アーダーン首相が自主隔離。オミクロン濃厚接触者に

ニュージーランドの新型コロナウイルスニュース

NZのジャシンダ・アーダーン首相が、新型コロナウイルス・オミクロン株の濃厚接触者にあたるとして、自主隔離を行っています。

アーダーン首相は1月22日、ニュージーランド航空のNZ8273に搭乗し、滞在先のワイタンギからオークランドへ移動。しかし、この便が“Locations of interest list”(濃厚接触の恐れがある場所のリスト)に追加され、搭乗者は濃厚接触者として隔離が要請されました。

アーダーン首相の隔離は、2月1日火曜日までの10日間の予定となっています。

「ワイタンギ・デー」関連の収録でワイタンギに滞在し、濃厚接触者に

アーダーン首相は、ニュージーランド総督のシンディ・キロとともにオークランド北にあるWaitangi(ワイタンギ)を訪問、Waitangi Day(ワイタンギ・デー)関連の番組の収録を行っていました。

「ワイタンギ・デー」とは、2月6日のニュージーランドの建国記念日(ナショナル・デー)。1840年、ニュージーランドの主権を握ろうとしたイギリス政府と、先住民であるマオリ族の首長たちとの間で条約を結んだ日です。これにより、ニュージーランドは英国領となりました。ニュージーランドの最初の条約とされ、この日はいわゆる建国記念日(ナショナル・デー)となっています。

ワイタンギ条約は、マオリ語の翻訳に問題があったこと、マオリが得るはずだった権利が保証されなかったことなど、論争になることも多いのですが、ワイタンギ・デーには調印を記念した式典などのイベントが毎年行われています。

アーダーン首相はワイタンギ訪問後、今回問題となったオークランドへの便に搭乗。同じ便に乗っていたキロ総督、首相の報道官、そして総督のスタッフも隔離を余儀なくされています。

昨年第22代ニュージーランド総督に就任した「シンディ・キロ」については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。

3回目のワクチン効果は?

首相の体調は、1月30日の朝の時点では、無症状で健康状態は良好であるとし、同日に受けた検査では陰性であることがわりました。しかし、自主隔離は予定通り2月1日までは続けられます。

アーダーン首相は1月17日に3回目のワクチン接種を終えていますが、オタゴ大学の免疫学の専門家アッシャー氏によると、飛行機に搭乗した頃にはその効果が出てるが、完全ではないだろうとのこと。3回目の接種は、接種後1〜2週間で有効となり、70%ほどの効果があるとみられています。
 
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ニュージーランドでは3回目の接種を大幅に前倒し、2回目から3回目が4ヶ月以上あいていれば接種が可能となっており、現在はワクチン接種対象者469万人のうち、約28%が3回目の接種を終えています。

感染経路の追跡

ニュージーランドはパンデミックが始まった当初から、陽性者の感染経路追跡に力をいれており、Ministry of Health(保健省)が濃厚接触の可能性がある場所のリスト、Locations of interest listの公開を続けています。

また、アプリを使用し、訪れた場所のQRコードをスキャンすることで、国民は濃厚接触の疑いがある場合に通知を受け取ることができます。

このリストは、以前にはオミクロン株の感染の可能性がある場合の記載がありましたが、現在は変異株の種類を問わず一律にリスト化されています。保健省では、最近のオミクロン株の感染拡大の状況から、今後も感染者が増加傾向にあるとし、感染の可能性がある場合にはすぐに検査を受け、保健所の指示に従うようにと呼びかけています。

ニュージーランド国内の1月30日の陽性者数は103人。そのうち何名がオミクロン株の感染なのかはわかりませんが、近日の感染拡大の動向からオミクロン株の広がりが大きいとみられています。

現状の陽性者数や感染エリアの規模であれば、感染経路の追跡も機能していますが、日々の感染者数が1000を超えるとこのシステムの利用も限定的なものになるそうです。

濃厚接触の可能性があるLocations of interest listのリストはこちら

この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
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