初来店のお客さんが、お隣の方が食べているメニューを見て。
初「すみません、それってどのメニューですか?」
隣「ああ、これはシェパーズ・パイです。美味しいですよ。」
初「じゃあ私もそれにしようかな。ところで、常連さんなんですか?」
隣「えーっと、常連っていうか・・・」
と言って、僕の方に視線を送る。
これ!
困るやつ!!!
お隣さんが、自他共に認める常連さんならば、問題ない。
ただ、常連客であるという認識って、人によってまちまちで、どちらかと言えば、「店側が認定するもの」と考えている人が多い気がする。
何度も来ているけれど、常連かと尋ねられた今、果たして私は、自ら常連と名乗って良いものか。
どうなのよ、ねえ、マスター?
そんな感じで僕の表情をうかがう。
困っちゃうなあ。
正直に言えば、月に1回以上来ていただいていたら、僕の中ではれっきとした常連さんだと思っている。
でも、年に数回だと、ちょっと言いにくい。
ただ、そういう方でもこの店を好きで来てくださっているわけだから、「はい、常連さんです」とためらわずに言ったら、きっと丸く収まるんだろう。
いや、待てよ。そうじゃないかもしれない。
だって、常連という言葉って、人によっては重荷に感じるかも知れないぞ。
「あ、この瞬間に常連認定された。ということは、もっと通わなくてはいけないのか。」
そうなると、自分のペースで来にくくなる。そして、店のお墨付きをもらったというプレッシャーのせいで、かえって足が遠ざかる。
そんな可能性だってあるでしょう。だって、店は義務で行くもんじゃないから。
むむむ。難しい。
そして、僕はだいがいこう言ってしまう。
「いつもお世話になっています。」
ザ・曖昧!!!
そう。こういうときは、どうとでも取れる、玉虫色の表現に頼るしかないのです。
でも、なんだか逃げている気がするんだよなあ。いっそのこと、常連さんステッカーでも作って、配ろうかしら。
いや待て。「私、ステッカーをもらえなかったから、常連じゃないんだ」とか、そういう要らんトラブルが起きそうじゃないか。
やはり曖昧な表現が良さそうだ。
「いつもお世話になっております。」
「いつもいつもお世話になっております。」
「いらっしゃらないときは心配になるほどお世話になっております。」
来店頻度によって、これくらいのバリエーションを用意しておけばよいかな。
ちなみに、通販店ボクモワインは、そのへんきっぱりしております。
お買い物のたびに付いてくるワインを簡単に説明したカード、その名も「ワインカード」(そのまんまなネーミング)が、20枚貯まった方は、もう常連さんです。
そして常連さんになると「ずっと全品10%オフ」でお買い物できます。なんと明快。
いい制度でしょ。
と思ったけれど、ちょっと待てよ。来店頻度でグラデーション対応するならば、通販も購入頻度でなにか差があった方がいいのでは。
新人常連さんと、スーパー常連さんが同じ対応ってのもなんだか不公平な気がしてきた。
よし、じゃあ、スーパー常連さんには、特製ステッカーを送る!え?要らない?