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名古屋名物とワイン

今週は「名古屋名物とワイン」について考える週でした。

きっかけは、月曜日に参加した日本ソムリエ協会のセミナーです。

このところ、予定が合わなかったり、テーマ設定にそれほど興味が持てなかったりして、あまりソムリエ協会のセミナーに参加していませんでした。

しかし、「愛知・なごや名物と銘菓 愛知の飲料を楽しむ」というお題を見て、これは行かねばと久しぶりに申し込みました。

専門はニュージーランドワインだけれど、やはり僕らは愛知、名古屋で店をやっているわけで、僕らを取り巻く食文化と飲料文化についても、知っておく必要があります。

やはり、自分の店のメニューの中にも、わざわざ名古屋にいらっしゃる方に喜んでいただけるような名古屋っぽさも忍ばせたいですし、飲料とあわせたときにより楽しみが広がる方法も提案したい。

そう思って、小雨がぱらつく中、会場の千種のホテルメルパルクに行ってまいりました。

登壇者は、日本でぶっちぎりの知名度を誇るソムリエ、日本ソムリエ協会の田崎真也会長です。

その田崎さんが協会の会長として名古屋で行うセミナーはこれで最後になるとあって(理事の定年制度のため)、会場は超満員でした。

用意された飲料は、清須桜醸造のクラフトジン、クラフトウイスキー、蓬莱泉の一念不動(生酛純米)、そして小牧ワイナリー・ななつぼし葡萄酒工房の白と赤でした。

そしてペアとして供された料理は、味噌串カツとういろう。

このラインナップを見たとき、ちょっと驚きました。ジンやウイスキー、日本酒のペアリングは面白そうだと思ったのですが、ワイン、大丈夫かな。。。

小牧ワイナリーは、僕の出身地でもある愛知県小牧市のワイナリーで、障がい者就労支援とワインづくりの両立を目指しています。

2015年のワイナリー設立の年からたびたび訪れていて、ボクモでは栽培・醸造の責任者である白井さんを招いてのイベントをやったこともあります。

そんな関係もあって、僕はだいたい毎ヴィンテージ、テイスティングしています。最初は酸味が荒々しく野性味溢れる味わいだったのが、ここ最近はかなりバランスが良い仕上がりになっていて、僕の中ではどんどん美味しくなっている印象です。特に現行の白はかなり良い感じです。

今や、小牧ワイナリーは愛知の地酒のひとつとしてしっかりと存在感を示しているんじゃないかと。

なので、こういう大人数が集まるセミナーで小牧ワイナリーがピックアップされたこと自体は喜ばしいなと思いました。

が、問題はあわせるフードよ。

小牧ワイナリーの白・Komaki Blancは、柑橘の風味がしっかりあるドライでアルコールが低めなワイン。赤のKomaki Rougeは、青々しさもありながらベリーのフルーツ感も楽しめる、これまたアルコール低めなワイン。ともに優しさが持ち味です。

これらと味噌串カツ?ういろう?

でっかいはてなマークが浮かびました。

愛知の豆味噌にあわせようと思うとやはり、ある程度の濃さを持った赤ワインがいちばん初めに浮かびます。そして、味噌かつの味噌だれはザラメたっぷりの旨み爆弾。相当ボディがしっかりしていないとと負けてしまうと思います。

さらに、名古屋のういろうは米粉のスイーツ。ワイン界からコンビの候補を出すなら、甘口ワイン以外は不適格、と僕は思ってしまいます。

そして案の定。

実際にあわせてみた結果、田崎さんは「小牧ワイナリーのワインは、名古屋名物とあわせるのは難しいですね。愛知から外に出た方がいいのでは?」と、ややきつめの冗談をおっしゃっていました。

会場は笑いに包まれていましたが、パネラーとして招かれた白井さんは苦笑い。僕もそりゃないぜー、と口の中が苦くなりました。

あとから白井さんに聞いてみたら、当日のその場まで、どんな料理とあわせるのかは知らなかったとのこと。

そりゃないぜー。

ただ、クラフトジンや日本酒と味噌串カツの相性はかなり良く、「ジンは串カツにスパイス感を与え、日本酒は味噌にクリームを混ぜたようなふくよかな味わいをもたらす」との田崎さんの説明に、なるほどーと、膝を連打しました。

ういろうは・・・

個人的にはお酒にあわせるのは諦めた方がいいなあ、と。愛知は西尾のお抹茶があるんだし。妙香園のほうじ茶もあるんだし。

結果、愛知県産のジンや日本酒と豆味噌との相性はとてもよくわかりましたが、ワインのペアリングがもったいないなあ、と感じるセミナーでした。

せっかくたくさんのプロや愛好家が集まる会なのだから、愛知のワインとあう愛知の名物はこれですよ、と提示して、そのペアが受講者からたくさんの人に広まっていけばよかったのになあ。

なんて、偉そうに言ってますが、、、

お前はどうなのだ。小牧ワイナリーのワインとぴったりの郷土料理が提案できるのかよ。

ともう一人の岩須が言います。

そうですよね。ソムリエ協会愛知支部の方は、当然いろんなシミュレーションをしてあの提案にたどり着いたはずですもんね。

ワインは日本の文化の中では新参者。郷土飲料 × 郷土料理の土俵だとワインはまだ入り込みづらい。日本酒などの地元に根ざした飲料と比べると、地元の食事との結びつきが弱いのは当たり前だと思います。

それほどマッチしないかも?だけどワンチャンありかも?という感じの提案だったのだろうなと思います。

そこで、僕は考えました。

小牧ワイナリー白Komaki Blancは、柑橘類のドレッシングと置き換えよう。赤Komaki Rougeは、青野菜とラズベリーのソースと考えよう。

このドレッシングやソースをトッピングして似合うこのへんの名物的なものを導き出せば良いのではないか。

そんな感じで数日考え、思いついたのはこちら。

Komaki Blanc × 李さんの台湾から揚げ

Komaki Blanc × まるは食堂の海老フライ

Komaki Blanc × 日間賀島のタコの丸茹で

Komaki Rouge × あんかけスパ・ヨコイのミラカン

Komaki Rouge × 味仙の肉ピーマン炒め

Komaki Rouge × ブロンコビリーのがんこハンバーグ

さあ、どうだ!

どうだと言われても、わかんないですよね。ならば、試すしかない。

と言うわけでやります。

近日、「小牧ワイナリーのワインにあう名古屋名物選手権」をイベントとしてボクモにて開催してみることにします。

テイクアウトできるもの、ボクモで似た感じの味が出せるもの、いろいろ揃えて、みんなでワインとあわせてみようじゃないの。

こりゃ面白いことになりそうだ。乞うご期待。

(ちなみに、並行してニュージーランドワインと名古屋名物の相性も探っていこうと思ってます、抜かりなく!)

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この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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