12月9日、Health Ministry(日本における厚生労働省)は、若年層へのたばこの販売を禁止する法案を発表しました。
これにより、2009年以降に生まれた人は、ニュージーランドで初となる一度も喫煙したことのない世代になるかもしれません。
世界に先駆けたこの法案は日本でも即日ニュースに。世界中が注目しています。
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ニュージーランドの禁煙政策
ニュージーランドは2004年に屋内すべての公共の場での喫煙を禁止しています。タバコの値段も上げており、現在はなんと1箱約2,500円。
WHO『世界保健統計2021年版』によると、ニュージーランド人喫煙率は約15%、世界105位という順位にランキングしています(ちなみに日本は約22%で世界76位)。政府はこの喫煙率を2025年までに5%以下にしようという取り組みである"Smokefree 2025"に力をいれています。
喫煙率を5%以下にするためには
- 子供たちをたばこのマーケティングやプロモーションから守る
- たばこの需要、及び供給を減らす
- 喫煙者の禁煙をサポートする
2023年施行を目指す
この法案は来年には議会を通過し、2023年には実際に施行されると見られています。実際にどの年齢層が、生涯たばこの購入を禁止されるのかは現在検討中ですが、2009年生まれ、2023年に14歳となる層以下が対象となる見込み。
これは、10代後半に喫煙者が多いのに対し(もちろんNZでも違法)、14歳以下になると喫煙率が1%にも満たないのを理由に設定されました。14歳以上には禁煙のサポートを提供しつつ、14歳以下は今後完全に喫煙歴がない世代となる可能性が高いと期待されています。
施行後も販売されるたばこには、ニコチン量を低く設定する規制がかけられる予定。低ニコチン量のたばこの臨床試験はいくつも行われており、それらを元に量が設定されるそうです。徐々にニコチンの量を減らし、禁煙する人を増やす狙いです。
また、現在8,000箇所ほどの小売店で販売されているのを、500箇所程度に削減する予定。また、たばこに関する宣伝も制限されるとのこと。喫煙率5%達成へ、じわじわと国が動いています。
喫煙率5%以下へは課題も
喫煙率を5%以下にする取り組みには課題もたくさんあります。まず喫煙者には低所得者や精神的に健康ではない人が多いこと。ヨーロッパ系ニュージーランド人よりも、マオリ系、パシフィック系ニュージーランド人に喫煙者が多く、特に多いのがマオリ系女性で32%が喫煙者、その次がマオリ系男性で25%。国全体では15%を切っていることを思うとかなり大きな数字です。
政府は規制を行うだけではなく、現喫煙者に対する喫煙サポートが重要だとし、より実用的な禁煙対策を提供する予定。特に、マオリ系、パシフィック系に向けた専門の政府サポートグループの設置が検討されています。
また、たばこが裏取引されることも懸念されています。政府は来年の3月から、闇市場の規模をリサーチするとし、当然、違法な輸入・販売へは罰則が課せられます。
政府は、喫煙者のほとんどが禁煙をしたいと考えているとし、たばこ販売、購入の規制だけでなく、禁煙サポートを充実させ、国民の命を守ることが何よりも重要だとしています。禁煙を推し進める法案は、現在4,000〜5,000人ほどいる喫煙が関係する病気による死亡者を数千人単位で減らし、ニュージーランドの医療費を50億ドル(日本円で約3800億)削減できると期待されています。