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苦いワイン

 

4年前、輪島の朝市に行きました。

良いところだったなあ。海鮮丼を食べたり、おばちゃんが目の前で名入れをやってくれる漆塗りの箸を買ったりしました。活気があって、港町に生きる人たちの力に触れた感じがしました。

その朝市が、元日の震災でまるっきり焼けてしまいました。

そして、その焼ける様子を僕は見ていました。たまたまネットで見つけた輪島朝市の定点カメラで、火災の様子をリアルタイムで見ていたのです。

夜の闇の中で炎は残酷にも広がり、なんども爆発が起きました。気になって夜起き、明け方起き、映像を見る。まだ燃えている。ようやく鎮火したのは翌朝。東京ドームより広いくらいの範囲が焼失してしまったそうです。

辛い。

あの人々がどうか巻き添えになっていませんように。なるべく多くの命が助かっていますように。力がまた沸いてきますように。

そんなことを書いている今。

我々の日常は流れ、普段の生活があります。ボクモの通常営業が始まり、ボクモワインの出荷が始まっています。

目の前にあるワインを見て、なんだか口の中に苦みを感じます。

苦しい人を思い浮かべながら飲むワインは苦い。

こういうときにやれることって、なんだろうな。震災が来るたびに考えますが、いつも答えはわかりません。

結局、自分が手を伸ばせる範囲で何かをして自分を落ち着かせることくらい。

賑やかな朝市の光景、あそこで過ごした楽しい記憶を浮かべながら、少しの寄付をする。それを日常を過ごす免罪符にしてしまっています。

なんとなく過ごす毎日が、実は災難と隣り合わせであることを改めて突きつけられた正月となりました。

さて、いったんCMです。

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ボクモワインの福袋、お得だよ

CM終わり。

それではここからは、ちょっと面白いデータの話を。

面白いと感じているのは僕とシェフだけかもしれませんが、年末にボクモで最も人気なメニューは何か、POSデータをさらってみて、シェフとふたりでへえ!となりました。

その結果は・・・

ドリンクメニューの人気第1位

「ソーヴィニヨン・ブラン(グラスワイン)」

2023年1年間で1,139杯出ていました。これは予想通り。やっぱり人気者。このワインは圧倒的な個性ですもんね。

特にグラスでは、特有のグレープフルーツやパッションフルーツの香りが強烈に出ているものを厳選していて、リピートも多数いただいています。

席に座ったらまずソーヴィニヨン。そんなお客さまに支えられて堂々ドリンク部門首位。

 

フードメニューの人気第1位

「ラムチョップステーキ」

2023年1年間で2,554本。おお!そんなに!

人気だとは思っていましたが、数字にするとちょっとびっくりです。

まあね、ちょくちょくいらっしゃるニュージーランド人のお客さまに「地元で食べるより美味しいよ」と言っていただいたりしてるもんなあ。自慢の逸品。シェフ素晴らしい。

出た数から単純計算すると、おそらく年間で羊100頭分くらいになります。こんなに出るなら、もう羊の飼育をした方がいいんじゃないの。どうやったら羊の牧場がやれるか、真剣に考えてみようかしら。

ちなみにドリンクの2位は、「ピノ・ノワール(グラスワイン)」、フードの2位は「ブルーチーズポテトサラダ」でした。

そうそう、年末に投入した「ラムバーグ&マッシュ」は、12月のデータを見てみると、ラムチョップに肉薄するオーダー数となっています。驚異の新人。レギュラー奪取からクリーンナップ定着間違いなし。頼もしい。

今年は、この上位打線を脅かすような新作づくりもやっていきたいな。

 

さて、今日のボクモはおかげさまでご予約にてテーブル満席。ボクモワインは出荷多数。ありがたい日常があります。

噛みしめて、いざ、出勤。

ワインを苦くする出来事が起きませんように。

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この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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