非常に当たり前のことを言います。
人生、「やらなきゃいけないこと」に溢れている。
さらに、店をはじめるとなると、そりゃあもう、溢れるというよりは、水道管が破裂して、マンホールを突き破って天高く噴出するような状況。それが、今です。
ただ、そのやらないきゃいけないことの中で、楽しさを見つけていくこと、それが多くの大人にとっての必要なスキルなんだと思います。
僕は、自分の店をはじめる前、東京のちょっと大きめの飲食店でキッチンのアルバイトをしていました。そのときお世話になった料理長がそのスキルのことを熟知している人でした。
ある日の休憩終わり。僕に課せられたのは、ダンボールひと箱分のじゃがいもをフライドポテト用にカットするという作業でした。
クソ重いイモ入りダンボールをキッチンまで運ぶだけで、汗をかきます。腰が痛い。
あーあ、今からこれをカットするのかあ、ゲンナリするなあ。そういう顔を僕はしていたのでしょう、横で見ていた料理長は僕に言いました。
「よーし、ガンちゃん(当時の僕のあだ名)、ひと箱何分で切れるか、ストップウォッチで計るからな。これは、タイムレースだ。月間の優勝者は、まかないを豪華にしてやるから。いくぞ、よーい、スタート!」
まじか!俺、まだ入って日が浅いんだけど!こないだカットの仕方ようやく教えてもらったばかりなんだけど!!
焦りながらも、夢中でじゃがいもをカットします。腕が痛くなる。握力が下がってくる。でもひと箱やり遂げねば。
「はい、10分過ぎた。残念。時間切れ。このキッチンの最高記録は5分半だよ。まだまだ、豪華まかないへの道は遠いなあ。」
悔しかったです。でも、楽しかった。10分なんてあっという間でした。
この日以来、このじゃがいもタイムレースが僕の楽しみになっていました。今思い返しても、あのときの料理長、さすがだなあ、と思います。仕事というのは、楽しさをみつけるゲームなんだよ、ということを教えたかったんだと思います。
開店準備の中で、商品登録などの単純作業をやるときには、「キーボード入力早打ちタイムレース」とかやってみようかな。「誰がキレイに梱包できるか選手権」とかも良いかもしれない。
一方で、そうやってゲームをこしらえなくても、最初からゲームのような仕事もあります。僕の場合、それはデザインに関すること。
メニュー表や店内に貼る掲示物をデザインしているときは、もの凄く没入してしまう。まあ、我流でやってるだけなので、仕事と呼んじゃいけないんだけれど。
小学校の頃は6年間、絵画教室に通っていました。僕には最高の遊び時間でした。学校の図工や美術の時間はパラダイスだと思っていました。将来、絵とかデザインの仕事をやりたいと思っていたなあ。
今も、街の中にあるデザインを見るのは大好きで、フォントを選んだり、ロゴを描いたりするのも楽しい。そういうデザインまわりのことは、僕にとっては、ほぼゲームです。ずっとやっていられる。
でも、逆にそれだと困ることもあります。なぜなら、忙しいときにそればっかりやっていたら、仕事にならないから。
今は、ワインショップ立ち上げのために、商品構成を考えたり、数字とにらめっこしたり、棚を作ったりと、やること満載の時期。そこに、ゲームを挟んでいる余地はない。
やはり、餅は餅屋。ロゴはデザイナー。ということで、今回は、仲良くしていただいているデザイナーの高杉さんに依頼をして、新しく始めるワインショップのロゴを2案作っていただきました。
これがどっちも良くて決めかねちゃったので、ウェブで投票をしていただくことに。その結果、B案の六角形のロゴに決まりました。
こういうクオリティのを僕が作るとなったら(たぶん作れないけど)、楽しくて楽しくて、まる2週間くらいかけちゃうところでした、あぶねえ、あぶねえ。
というわけで、無事に顔が決まったNZ専門ワインショップ「ボクモワイン」、次のステップは、クラウドファンディングです。
もう、はじまってます!
詳細はこちらから御覧ください!
今週のワインとおつまみ
Aozora Sauvy Marlborough Sauvignon Blanc 2019
アオゾラ ソーヴィー マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン2019
なんつうオシャレなワイン名でしょう。
晴れ渡る空を想像させてくれます。
実はこれ、インポーターさんの提案で日本向けに作られたラベルです。こういうの、良いですね。生粋のニュージーランドワインですが、日本語のAOZORAという名前がついている。手に取りやすさがぐんと上がると思います。
味わいは、ピンクグレープフルーツのようです。綺麗な酸味とほろ苦さが心地よいです。
お値段は2,000円くらいと割とリーズナブルなので、スイスイ系かな?と思いきや、違います。しっかりコクがあるタイプで、かなりお買い得感があると思います。
僕が組んだクラウドファンディングのセットにも入れてみました。
おつまみであわせたのは、唐揚げです。
最近、唐揚げ屋さんって割とブームですよね。大きな国道沿いに必ずある存在になってきたように思います。ただ僕は、「唐揚げってわざわざ買いに行くものかねえ。」って、ブームをクールに静観していました。
しかし、あっちから近づいてくるとは卑怯です。ほんとうに困るのですが、通勤路に唐揚げ屋さんができてしまったのです。
帰り道、吸い寄せられる。行ってしまうではないか。食べてしまうではないか。まったくクールじゃない。アツアツじゃないか!
そして、さらに困ることに、唐揚げはソーヴィニヨン・ブランとめちゃくちゃ相性がいい。ほんと困る。ソーヴィニヨン・ブランとあうからしょうがない、とか理由付けてまた行っちゃうじゃん!もう!太る!