(ドラムロール
どぅるるるるるる・・・・
「ユウゼンのあんかけパスタ」
(歓声:ええ!?いけるんだ!)
そして
「風来坊の手羽先」
(歓声:おお、そうなんだ!)
さらにもうひとつ
「おとうふ工房いしかわのきらず揚げ」
(歓声:なんと、そうなの?)
以上、3点は小牧ワイナリーのワインにばっちりあうという結果が出ました!
(パチパチパチパチ)
というわけで、先日のイベント「小牧ワイナリー × 愛知の食 ペアリングラボ」に参加していただいた方からの声を(だいぶざっくりと)まとめますと、このような結果となりました。
意外だったのが、上記の3品は、白ワインでもロゼワインでも赤ワインでもマッチするという意見が多かったことです。
ちょっと詳しくワインの説明をしますと・・・
小牧ワイナリーの白「Komaki Blanc」は、ローズシオターとモンドブリエのブレンド。ともに日本で品種改良されたぶどうです。酸味はほどよく、柔らかい柑橘の風味があってドライです。
ロゼワイン「Komaki Rosé」は、マスカットベーリーA 100%。果皮や種を漬け込んだ通常の仕込みのロゼに、マセラシオンカルボニックのワインをブレンド。キャンディー香はやや抑え目。イチゴのニュアンスもありますが非常にドライ。
赤の「Komaki Rouge」はヤマ・ソーヴィニヨン 100%。青っぽい野性味が感じられ、一部セニエをやっています。酸はおだやか。やわらかく、メルローのような雰囲気も感じられます。
この小牧産の3本に貫かれているのは「軽やかさ」です。アルコール度数もそれぞれ10.5%、8.5% 、10%と低めに作られていて、主張しすぎない味わいが持ち味です。
出過ぎず、大人しく、ライトな飲み心地。でも旨みはちゃんとある。そんな小牧ワイナリーのワインは、料理に寄り添う能力が高いワインだと言えると思います。
ただし、いくら能力が高いとは言え、味噌かつのような豆味噌の濃密系のものには負けてしまうことは実証済みです(ソムリエ協会のセミナーであちゃーとなりました)。
でも今回の実験で、手羽先とあんかけパスタがあうことがわかったので、もしかしたら「茶色の具合」がきつね色〜もうちょっと濃いくらいまでなら大丈夫なのかも。煮込んだ八丁味噌のように黒っぽい茶色になると、あわせるのが難しくなる。そんな傾向があるのかもしれません。
ちなみに、白には「美浜のえびせんべい」「大和屋のチーズみりん粕漬け(はちみつレモン風味)」「えびフライ」、ロゼには「しるこサンド」、赤には「青椒肉絲」があうという意見もいただきました。
青椒肉絲はどこが愛知じゃい、と言われそうですが、それはその通りです。これだけはスミマセン。同郷のペアよりも性格の一致を優先したペアを目指して用意したものなのです。ピーマンの青っぽさを小牧の赤ワインが持つ青っぽさにあてたら、同方向の良きハーモニーがうまれるかなと思ったら、やっぱりそうだった、という感じです。
しかし正直、今回の企画で、小牧ワイナリーのワインが愛知の食とよくあうことがわかってホッとしました。
やはり地元のワインは、地元の食と好相性であってほしい。愛知の人たちにとって食卓にのぼりやすいワインであってほしい。
そう思ってこの企画をセッティングしたので、なんとか皆さんに「地元ワインと地元食はちゃんとあわせられる」ということが共有できて良かったです。
中でもあんかけスパは強かった。トマト由来の酸味、野菜の旨み、口の中にしっかり余韻を残すとろみ。考えてみれば、これら構成要素がワインとのペアに向いていないわけがない。もしかしたら、あんスパはかなり幅広いワインを受け止める潜在能力があるんじゃないかとも思います。
手羽先も優秀でした。テイクアウトの店のチョイスを上品系の風来坊にしてよかったです。あの甘辛味は、白ワインだと「レモンを搾るイメージ」となり、ロゼだと「コクとほろ苦さをあわせるイメージ」、赤だと「肉感とスパイス感をあわせるイメージ」になりました。
そして、伏兵がきらず揚げ。愛知名産のおからのスナック菓子が、ワインととても相性がよいことがわかりました。これは大発見です。
歯ごたえがけっこうハードなんですよね、きらず揚げって。だから、口の中に歯で粉砕された破片が残りやすい。豆腐由来のうまみや味つけの塩味が長く口中に残り、そこにワインがのっかってきて、ナイスな化学反応が起きました。いやはや、これは予想外のカップル誕生です。きらず揚げ、ボクモでも常備しておこうかしら。
とまあ、期待した以上の実験結果が得られた今回の企画でした。
参加してくださったのは、常連さんをはじめ、ワインエキスパートの資格をお持ちの方、ワイン講師をされている方、食のスペシャリストでもあるライターさんなどなど。
こんな風変わりなイベントなのに前のめりな姿勢で参加して頂いて、ありがたかったです。
醸造責任者の白井さんもお忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。ワイナリーの現状やこれからの展望など、たくさんお話が聞けて良かったです。やっぱり生産者のリアルな声に勝る説得力はないですね。
そして、酷暑の中買い出しに行ってくれたスタッフゆりちゃんご苦労様。
前にも言いましたが、小牧ワイナリーのワインを飲むということは、ワインづくりに携わる障がい者の方々を応援することに繋がります。
せっかく飲むなら、誰かが喜ぶワイン。そんな日があってもよいんじゃないかと思います。