介しながら試飲するという、なんとも贅沢な時間でした。
そして、今回、ワインショップをオープンしたら絶対にやりたかった「ご自宅でグレイワッキの全種類を楽しんでいただくセット」を、ボクモワインでつくりました。
どんな感じの内容かは、リンク先の説明文に書いてありますので、よかったらご覧ください。
白ワイン好き、特にほんのり甘みのある白ワインも好き、という方には、楽しんでいただけるんじゃないかと思います。まあまあお値段はしますが、そのクオリティはしっかりあるワインばかりです。10%オフのセールやってます。
来年、自由に行き来ができるようになったら、またワイナリーの方を招いて、イベントやりたいなと思ってます。
通販でも、リアルでも、皆さんの「普通の週末」が「スペシャルな週末」になるためのあれこれ、やっていきたいな。