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ラジオに出演します

10年ぶりに古巣のラジオ局に行ってきました。

先月、編成局長さんから「番組にゲスト出演してもらえないか」というメールをもらいまして、僕でいいんかいな、と思いつつも、お受けすることに。

事前に送られてきた企画書には、こう書いてありました。

「ナビゲーターの鉄平がマスターをつとめる架空のスナックに毎週ゲストを招いて、そのゲストの過去・現在・未来をインタビューする。」

あれ、やっぱ、僕じゃダメじゃない?

だって、それって有名な人が出演する前提の企画でしょう。

案の定、これまでのゲストを見ると、シンガーソングライターのaikoさんとか書いてある。そりゃaikoさんの過去とか未来とか、聞きたいわ。

それに引き換え、こちらは全リスナーが知らないおっさん。過去とか未来とか、心底どうでも良い。

ははーん、さてはゲストブッキング、行き詰まったな。

そうだよな、ゲストありきの番組って、けっこうブッキングが大変だもんな。わかるわかる。

それにしても岩須て。

まあでも、鉄平さんとはラジオディレクター時代にいっしょに番組をやっていたし、ボクモにもちょくちょく飲みに来てくれる。ボクモの10周年イベントでは司会をしてもらい、大いに会を盛り上げてくれた。

お世話になってる人の番組のお役に立てるならば、ここは行くしかない。鉄平さんと二人で話すのも面白そうだし。しばらくぶりにスタジオにお邪魔することにしました。

しかし、知らないおっさんの話は興味がない問題は、どうしよう。

そうだな。

誰だよこのおっさん。まあでもなんとなく聞いていたら、少しは役に立つことを言うから許してやるか。

リスナーさんにとってそれくらいを目指せばいいのかな。

と思って少々ネタを仕込んで臨むことにしました。

収録当日、僕はちょっとだけドキドキしていました。

スタジオは、僕が19歳のときにアルバイトのADで働き始めてから13年間通った場所。当然、たくさんの思い出がある。

どうだろう、久々に行ったら、思い出がぶわっとよみがえるのかな。

いや、10年も経てば、きっとがらっと変わっているだろう。隔世の感を感じこそすれ、センチメンタルな気分にはならないかもな。

あ、これって、何かと似ているな。

そうだ。同窓会に行くときの心持ちだ。年を取った自分と、年を取った仲間が久々に会う。お互いどう思うんだろう。自分は、あいつは、いい年の重ね方をしているだろうか。

そんなことを思いながら、フロアのドアを開けました。

すると。

あら・・・この感じ・・・

時を経た元職場は、驚くほど変わっていませんでした。

テーブルの配置、CDライブラリーの場所、3つあるスタジオ、打ち合わせスペース。窓から見える景色。ぜんぶいっしょでした。

働いている人は当然若い人が多かったですが、もう30年近くいる重鎮もちらほら。

「久しぶり。だけど、ナオキがここにいるの、違和感ないねえ!」

先輩方にそう言われました。

離れてもう14年経っているのに、そんなふうに言ってくださってありがたいなと思いつつ、そういう先輩方は、昔と変わらない感じで仕事をやっていて、ちょっとタイムスリップした気分にもなりました。

しかしなんというか、あまりの変わってなさに、やや拍子抜けしましたが、いやいやこれってすごいことなんじゃないかとも思いました。

だって、ラジオ産業が、ほとんど姿を変えずにキープしているってことですもんね。

それに比べ、僕はあれこれもがいているな。ころころ姿を変えている。

ボクモは最初、ワイン居酒屋みたいな感じだったけど、そのバルと呼ばれるようになって、今はニュージーランドワインバー。2年前からは通販もやって、毎日ああでもない、こうでもない、を繰り返している。

キープからはほど遠い。と自分では思っている。

いや、待てよ。

店は同じ場所で維持はしている。シェフも僕もそこで14年変わらず働いている。

これって、端から見たら、キープか。

そうかもな。

久々のラジオ局も、あの頃と変わらないと思ったのは、たかが1時間ぐらいの滞在だったからかもしれない。きっと中ではいろいろ皆さんもがいているんだろうな。たまたま、僕から見えているのがキープしている一面だったということで。

考えてみたら同窓会もそうですね。

久しぶりに会って乾杯して、元気?変わらないね〜なんて話してても、実際は仕事や家庭でみんないろいろ抱えているわけで。

みんなそれぞれのポジションで、なんとか自分をキープしながら生きている。表面的には変わっていないようでも、細胞は入れ替わり、毎日ちょっとずつ変わっている。

そうか。

考えてみたら、キープを意識すべきは、目に見えるところじゃないのかも。

なんていうか、「ずっと大切にしたい思い」。そこを見るべきだったな。次にスタジオにお呼ばれするときがあったら、ガワじゃなくて、人の思いをちゃんと見ないと。

僕にとってその思いは、なんだろうか。

「面白いと思うことやる」かな。

ラジオって面白そう、からラジオ業界に入り、飲食って楽しそう、で飲食をやっている。今回も久々にスタジオに行くのが面白そう、と思ったから行ったんだもんな。そして、実際に収録はとても面白かった。行って良かったです。



ちなみに、今回、出演する番組用に仕込んでいったネタは、「マッチングアプリ必勝法」です。

ワインバーのマスターがカウンターで悩める男女の話を考察して導き出したやり方です。

詳しくはオンエアをお聴きいただけるとありがたいです(後日ポッドキャストでも聴けるみたい)。

2023年9月23日(土)23:30~24:30
ZIP-FM「Limelight」ナビゲーター:鉄平
ゲスト:岩須直紀

深夜とは言え、ちょっと危ないところもありました。鉄平さんガッツリ下ネタ言ってたし。あのへんは全部カットだろうなあ。若きディレクターさん、編集頑張ってください。

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この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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