嬉しいうっかり

先週の土曜日。

開店直後、マスク姿のひとりの男性がドアを開けました。

そして店内をキョロキョロ。ちょっとあやしいかも?

「あの、今日って、、、」

その言葉を聞いて、昔の記憶が瞬時に蘇りました。

もしかして、Tくん?

僕がそう言うと、彼はマスクを外しました。

ああ、やっぱり大学のサークルの同期Tくんだ。

たぶん会うのは卒業以来。26年ぶりかな。

「あの、今日って、あるよね?」

え?何が?

「何って、70周年の二次会。」

???

それって、来週だよ。

「え・・・しまった、やってもうた!」

翌週、サークルの70周年パーティーがお昼に名古屋のホテルで行われます。その後、ボクモに何人かが集まって二次会をやってくれることになっているのでした。

聞けば、彼はパーティーには不参加で、二次会から合流するつもりでボクモにやってきたそう。

しかし、痛恨の1週勘違いのミス。「しまったー!」を連発していました。

結局、「三重からせっかく出てきたから、ちょっと飲んでいくよ」となりました。

学生時代にマンツーマンでじっくり話したことなんてなかったかも知れないな、と思いながら、カウンターで近況トークに花を咲かせました。

仕事のこと、家庭のこと。これからのこと。色々話し、学生時代から枝分かれて、お互いずいぶん遠くまで来たなあと実感しました。

しばらくすると、彼は愛知県にいる同期のひとりNくんに連絡。ボクモにいるから来てよ、と誘ったところ、フットワークの軽いNくんは、その40分後、「もう、なんで間違えるかなあ」と笑いながら店に入ってきました。

そこからは3人の同窓会。結局閉店間際まで盛り上がりました。いやあ、楽しかった。

彼がうっかりしてくれたおかげで、図らずも濃密なおっさんトークができました。

これが、同期や先輩後輩がいっぱいいる翌週ならば、こんなにたくさん話すことはまず出来なかったでしょう。

しかしちょっと気になったのは、Tくんはその日、「名古屋で大事な用事がある」と奥さんを説得してはるばる名古屋までやってきたこと。共働きでお子さんも小さいので、そりゃ当然か。

が、問題は、Tくん、果たして奥さんに勘違いしていたことを白状するのかどうか。

もし白状したとして、翌週の本来の会にまた参加することを許してもらえるのかどうか。

帰り際、僕とNくんは、「また来週ね!」としつこく言ったのですが、Tくんは決して首を縦に振りませんでした。

働く妻と幼子を置いて、2週連続ひとりで名古屋に行くなんて、Tくんの家庭ではありえないことなのかもなあ。

となると、Tくんに会いたかっただろう他の面々は、今回は会えずになっちゃう。

うーん。それはそれで寂しい。

どうかTくん、掃除とかお弁当作りとかいろいろ頑張って、2週連続のお許しがでますように。

ちなみに、最近の僕のうっかりは、本屋さんで「お!これは良い本だな」と思って買って、家に帰ってパソコンを開いたら、すでに電子書籍で購入済みだったこと。

「紙でも電子でも両方読めるっていう贅沢を買ったんだ」などと開き直っておりますが。

どうかこれを奥さんが見ていませんように。

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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