2021年ニュージーランド・ヌーヴォー販売開始!最新情報をお届け

ワイン乾杯

 南半球に位置するニュージーランドから、今年も夏のヌーヴォーが届きました!

ニュージーランド・ヌーヴォーは、例年7月上旬に販売がスタートしますが、今年(2021年)は、COVID-19の影響などがあり、販売開始時期に遅れが生じています。ですので、今年は販売が開始されたワインから順番に情報を更新しています。

 

COVID-19は、ワイン業界にも大きな影響を与えています。そんな中でも「美味しいワインを届けよう」という生産者達の頑張りで、少し遅れはしたものの今年もニュージーランド・ヌーヴォーが日本にもやってきました。

「これを飲まなければ夏がはじまらない」という僕にとって、今年のヌーヴォーは例年以上に感慨深いものがありました。

そして、ニュージーランド・ヌーヴォーをまだ知らないという方には、これを機に、ぜひ一度体験していただきたいと思います。2021年産もとても美味しいですよ!

本記事では、ニュージーランド・ヌーヴォーの基本知識と2021年の最新情報をお届け致します。
【この記事の登場人物】
なっちゃん
Web系の会社に勤める29歳。もっとワインを楽しめるといいな、とワイン勉強中。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。

「ニュージーランド・ヌーヴォー」の特徴

 

そもそも「ニュージーランド・ヌーヴォー」って、どんなワインなんでしょうか?

 

はい、まずは基本のところからお伝えしていきますね。

ヌーヴォーとはフランス語で「新しい」という意味で、ワインの世界では「その年に収穫したぶどうを使ってつくった新酒」のことをを指します。

つまり「ニュージーランド・ヌーヴォー」とは、今年採れたばかりのぶどうを使ってつくられたフレッシュなNZワインということになります。

ヨーロッパやアメリカなどワインの主要な生産国はそのほとんどが北半球にあり、ぶどうの収穫時期のピークは8〜10月頃になります。一方、NZは南半球にある国なので、季節が北半球とは逆になり、ぶどうの収穫時期は2〜4月頃となるのです。その為、NZでは世界の中でもいち早くその年に穫れたぶどうをつかったワインが出来上がります。

そんな「ニュージーランド・ヌーヴォー」には、NZワインならではの魅力が沢山詰まっています。まず、NZワインの7割以上を占める「ソーヴィニヨン・ブラン」は、パッションフルーツやトロピカルフルーツなどの弾けるような果実味と、清涼感たっぷりシャープな酸が特徴です。

ソーヴィニヨン・ブランは、瓶詰めからあまり時間が経っていない方が、より一層その個性が発揮される品種であると言われています。ヌーヴォーはまさに出来たてのワインなので、ソーヴィニヨン・ブランのフレッシュさが際立ちます。

また、一部のワイナリーでは、NZの赤ワインの主要品種である「ピノ・ノワール」で新酒をつくります。こちらは、赤いベリー類の香りがとても親しみやすく、少し冷やして飲むのがおすすめです。

どちらの品種でも、ニュージーランド・ヌーヴォーはアウトドアやオープンテラスなど、太陽の下がよく似合うワインです。機会があれば、ぜひ青空の下で味わってみて下さいね。

 

2021年のヴィンテージ(ぶどうが収穫された年)は、例年と比べてぶどうの収穫量が大幅に減少しました。

しかし、そのぶどうの出来は大変素晴らしく、期待のできる年であるというレポートがいくつもあります。今年は、凝縮感が高く、力強いワインになるポテンシャルがありそうです。

「ニュージーランド・ヌーヴォー」の定義など

白ワインイメージ
 

ヌーヴォーと聞くと、ボジョレー・ヌーヴォーが思い浮かぶのですが、ニュージーランド・ヌーヴォーとはどんなところが違うのでしょうか?

 

そうですね、そのあたりについても軽くふれておきましょう。

ボジョレー(ボージョレ)・ヌーヴォーは、フランスのボージョレ地区でその年に穫れたぶどうをつかってつくる新酒です。毎年11月の第3木曜日午前0時から世界で一斉に販売が開始されることでも知られていますよね。

また、販売解禁日以外にもボジョレー・ヌーヴォーとして販売されるワインには、ワインに使用するぶどう品種をはじめ、製法にも細かいルールが定められています。 

ボジョレー・ヌーヴォーや世界の新酒について、さらに詳しくはこちらから

一方、「ニュージーランド・ヌーヴォー」と呼ばれるワインには、実は国による明確なルールや定義がありません。それぞれのワイナリーが、消費者に新酒(収穫されたばかりのぶどうを使ったワイン)であることを分かりやすく示す目的で「ヌーヴォー」というネーミングが使われています。
 

なるほど〜、ニュージーランド・ヌーヴォーには細かいルールはないということなんですね。ということは、ボジョレーみたいな解禁日もないんでしょうか?

