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貸し切りは条件つきで

ボクモは、ちょっと前まで貸し切りはやらない主義だった。

なぜかというと、以前やったときにだいぶ大変な思いをしたから。

2009年の開店からしばらくの間、ボクモは今よりずっとカジュアルなスタイルだった。

ワインの量り売りや、マグナムボトル半額デー、クラフトビールの飲み放題フェアなんかもよくやっていた。

そこにライブイベントやトークイベントものっけて、ごちゃごちゃでミックスカルチャー的なスタイルだったのが初期のボクモ。

今よりカジュアルな価格設定で、気軽に使える感じが売りだった。

そういうイメージの店で貸し切りをやるとどうなるか。

もちろん、終始にこやかに、お客さんも幹事さんも店もみんなハッピー、という会もあった。むしろそういう会の方が多かった。

が、そうでない残念会もあった。

起きて欲しくないことが起きると、ダメージがけっこう大きかった。

備品は保険に入っているのでまだなんとかなるけれど、スタッフと僕の心がね。

どんな悲劇が起きたのか詳細は書かないが、まあだいたいお察しのとおり。

あのときのやらかされた光景を見て僕は学習した。

「自分が積極的に選んでいない店(連れてこられた店)では、その店にとって好ましくない本性が出てしまう人がいる」と。

そしてボクモは貸し切り営業をやめた。

貸し切りならば準備しやすいし、売り上げも作りやすい。それでも、他に大事にすべきことを優先した。

その後、コロナが来た。

あの時期、飲食店のあり方についていっぱい考えた。

そして貸し切りに関して思ったのは、「貸し切り営業でお客さんがやらかすのは、店のムードによるところもあるかもしれない」ということ。

こんなことを言っては身も蓋もないが、気軽な店ほど、軽く扱われるリスクがある。「ナメてもいい」店のナリが、やらかしを誘発している面もあるのではないか。

いやね、違うんです、普通に楽しく過ごしてくださる方が大半なのですよ。でも、何回も言うけど、僕たちって1回のやらかしダメージが割とぐさっと残るのよね。

そのダメージ回避のためには、僕らが自らのポジショニングを変えれば良い。気軽ゾーンから撤退して、もうちょっと大人の飲み方が似合う店になったら、やらかされリスクが減るのでは。

そういう思いもあって、あれこれリニューアルして、今のボクモになったのです(実際はボクモが変わった理由は他にもたくさんあるのだけれど)。

そしてようやくコロナが明けた今、あのデンジャラスな貸し切りをどう捉えるか。

考えた結果、今のボクモは「条件つき」で貸し切りに対応している。

その条件とは、「ボクモのことを好きでいてくれる方からの依頼かどうか」。

偉そうですみません。何様だよとの誹りは甘んじて受けます。でも14年やってきて、これが今の最適解かなと。

その貸し切り会の後も、お客さまとお店が良い関係でいられることを僕らは望んでいるので。

そして今週、コロナ明けで初めて貸し切りの会をやっていただいた。

お世話になっているワインのインポーターさんの忘年会だった。お酒業界の方は飲み方がとても綺麗。支店長さんのスピーチも素晴らしかった。

会の途中で、僭越ながら、そのインポーターさんが輸入しているニュージーランドワイン「クラウディー・ベイ」のテイスティングコメントを言わせていただいた。

日本に届いたばかりの新ヴィンテージワインをテイスティングして、すぐさま自分のコメントを考えて、プロたちの前で発表するという、なかなかスリリングな体験だった。

今後も良い関係が続きそう。そう感じる会になってありがたかった。

ちなみに、「クラウディー・ベイ」のソーヴィニヨン・ブランの新ヴィンテージは2023。ピノ・ノワールは2021。いずれも、ボクモワインでは年明けくらいから販売開始予定です。

詳しいコメントは、また販売サイトの方に書きます。どっちもかなり美味いですよ。

ちなみに、12月のボクモは、週末はご予約で埋まっていますが、1月、ぜんぜーん埋まっておりません。

ボクモのことを好きでいてくださる奇特なあなた。貸し切りよろしくです!笑

 

PS

ボクモワインはクリスマスセール中です。年末年始用に、心躍るようなNZワインをぜひ。

https://wine.bokumo.jp/

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この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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