野球場にワイン党を送り込む作戦

 

プロ野球観戦が好きです。

僕の家からナゴヤドーム、あ、今シーズンから改名してバンテリンドームナゴヤか!長いな!筋肉痛に効きそうだな!が、まあまあ近いので、夏は、ほとんどビアガーデンに行く感覚でドームに行きます。

しかし、最近、楽しいビアドームガーデンに、あるものが足りていないことに気づきました(いや、本当はだいぶ前から気づいていたのですが、まあ、しょうがないか、と諦めていた)。

それは、ワインです。

またワインの話かよ、とお思いの方、そのとおりです。

だって、これはソムリエのブログ。ソムリエとは、世の中で起きている全ての事柄をワインに結びつけてしまうヤバい人を指す言葉です(違うか)。

カキーンとホームラン!グビッと生ビール!

それは、めちゃくちゃいい組み合わせであることは間違いないんですが、はっきり言って、ちょっとクラシカル寄りです。

日本のビールの消費量はご存じのとおり減っています。

ここ30年で6割くらいの減。

対するワインは、ここ30年で3倍くらいに伸びています。

令和元年の国税庁のデータだと、ビールの消費量は年間223万2千kℓ、ワイン(甘味果実酒含む)の消費量は、36万2千kℓ。

だいたい61くらいの割合。けっこうワインも飲まれているんです。

球場に来る人は、なんとなくビール党が多そうな気もしますが(ハイボール・サワー党と掛け持ちしている人も多いでしょう)、それでも、僕みたいなワイン党も決して無視できないくらいの数がいることは、データから言って間違いないと思います(僕はまずビール党に入党してからワイン党に寝返るタイプですが)。

でも、ワイン、売ってない。もしかしたら売ってるかのかも知れないけど、見たことない。

もったいないです。

だって、ワイン党は、美味しいワインのあるところに群がるという習性があります。

その習性を、ドームさん、逃す手はありませんぜ。

「プロ野球見に行こうよ。」

「えー、ぜんぜん選手のこととか、わかんないし。」

「大丈夫。美味しいワインがあるから、楽しいよ。」

「本当!?それなら行く!」

こうなるのがワイン党の幹部クラスの方々です。僕の肌感覚ではけっこう多いです。

僕は毎年秋に、名古屋のど真ん中にある公園で開催されていたお祭りに「青空ワインバー」と称して、20種類ほどグラスワインが飲める屋台を出店していました。

そこで感じたのは、「美味しいワインを出していると、けっこうな確率でリピートしてもらえる」ということ。

「また来たよ!」

「さっきは白にしたから、今度は赤にする!」

「ロゼもあるんだ、また来なきゃ!」

そんな方がとても多かったです。

ワイン党幹部クラスの方々は、その日のアルコール摂取量をワイン以外のアルコールに奪われたくないと思っています。なので、繰り返しワインをお求めになることになるのです。

ワインを置いても、最初はそれほど反応がないかもしれません。でも、「美味しいワインが飲めること」をいったん知ると、もう、彼らにとっての球場は、「球を投げたり打ったりする人がいるワインバー」です。

そして、そこで重要になるのが「おつまみ」です。そう、彼らは、おつまみの売り上げにも非常に貢献します。

なんせワインは、おつまみとのペアリングで飲む方が、がぜん幸福度が上がる飲み物です。

たとえば、名古屋名物の味噌串カツ赤ワインのペアリングセット。ああ、もう、売れる予感しかしない。

どて煮赤ワインのペアリングセット。これも売れる。紀文のちくわおでん白ワイン。悪くないぞ。

容器は、使い捨てのワイングラス型のプラカップ。ドリンクホルダーにはまるサイズのものは、市販品でいくらでもあります。球団ロゴを入れてもいいでしょう。

ワインのサイズは、フルボトルだとちょっと大きいので、ハーフボトルがいいな。もし何人かで飲めるなら、白から赤への流れも作りやすいし。瓶ごと売るんだったら、グラス売りみたいに鮮度管理をしなくてもいい。お店は冷蔵庫に突っ込んでおけばいいから楽ちんです。

ああ、妄想が止まらない。

止まらないついでに、最後に、銘柄を書いておきましょう。

ドームは、4大ビールメーカーとのお付き合いがあります。現実的な話、ワインを仕入れるとなると、そのビールメーカーからとなるでしょう。なので、それを踏まえて具体案を考えてみました。

  • キリン → グループ会社のメルシャンから シャトーメルシャン(日本) 山梨 甲州<ハーフボトル>
  • サッポロ → サンタリタ(チリ) 120(シェント・ベインテ)カベルネ・ソーヴィニヨン<ハーフボトル>
  • サントリー → グループ会社のサントリーワインインターナショナルから フレシネ(スペイン) コルドン・ネグロ <ハーフボトル>
  • アサヒ → グループ会社のエノテカから シレーニ(ニュージーランド)ソーヴィニヨンブラン <ハーフボトル>

ちゃんとNZも入れます。ぬかりはありません。

ワイン党幹部クラスの皆さんは、きっと上記銘柄に異論大アリでしょう。俺ならもっといい提案できるぜ、と思っているはずです。そうこなくちゃ。思いついたら、ぜひ教えてください。

さあ、いかがでしょう、ドーム関係者の皆さん。

もし検討してくださるならば、党員の意見を吸い上げて、「究極のワイン党ホイホイ」となる提案をいたしますぜ。

今週のワインとおつまみ

SOUTHERN CROSS HAWKES BAY CHARDONNAY 2013

サザンクロス ホークスベイ シャルドネ2013

サザンクロス ホークスベイ シャルドネ2013

NZワインって、ちょっと古めのヴィンテージのものは日本ではほとんど流通していません。リリースされたらすぐ飲んじゃった方が美味しいワインが多いからです。

そんな中、なかなか珍しい「リーズナブルなのにちょっと古い」ワインに出会いました。それがこのワイン。

南十字星をモチーフとしたとてもシンプルなラベル。場所はやや温暖なホークス・ベイ。ぶどうはシャルドネ。飲むと少し樽っぽいニュアンスがある、まろやかな味。鼻から焦がしキャラメルのような香りが抜けます。

アルコール度数も12%と、ニューワールドにありがちなハイアルコール感がなくて、バランスがとれている。いいぞ!

ペアリングはどうしようかな、、、そうだ!最近、ハマってるあのお菓子が良いかも、と思いついて、あわせてみました。

バウムロール

ブルボンのバウムロール。

よし、大成功。幸福度、爆上がりです。

バウムロールは、樽のニュアンスのある白ワインに、最も手軽にあわせられるアイテムのひとつかなと思います!

この記事の筆者

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。
ニュージーランドワインと多国籍料理の店「ボクモ」(名古屋市中区)を経営。ラジオの原稿書きの仕事はかれこれ29年。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。

一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ

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ボクモワイン代表 岩須直紀

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