 

はい、そのとおりです。各社一斉にというわけではなく、自由に販売開始日を設けています。

今年は、7月下旬に「ヴィラマリア」のヌーヴォーの販売がはじまり、8月中旬に「シレーニ」のヌーヴォーの販売がスタートしました。

それでは、順番にお伝えしていきます。

NZの人気ワイナリー「ヴィラマリア」のヌーヴォー

ヴィンラマリア/ヌーヴォー2021

画像引用元:木下インターナショナル株式会社

岩須も当Webサイトで度々ご紹介している「ヴィラマリア」は、NZを代表するワイナリーの一つで、世界の数々のワインコンクールで多数の賞を受賞しています。

ヴィラマリアで販売されるヌーヴォーは、定番のソーヴィニヨン・ブランと、ブラッシュ・ソーヴィニヨンという少し珍しいソーヴィニヨン・ブラン主体のロゼです。では、まずは王道の「ソーヴィニヨン・ブラン」からご紹介します。

ヴィラマリア プライベート ビン ソーヴィニョン・ブラン 2021

ヴィラマリアのソーヴィニヨン・ブランのヌーヴォーは、「アーリー・リリース」という名前で販売されます。

そのアーリー・リリースには、ヴィラマリアが所有するマールボロ地方の複数のサブ・リージョンで育つ、早熟のソーヴィニヨン・ブランが使われています。

ワイナリー ヴィラマリア(Villa Maria)
地域 マールボロ
品種 ソーヴィニヨン・ブラン
収穫年 2021年
アルコール 13.5%
おすすめ料理 シーフードや白身の肉料理全般、前菜
希望小売価格 2,200円(税込)

今年のぶどうの出来は?

夏は乾燥した穏やかな気候であり、マールボロ地方の特徴とも言える豊かな日照時間と涼しい夜のおかげで、ぶどうの生育にとって理想的な条件が揃いました。秋の初旬の気候も安定しており、ぶどうの実は健康で熟した風味を保つことができたようです。

また、ぶどうの収穫量制限を行っているため、凝縮感のあるパンチの効いた香りのぶどうが出来ました。

醸造・熟成方法について

マールボロ地方を代表するサブリージョンであるワイラウバレーとアワテレバレーから収穫されたぶどうを使用しています。

収穫されたぶどうは、破砕・圧搾された後48時間静置。その後、それぞれに異なったステンレスタンクで低温発酵(12-14℃)されています。

岩須のテイスティングコメント

NZを代表するワイナリーの1つ、ヴィラマリアだけあって、さすが!完成度が高いですね〜。

まず柑橘系やパッションフルーツの華やかな香りを、とても強く感じます。

味わいは、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘系。酸味がしっかりあり、余韻にほんの少しのほろ苦さが残ります。ほのかにスパイシーさも感じられますね。全体としてはかなりすっきりとした、爽快な辛口ワインです。

 

サーモンや生ハムを使ったサラダ、あるいは、アジフライや唐揚げなどの揚げ物、鶏肉や豚肉(ソテーやグリル)にもぴったりですよ。 このワインが1本あれば、一気に食卓は夏気分。食事が華やかになると思いますよ。

ポントヴィーニョ/プライベートビン ソーヴィニヨン・ブラン 2021

ブラッシュ ソーヴィニヨン 2021

ブラッシュソーヴィニヨン画像提供:木下インターナショナル株式会社

そして、ヴィラマリアのヌーヴォーに新しく加わったのは、NZで人気の「ソーヴィニヨン・ブラン」と「ロゼ」の両方の良さを一度に楽しめるような「ブラッシュ・ソーヴィニヨン」というワインです。

ソーヴィニョン・ブランのパッションフルーツやフレッシュなハーブ感に、メルローの花や繊細なベリーが加わった、鮮やかなアロマを楽むことができます。

ワイナリー ヴィラマリア(Villa Maria)
地域 ニュージーランド
品種 ソーヴィニョン・ブラン88%、メルロー12%
収穫年 2021年
アルコール 12.5%
おすすめシーン 食前酒や、屋外のシーン
希望小売価格 2,200円(税込)
 

このワインはしっかりと冷やしてから飲みましょう。爽やかな味わいで、BBQやキャンプなど、屋外のシーンにもバッチリです。

ポントヴィーニョ/ブラッシュ ソーヴィニヨン 2021

 

ヴィラマリアの「ヌーヴォー」のステッカーが貼ってあるワインは、早期出荷のみの限定品です。見つけたらすぐゲットが吉!ですよ〜

「シレーニ」のヌーヴォーも、販売開始!

シレーニヌーヴォー

画像引用元:エノテカオンラインショップ

日本に輸入されるNZワインの中で上位の輸入量を誇る「シレーニ」では、2021年は8月中旬よりよりヌーヴォーが販売開始されました。

今年のぶどうやワインの出来は?

