ピノ・ノワールの名産地として世界的に注目を集める、「セントラル・オタゴ地方(Central Otago)」。
2022年2月1日ニュージーランド知的財産庁は、この地方にあるサブリージョン「バノックバーン(Bannocburn)」を、ワイン生産のための正式な地理的表示(GI)として登録しました。
GIとは、Geographical Indication(ジオグラフィカル・インディケーション=地理的表示)の略で、地域の特産品を知的財産として登録し、保護する制度です。世界各国の条約や法令などによって運用されており、農作物や畜産食品、酒類などがこのGIに登録されています。
世界各国ってことは、日本にもあるんですか??
はい、日本にもありますよ。わかりやすいところでいえば、「神戸ビーフ」「夕張メロン」などがそうですね。 日本ワインでは「GI山梨」が最初に認可され、その後、北海道、長野、山形、大阪も認められています。
特産品と地名を結びつけ、登録し保護することによって、適切な評価や価値を維持することを目的としています。これは生産者の利益を保護するだけでなく、消費者にとっても産品に対する「信頼・信用」を保護することにも繋がるのです。
“特産品にその土地の名前をつけて守り、価値を高める制度”、ということですね!
バノックバーンが、GI認証の第一号に
NZ最南端のワイン産地であるセントラル・オタゴ地方には、現在6つのサブリージョンがあります。
これまで各サブリージョンでは、ワインの生産者団体「セントラル・オタゴ・ワイングロワーズ(Central Otago Wine Growers)」の支援のもと、それぞれのGI登録に向けて取り組んできました。
その中で、GI認証の第一号となった「バノックバーン」。GIに登録されたことによって、この「バノックバーン」という土地の名称はNZ国内外を問わず、法的に保護されるようになります。
セントラル・オタゴ・ワイングロワーズのゼネラルマネージャーであるジェイク・ティプラー氏は、
今回、バノックバーンが登録されたことは、他のサブリージョンがGIの登録をするための道筋となります。
セントラル・オタゴというブランド名は、この産地にとって最も大切です。ただ、さらに細かいサブリージョンの表示に関しては(これまで法的な縛りがなかったため)不当表示にあたるワインが存在してしまう可能性が懸念されてきました。
サブリージョンは、ワインを語る上で重要な「複雑さ」や「微妙な違い」を生み出してくれます。 今後、その独自性がGIによってしっかりと保護されることを願っています。
引用元:THE COUNTRY(Wine region Bannockburn registered as a Geographical Indication)
と述べました。
一帯が盆地になっている「バノックバーン」は、冷涼なセントラル・オタゴ地方の中ではもっとも温暖で乾燥している地域です。
この地域でつくられるピノ・ノワールは、骨格が柔らかく丸みのある果実の味わいが特徴で、長期熟成が可能な高級ワインも数多くつくられています。
このバノックバーンのスタイルは、セントラル・オタゴを象徴するものとなりました。そして、1990年代末より世界的に高い評価を受け、注目を集めるきっかけとなったのです。
バノックバーンでは、「フェルトン ロード」「マウント ディフィカルティ」「キャリック」などのワイナリーが有名です!
岩須の感想
セントラル・オタゴには、今回登録された「バノックバーン」の他に、「ギブストン」や「ワナカ」、「クロムウェル」「アレクサンドラ」などのサブリージョンがあります。
以前、僕がセントラル・オタゴ地方を訪れたとき、これらの産地を巡りました。実際に車を走らせ、印象に残ったのは「セントラル・オタゴの中には、ぶどう畑やワイナリーがかなり広範囲にわたって点在している」ということです。
もちろん、それぞれの気候や風土にはかなりの違いがあり、生み出されるワインの個性も異なります。
今回、高級なピノ・ノワールの産地として名高いバノックバーンが、まずGI登録されたことは、他のサブリージョンにとって、今後認定を受けるための追い風になることと思います。そうなると、生産者はさらに自分たちのエリアの個性を追求するようになるのではないでしょうか。
いちワインファンとしては、「自分たちのブランド」と「土地のブランド」を両方高めていこうと考えるワイナリーが増えてくれたら嬉しいですね。