世界最難関ワイン試験に密着!映画「ソム(SOMM)」のあらすじと感想

 

岩須さん、Amazonプライムで気になるワイン映画を見つけました!

でも、普通のほのぼのした映画じゃなくて、めちゃめちゃ難しいワインの試験の話みたいなんですよね〜。

わたしでも理解できるか、ちょっと心配なんですけど…(笑)

 

それはきっと…「ソム(SOMM)」ですね!

たしかにこの作品、題材が題材なだけに、少し専門的な内容かもしれません。

でも、ワイン初心者の人でも大丈夫だと思いますよ。ワインの専門的な話を理解しようとして見るんじゃなくて、世界で一番難しいのワインの試験って、どんなんだろう?ってドキュメンタリーとして見れば楽しめるはずです。

そして、この映画を見るだけで、知らず知らずワインの知識も吸収できると思います!

今回ご紹介するのはワインの最難関試験に挑む受験生たちに密着したドキュメンタリー映画「ソム(SOMM)」。"ソム"とは、ソムリエの略です。 

ソム


引用元:amazon

主人公たちが目指すのは、ソムリエの最高峰資格「マスター・ソムリエ(MS)」。

この試験は大変難易度が高く、合格率は3〜8%と非常に狭き門となっています。受験生たちは、その合格を勝ち取るために人生を賭け、まさに血の滲むような努力をするのです。

映画は試験の3週間前からスタートし、試験当日までの様子が収められています。その中では受験生たちの勉強風景と共に、様々な立場の人たちがマスター・ソムリエやその試験に対し、熱く語る様子が伝えられています。

マスター・ソムリエの資格取得の為には、"いかにワインに囲まれた環境をつくりだすか" ということが重要。独学で突破することは困難で、メンターや仲間の存在が合格への鍵となるのです。

受験仲間同士でワインを持ち寄り、夜遅くまでテイスティングの訓練をする、主人公たち。テイスティングのコメントの際には、ときにはストレートすぎる言葉のやりとりで、ヒヤヒヤする場面も。真剣だからこそ、仲間との切磋琢磨が必須であることがよく伝わってきます。

最難関のワイン試験ということで、受験生のほとんどは不合格となるマスター・ソムリエ試験。主人公たちも、残念ながら全員が合格できるわけではありません。

一体、誰が合格するのか!?その結果からも目が離せない映画です。

【この記事の登場人物】

みかさん
アパレル会社に勤務する35歳。ワインにハマり始めてる今、ワイングラスが気になってしょうがない。
岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。

映画の詳細

※こちらのプロモーション動画に字幕はついていませんが、本編(日本版)では日本語字幕が付いています。

映画ジャンル ドキュメンタリー
テーマ ワイン、マスター・ソムリエ
製作年/国 2012年/アメリカ
時間 94分
監督 ジェイソン・ワイズ
キャスト イアン・コーブル、 ブライアン・マクリンティック、 ダスティン・ウィルソン他

この映画は、三部作になっています。「ソム」(2012)は第一弾としてリリースされました。それ以降は「ソム:イントゥーザ・ボトル」(2015)、「SOMM3」(2018)となっています。

第二弾の「ソム:イントゥーザ・ボトル」は、ワインの本質に迫るドキュメンタリー映画で、「ソム(SOMM)」に出ていたキャストも登場します。

「ソム」、「ソム:イントゥーザ・ボトル」の2作品は、Amazonプライムで視聴できます。

マスター・ソムリエ(MS)とは?その試験内容は?

 

本作の感想をお話する前に、この映画のテーマにもなっている「マスター・ソムリエ(MS)」について簡単にご説明しましょう。

冒頭でも触れましたが、マスター・ソムリエ(MS)はソムリエの世界最高峰資格です。

1969年にイギリスで初めてその試験が行われ、1984年にその国際試験機関として「コート・オブ・マスター・ソムリエ」が発足し、現在に至ります。

約50年続く歴史の中で今までの合格者は、世界でわずか269人。この試験がどれほど厳しいものであるかということを物語っています。

もう少し詳しく説明すると、マスター・ソムリエは「コート・オブ・マスター・ソムリエ」が定めるレベル1〜4の資格のうち、最高峰であるレベル4です。

それらの資格は下記の通り。

  • レベル1(イントロダクトリー:入門試験)
  • レベル2(サーティファイド・ソムリエ:ソムリエ認定試験)
  • レベル3(アドバンスド・ソムリエ)
  • レベル4(マスター・ソムリエ)

