ボクモは、たまにイベントをやる飲食店です。理由は、僕がイベント好きだから(なぜ好きかは、また改めてじっくり話します)。
実は、以前は年間100本近くのイベントをやっていた年もありましたが、今は、たまに、のペース。あまりにイベントをやりすぎると、飲食目当てのお客さまが「あー、またイベントやってるよ。静かにご飯食べたかったのに。」となって帰ってしまう。そりゃそうだよな。両立って難しい。
ここ数年は、イベントの時間と飲食の時間を明確に分けながら、それでもやりたいので、不定期で、音楽イベントやトークイベントの営業も続けているという状態です。
しかし、このコロナ騒動。やはり人の集まるイベントはやりづらい。ライブハウス(イベントスペース)、夜の飲食店は、マスコミによって密の烙印を押されてしまった最たる業種。「イベント+夜の飲食」のコンボなんて言ったら、W密の超デンジャーゾーンと感じる方がいることは分かっています。
だから、やれない。観客を入れたイベントは、まだ難しい。
飲食はまだいい。いや、良くないですけど、うちの場合、5割減、4割減の状態ではありますが、なんとか生きています。降水量はだいぶ少ないけれど、なんとか枯れずに立っている。
トークイベントに出てくださるようなパネラーの方や、趣味で音楽をやっている方は、だいたい本業を持っているので、まあ、そこまでは枯れない(心は枯れ気味かも、ですが)。
問題は、「専業ミュージシャン」です。専業ミュージシャンは活動の場があまりになさすぎます。ライブという現場の仕事がないと、水が一滴もない。干上がるスピードは、僕ら飲食よりも速いのは容易に想像がつきます。
そんな中、彼らは、なんとか「配信ライブ」をやって食いつなごうと頑張っています。
頑張ってはいますが、正直思うのは、配信、どうかな。魅力がちゃんと伝わっているのかな。ちゃんとお金は入ってるのかな。心配だな。ってこと。
やっぱり、配信ってのは、便利ではあるけれど、生とは別物です。ボクモに出演してくださるような方は、生の魅力、迫力でお金を稼いでいる方がほとんどです。楽器が鳴り、声が響き、みんなが固唾を飲む。1曲終わってわーっと拍手が起こる。小さな空間の中で、空気の振動が伝わる。そうやってはじめて価値が出るタイプの方々です。やっぱ配信でそれは表現できないです。
でも、なんとか、現場の仕事を作らないといけない。魅力を伝えるのが難しいとわかっていても、配信をやらざるを得ない。配信だからこそ出会える人もいるかも、そんな願いも込めて。枯れないように、思いつく限りの色んなところに水を汲みに出かけて、集まったわずかの水で生き延びている感じ。
まだ、配信の仕組みを作れた人はいい。枯れないようにじっと水分が逃げるのを耐えているだけの人もいます。現状、エンタメはけっこうしんどいです。しかし。
「その職業を選んだのがミスだったね。」
どこからかそんな声も聞こえます。そうですか、そうですよね。でも、まさか、仕事を選ぶときに「感染症に弱い職業は選ばない方がいい」という考えは頭をかすめもしなかったなあ。誰かのその言葉はグサッと僕にも刺さっております。
でも、それって、あの原発の近くに住んで大変な思いをしている人や、土砂災害に巻き込まれた人に、その土地を選んだのがミスだったね、と言っているのとそんなに変わらない。当事者でなければ対岸の火事。他人事。
もちろん僕にもそういう面があります。何か不幸なことがあったとき、ああ、自分はそうじゃなくてよかった、となるって別に悪いことじゃない、普通の反応だと思っています。
ただ、僕の場合、やっぱりこれまでにボクモに出ていただいたミュージシャンが頭を抱えているのは、対岸の火事とは思えない。僕がボヤならあっちは大火事です(今回なぜか、水とか火のたとえが多くなってしまった)。
これまでの彼らのパフォーマンスは、この小さな空間の隅々まで届いているという実感が、僕にはあります。スタッフとしてそばで聞いていて、ああ、狭い空間の生演奏の一体感、たまらないなと、いつも、新しく感動します。
参加してくださった方ひとりひとりに、「ねえねえ、今日のライブ、よかったでしょ!」と毎回話しかけたいくらい。実際、常連さんにはそう言ってます。そしてその反応はすこぶる良いことが多い。
だから、ミュージシャンって「感動作り屋さん」だなって、心底思います。
今日は、そんな感動作り屋さんの近くにいる僕から、ちょっと訴えたいことがあります。他人事と思えない僕から、みなさんへ。
これまで、「ライブで感動した経験」を持っている方〜。挙手をお願いします。
はい、手を挙げていただいたみなさん。
「生演奏って、なくなるべきものじゃないですよね?」
ご飯を食べること。クーラーの効いた部屋で過ごすこと。とても大事です。
映画を見ること、釣りに行くこと、パチンコに行くこと、お酒を飲むこと。人によってはかけがえのないことでしょう。
じゃあ、生演奏を見る、これはどうですか?
