汗をかく仕事

毎日、ひどく暑い日が続きます。通勤だけでいっぱい汗をかきます。

消臭スプレー業界はきっと景気が良いんだろうなあ。あと、日傘業界とハンディファン業界、それに首に巻くなんか涼しそうなやつ業界も。

ところで「汗をかく」という言葉。

汗腺から液が出る現象以外にも、「一生懸命に仕事をする」という意味でも使われますよね。

昨日はまさにそのダブルミーニングがぴったりな日でした。実際に汗をかき、比喩的にも大いに汗をかきました。

昨日は、たまたまスタッフ不足の日。

ボクモは基本的に3人で店をまわします。シェフと僕、そしてアルバイトスタッフで仕事を分担する仕組みになっています(ちょっと前は4人のときもありましたが、改装して席を減らしてからこうなりました)。

しかし、昨日はたまたまスタッフの予定があわず、僕とシェフのふたり営業に。

シフトはずいぶん前に決まっているので、人手が足りない日になるというのはわかっていました。でも平日だし、まあ難なくやれるだろうと高をくくっていました。しかし甘かった。予想が外れ、昨日は嬉しい悲鳴デーとなりました。

まず、久しぶりの開店準備から汗をかきました。

いつもはスタッフにやってもらっている開店前のルーティンのあれこれを、久々に自分でやってみると、ああ、ここはもうちょっとこうした方がいいな、という発見がいくつもあって、狭い店内をあっちに行ったり、こっちに行ったり。そしてあっという間にオープン時間に。

オープン直後は、東京からいらっしゃったニュージーランドの製品を輸入している貿易会社の方のお出迎え。コース料理+ワインのペアリングなので、割としっかりとテーブルに張り付く必要があります。そこに、ご予約の方、常連さまがどどどっと入ってきて、一気に忙しくなります。

さらに昨日は、ボクモでアルバイトをやってみたいという大学生が、お父さんといっしょに見学がてらご飯を食べに来てくれました。

話したいこともいっぱい。常連さんとも話したい。コースのケアも必要。ペアリングのワインの提案も必要。新規のお客さんもやってくる。ボトルワインのオーダーに何種類か持っていって提案する。グラスワインの注文が入る。カクテルの注文も入る。わーいわーいてんやわんや。もう、大汗です。

ちょっと落ち着いた頃、「今から7人いける?」のお電話。お席が空いていなかったので、ごめんなさいしちゃったのですが、正直ちょっとほっとしたりもしました。経営者としてはアカンですが。

しかし料理もワインもよく出ました。シェフもいろいろとカバーしてくれてありがたかった。

心地よい疲労感とともに、たくさんのワイングラスを残し、終電に飛び乗りました(こういうときは翌日のスタッフがオープン前にグラスを洗浄することになってます)。

車内で思いました。

たまにはこういうのもやらないとな、と。普段は見守り役っぽい感じのポジションで店にいるけれど、プレーヤーになる日も必要なんだな、と思いました。

車内でLINEを確認すると、なんと。

明日入ることになってるスタッフが、手を怪我したと。洗い物、ちょっと厳しいかも、という連絡が入りました。

はいはーい。わたくし、今日もちょっと早めに入ります。昨日のお客さんの顔を思い出しながら、またせっせと開店準備をやるとします。

今日もいい汗をかきたいぞ。

あ、消臭スプレー、買い足しておこう。

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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