マスター・ソムリエを受験する為には、レベル1〜3まで3つの試験に合格しておくことが必要です。

また、よく混合されがちなワインの最難関資格に、マスター・オブ・ワイン(MW)という資格があります。

これはイギリスに拠点を置く「マスター・オブ・ワイン協会」が定めるものです。

少し分かりにくいので、整理すると、

  • マスター・ソムリエ(MS)→レストランやバーなどでのサービス(給仕)のプロの資格
  • マスター・オブ・ワイン(MW)→理論と試飲が重視のアカデミックな資格
という違いがあります。
 

学術的な試験であるマスター・オブ・ワイン。日本人の合格者は今まで2人。そのうち日本に在住している方は、大橋健一さん一人だけです。

ちなみに、日本でも(一社)日本ソムリエ協会が定める称号に、田崎真也さんなどが認定されている「マスターソムリエ」があります。 この日本のマスターソムリエの定義は、日本ソムリエ協会で、シニアソムリエの資格を有し、ソムリエ歴20年以上でその功績を認められ、選考委員会で推薦され与えられる名誉称号。

引用元:「日本ソムリエ協会:協会全般Q&A、Q8」

とされていて、日本ソムリエ協会の「マスターソムリエ」と、今回の映画で取り扱われるそれとはまったく別物となります。

マスター・ソムリエ(MS)試験の概要

マスター・ソムリエ(MS)の試験は年に1回だけ実施され、3日間に渡って行われます。 その試験内容は、

  • 理論 ワインを中心に幅広い知識を問うもの ※ワインの表記は多言語
  • サービス レストランでの給仕を想定したもの
  • 鑑定(テイスティング) 赤ワイン3種、白ワイン3種のブラインドテイスティング

の3つのパートで構成されています。

マスター・オブ・ワインの試験が筆記で行われるのに対し、マスター・ソムリエの試験は口頭で行われるということも、大きな特徴です。

映画の感想

少しマニアックな映画「ソム(SOMM)」。硬い話ばかりなのかと思いきや、意外にもワインを全く知らない人でも楽しめる要素がありました。

受験の様子が想像を超えていて、面白い

この映画では、主に受験当日までの勉強風景にスポットが当てられています。

受験生たちが人生を賭けて挑むような試験なので、その勉強や練習も想像を超えるハードさです。

その1つにワインの「鑑定(テイスティング)」があります。鑑定では、銘柄やぶどうが収穫された年を当てるなど、各ワインに対しとても詳細な事実の回答が求められます。

その対策として、マスター・ソムリエの受験生たちは、連日集まり、深夜までワインを飲みコメントを述べて練習をします。他の人の鑑定に疑問がある場合は、そこから激しい議論が交わされることも。

 

皆がワインの特徴を、ビックリするくらい早口でコメントしていました!

 
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また「理論」の試験では、非常に幅広い知識の習得が求められます。

彼らはその勉強に「情報カード」という、単語帳のようなものを使用します。彼らが使うカードの量は膨大で、4,000枚以上を持っているという人も…。彼らは片時もその情報カードを離しません。スーパーに行く時、ジムに行く時、ドライブ中、日常のどんな時でもカードを持ち歩き、理論を徹底的に頭に叩き込むのです。

 

主人公やその奥さんたちが「合格したら情報カードを燃やして、焚き火がしたい〜!」と語ってたのが笑えました!(笑)

ハイレベルなマスター・ソムリエの試験についてよく分かる

マスター・ソムリエの試験は、とにかくハイレベル!その様子が伝わる場面はまだまだ出てきます。

まず、ワインの香り。ワインを飲んで、これだ!と思う香りを的確に言葉で表現する必要があります。とても細かい香りの差をどう表現するか、その経験値と表現力の両方が試されるのです。 映画中に出てくるユニークな香りの表現としては、

「新しいテニスボールの香り」

「ホースを切った香り」

「プールで遊ぶビニールのおもちゃ」

「おばあちゃんのタンス」 

などが紹介されていました。

 

新しいテニスボール」って…(笑) 信じられない表現ばかりで、ワインの香りってこんなに幅広いのかぁ…と感心しました!