あなたの中で、優先順位はいかほどですか?
お願いがあります。
その順位、もう1個だけ上げていただけませんか?
いや、「ボクモの11周年パーティーがこれです」と言ったら、さらにもう1個あがりませんか?
どうでしょう。
ということで、こんな告知、させてください。
「ボクモ11周年 無観客配信パーティー!」
2020年9月20日(日)17:00〜20:00頃
チケット代 3500円+α TwitCasting(ツイキャス)プレミア配信
出演: 蜂鳥あみ太=4号+大須賀聡+田村賢太郎 功刀丈弘+悠情+望月雄史 即興演劇:中村宙矢 名古屋淳(ロクディム) オープニングアクト:たかきゅう 村脇優 DJ:ACURA 音響、映像、配信システム:HOT SHOW NITE
ボクモにゆかりのある方、お初の方、いろいろごちゃ混ぜの3時間。連休真っ最中の、日曜夕方のお楽しみ。ライブあり、演劇あり、DJあり、そしてきっとイントロクイズ大会もやっちゃいます。
購入・視聴はこちらから。 ▶「ボクモ11周年 無観客配信パーティー!」配信チケット
もし、あなたが生演奏に3,500円払ってくれたなら、500円弱はシステムなどの経費(ボクモの利益はナシにします)。残り3,000円以上が、パフォーマーのためのお金になります。枯れずに生きるためのお水になります。
出演ミュージシャンによっては「寄付」の窓口を持っていますので、ライブ時にそのリンクを紹介することも考えています。
趣味にお金を使うんなら、本当に好きなことに使いたい。わかります。映画館も閑古鳥、スポーツジムも退会だらけ、お酒を飲む店も(例に漏れずボクモも)キツい。だから、なくなって困る施設にお金を落とそう、そう考えていただけるなら、それって素晴らしいし、めちゃくちゃありがたい行動です。けどね、ステージを失った専業ミュージシャンはガチでキツいんです、と言いたい。なので、どうか、愛の手を。
こうやって書いてしまうと、もうただのお金クレクレの人と思われるかもしれません。それでもいいです。だって、「しゃーないな。恵んでやるよ。そんで、ちっちゃい画面でライブ見てやるよ。」の方が、ハードルが下がって、実際の配信ライブが、めっちゃよく感じるかもしれないし。
「やっぱり生しかイヤ派」のみなさんもいらっしゃるでしょう。でも、ライブが見られるようになったとき、そのミュージシャンが活動を辞めてしまっていたら、もうその人のライブは見られません。それは寂しくないですか。当たり前ですが、ミュージシャンの活動資金は、この自粛期間にも必要なのですから。
なんだか、だいぶ感情的になっている気がしますが、とりあえず、したかったのは「無観客配信パーティーの告知」です。
もう一度、参加アドレスを載せます。
あと、パーティーと銘打つからには、なんとかパーティー感を出したい。
そこで、こんなことを考えてみました。じゃーん。
- ハーフボトルのワイン(NZ産)つきチケット(+1,500円)
- フルボトルのワイン(NZ産)つきチケット(+2,500円)
- ボクモの割れないワイングラスつきチケット(+1,000円)
- 悠情さんの生演奏をバックに歌うことができる権利(後日)つきチケット(+10,000円)
ワインつき、ワイングラスつきのチケットを買っていただいた方には、飲みながらパーティーに参加して、空間共有の疑似体験ができる(ほんのちょっとボクモの利益が含まれます)。
それから、悠情さんのフィドル(バイオリン)の生演奏をバックに歌うことができる権利というのは、エンタメの「送り手」と「受け取り手」が、新しい関係を結べるかどうかの実験です。詳しくはお問い合わせください。先着で限定1組です。
これらの+αのチケットは、ボクモ店頭で受け付けます。ワインの販売免許は持っているのですが、通信販売の免許がないので、店頭でのお渡しとなります。
分からないことがあれば、info@bokumo.jp までお問い合わせください。
去年の10周年パーティーは、クラブクアトロに230人の方が来てくださいました。本当にありがたかった。もし、あのパーティーの計画が今年だったらと思うと、ぞっとします。いや、ぞっとします、じゃない。対岸の火事にしてしまっている。いかんいかん。だって、今年、大事なイベントをやるはずだった人たちがいっぱいいるのだから。私の対岸は、誰かの大火事。対岸には隣人の隣人がいる。肝に銘じなきゃ。
最後にもう一度アドレスを。
半沢直樹までには終わりますので、なにとぞよろしくお願いします!