2021年は、ぶどうの熟度が急上昇したために早めの収穫を迎えました。年間を通して例年より暖かく乾燥した気候により、果実の色合いと味わいが非常に優れたブドウが結実したとのことです。

シレーニのシニア・ワインメーカー、ケーン・コギル氏は、2021ヴィンテージのワインについて

収穫チームとワイナリーチームの頑張りによって、今年も選りすぐりのブドウを使ったシレーニのワインを造ることが出来ました
(引用元:エノテカオンラインショップ)

とコメントしています。

販売されるワインについて

シレーニから販売されるヌーヴォーは、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールの2種。贈り物にもぴったりな、2本をセットにしたギフトボックスも販売されています。

先述の通り、一口に「ニュージーランド・ヌーヴォー」と言ってもその製法に特に決まりがあるわけではありません。ですが、シレーニの場合はヌーヴォー用に特別な製法でワインがつくられています。そのため通常のヴィンテージのワインとヌーヴォーの違いがより明確に感じられるはずです。

シレーニ・ヌーヴォー ソーヴィニヨン・ブラン

シレーニ・ヌーヴォー ソーヴィニヨン・ブラン引用元:エノテカオンラインショップ
ワイナリー シレーニ・エステート(Sileni Estates)
地域 ホークス・ベイ
品種 ソーヴィニヨン・ブラン
収穫年 2021年
アルコール 13.5%
おすすめ料理 サーモンサラダ、夏野菜、シーフード
希望小売価格 2,090円(税込)

シレーニでは通常、ソーヴィニヨン・ブランは南島のマールボロ産のぶどうを使用していますが、こちらのヌーヴォーには北島のホークス・ベイ産のぶどうが使われています。

ワインの製法としては、まずステンレスタンクでぶどうの果皮を低温で短時間果汁に漬け込みます。そして、主発酵とマロラクティック発酵と言ってワインの中のリンゴ酸が乳酸に変わる発酵を行います。そうすることで、酸味がまろやかになり、香りと果実味を際立せてくれるのです。

ワインは、熟した桃やトロピカルフルーツ、柑橘系果実のアロマに、爽快なハーブのニュアンスが重なり、果実味と酸のバランスが心地良い、軽やかなスタイルとなっています。

よく冷やして飲むことで、より一層際立つ香りを楽しむことができます。多少薄くなっても冷えたままのワインが良いという方は、氷を入れて楽しむのも悪くないでしょう。

シレーニ・ヌーヴォー ピノ・ノワール

シレーニヌーヴォー赤引用元:エノテカオンラインショップ
ワイナリー シレーニ・エステート(Sileni Estates)
地域 ホークス・ベイ
品種 ピノ・ノワール
収穫年 2021年
アルコール 12.5%
おすすめ料理 ポークソーセージのラグーニョッキ
希望小売価格 2,090円(税込)

ピノ・ノワールは、通常の製法でつくられたものに、ボジョレー・ヌーヴォーをつくる際にも行われる「マセラシオン・カルボニック」を行ったものが少量ブレンドされています。

マセラシオン・カルボニックは、簡単に言えば、密閉タンクにぶどうの房を潰さず入れ、炭酸ガスが充満した酸素の少ない状態でワインを発酵させる方法のこと。その方法でつくられるワインは、フレッシュな果実味と柔らかなタンニンを引き出し、アロマティックなスタイルに仕上がるのが特徴です。

チェリーやいちごなどのフローラルなアロマが鮮やかに香ります。口当たりは柔らかく、フレッシュかつジューシーな果実味。そして活き活きとした酸の余韻が、長く続きます。軽く冷やすとさらに美味しく味わえる、チャーミングな1本です。

 

日本に入ってくるNZの赤のヌーヴォーは、おそらくこのシレーニのピノだけだと思います。軽やかでスイスイ飲めるのがとても良いですね。

数年前、冷えたこのヌーヴォーを、海水浴場に持って行って飲んだのですが、そのときは「まさに夏に飲むべきワインだ!」と実感しました。

エノテカオンラインショップ

夏は、フレッシュな「ニュージーランド・ヌーヴォー」を楽しもう!

ピクニック・ワイン

 世界の中でもいちはやく、今年収穫したぶどうでつくられたワインが味わえる「ニュージーランド・ヌーヴォー」。COVID-19の影響も大きい中、例年よりはやや遅れながらも、日本にも上陸しました。

収穫して間もないぶどうで特別につくられたニュージーランド・ヌーヴォーは、香りと味わいにそのフレッシュ感があふれています。フルーティーさが魅力であるNZワインの長所が、さらに強調されたスタイルとなっていますので、ぜひ、キリッと冷やして飲んでみてください。

日本の暑い夏を乗り切るアイテムとして、NZのフレッシュな新酒が、あなたの定番になることを願っています!

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
1 / 4