しかし、それぞれが考え出した独自の香りについては「そんな表現は、俺はしないね」など辛辣な意見を口にする人も。香りの表現の方法は人によって個性も出るようです。

また、鑑定やサービスの練習で主に登場する、試験官でもありマスター・ソムリエの先輩たちが、とにかく恐いんです。

↓こちらの写真は、マスター・ソムリエのフレッド・ディム

 
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Don’t be fooled, he is actually a big teddy bear. #somm3

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「そんな態度で試験に臨んでも受からない。金の無駄だ。」など、受験生たちに常に厳しい言葉を浴びせます。

その恐さが最も印象的だったシーンは、「サービス」の試験対策として、レストランを想定し試験官2人を客に見立てて給仕を行う場面。

客にどんな難題をふられても、的確で落ち着いた対応ができるかを問う練習だったのですが、フレッドを含む試験官2人が受験生に対し、常温で保存してあるワインを「今すぐ冷やせ!」と威圧的な態度で畳み掛けるのです。

一度持ってこられたワインがまだ冷え切ってなかったようで、最後は紙に大きく「C-O-L-D !」と書いて、さらに受験生を追い詰めていました。

 

これがめっっちゃ恐いんですよ〜!わたしには絶対たえられない…(笑)

真面目な練習風景での1コマでしたが、見方によっては「コント?」とも思えるほど、意地悪なお客を演じ抜く試験官たちのシーンは、この映画の見所の1つかもしれません。

受験生たちの生々しい感情も、ありのままに伝えている

この映画では、合格を目指して勉強をする主人公たちの苦悩や、葛藤、焦燥感などもリアルに描かれています。

普通は、出演者たちから「カットして下さいよ〜」と言われてもおかしくないようなシーンも、たっぷり収録されていて、試験の裏側で起こる人間ドラマを見ることができます。

同じ受験生でもそれぞれの個性があります。ひとりひとりが人間らしい側面を覗かせていますが、中でも秀才タイプのイアン・コ−ブル(写真中央)は、よく他の仲間に「いじられる」存在。

 
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The most surprising part of the Mueller report was the amount of pages dedicated to wether or not @iancauble’s wines were switched in the first film.

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仲間たちは、真面目で誰よりも努力し勉強するイアンに対し、"Dad"(お父さん)とあだ名で呼んだり、映画のインタビュアーに対して、ライバル心をむき出しにし「イアンを避けることが最も大事だ」と語り、牽制するのです。

 

イアンはとってもストイックな人なので、周りから警戒されていたんでしょうね。

少し意地悪な発言も多い彼らですが、皆がイアンを、心の底から尊敬し、彼から刺激を受け、意識を高めていることも、映画を通してよく伝わりました。

マスター・ソムリエという最難関試験の合格を目指す仲間は、同志であると同時にライバルでもあるということですね。

また、主人公たちを支える彼女や奥さんたちも、この試験中の辛さを赤裸々に語ります。 「(彼氏や旦那さんが)心ここにあらずな感じがずっと続いている」 「吐器(とき)を朝に見ると、げんなりする」 など、身内ならではの苦悩も。

※吐器=試飲したワインを飲まずに吐き出すための器

世界最難関のワインの試験であるマスター・ソムリエの受験は受験する本人だけでなく、周囲の人も巻き込んだ大勝負のようです。

 

いや〜、マスター・ソムリエの試験…とにかく大変そうでしたね!でも、意外に楽しんで見ることができました! それに、ちょっとワインの世界の雰囲気が分かったような気がします。

 

それは良かったです! この映画を見て、ワインの試験を頑張ろう!と思う人も多いみたいですよ。 テーマはマニアックですが、ワインのことや、それに関わる人たちの世界観がよく分かる作品でもあります。

ちなみに岩須は、映画の中で少し気になったことがあるようです。

 

日本語字幕が間違っている箇所がある気がしました。 僕が気づいたのは2箇所。 字幕で「サン・シール」と訳されていたのは「サンセール」だと思うのと、「セーヌ川」と訳されていたところは「ジロンド川」が正しいのではないかと思います。

2019年には、日本人初のマスター・ソムリエが誕生!

 

最難関と言われるマスター・ソムリエですが、実は昨年日本人で初めての合格者が出ました!

彼の名は、高松亨(Toru Takamatsu)。 オーストラリアのシドニー在住で、資格取得時の年齢は24歳。今までで2番目に若い合格者であることでも注目されました。高松さんは、なんと独学でこの試験に合格したそうです!

日本人初、しかも(現在)最年少のマスター・ソムリエということで、ワイン界ではかなりの注目度を集める高松さん。これから、日本のさまざまなメディアで彼の活躍が大きく報じられることでしょう。

まとめ

ソム(SOMM)は、最難関のワイン試験に迫ったドキュメンタリー映画。

ワインの世界の奥深さ、マニアックさを知るきっかけになる作品だと思います。 それと同時に、ワインというジャンルではなくとも、なにかにチャレンジしようとしている人には、努力の方法、仲間との関わり方、メンターとの関わり方、家族の支えなど、参考になる部分も多いのではないでしょうか。

 

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この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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