ニュージーランドは、ジェンダーギャップ指数の総合順位10位以内の常連であり、世界的に見ても男女格差が少ないとされています。しかし課題はまだ多く、女性が活躍の場を広げているという事が当たり前という状況には及ばず、ニュースとして取り上げられることもしばしばあります。
レスキューヘリコプターは、以前は男性が中心に活躍する職場の一つでした。10年前は男性ばかりだったこの世界も、徐々に女性隊員が増えているそうです。
オークランドを拠点にするレスキューヘリの団体は、救命救急士の五分の一、救命救急医にいたっては半分が女性隊員が占めるようになりました。
ヘリ乗組員スタッフの一人が国営放送のインタビューに答えています。
▶︎1News:More Kiwi women pursuing careers on rescue helicopters
子供の頃からの憧れ
現在、オークランド・ウエストパック・ヘリコプター・レスキューで、初めてのエアクルーオフィサーとして働くミッシェル・マクレーンさんは、子供の頃からレスキューヘリに関わる仕事をする事が夢だったと語ります。
子供の頃、ヘリが学校の校庭を着陸地にすることがありました。その度にフェンス越しに覗き見たものです。真っ赤なヘリから降りてくる隊員たちはみんなスーパーヒーローに見えました。その姿に刺激を受けたのを今でもはっきりと思い出せます。しかし、そのヒーローたちが全員男性だったということは全く気にならなかったです。どんなキャリアであっても、女性にだって目指す権利があります。
とマクレーンさん。
マクレーンさんが働き始めた時には、トイレは男性が使うことしか想定されていなかったといいます。
ここ近年で、女性スタッフが増えたものの、レスキュー現場では
まだまだ「ヘリにこんなに女性隊員がいるなんて思わなかったよ」と言われることはよくありますよ。
とマクレーンさんはコメントしています。
ニュージーランドの郊外では、救急車が到着するまでに30分、病院まではそれ以上かかることもしばしばあります。
助けを求める人々にとっては、数分がまるで数時間のように感じてしまう…そんな人々を助けるために、力になりたいと思っていたマクレーンさんは、今の仕事に大きなやりがいを感じているそうです。
“好きなこと”を仕事に
ヘリコプターのパイロットとして活躍している女性もいます。
スー・ディンケラッカーさんはレスキューヘリ総飛行時間1万時間を超えるベテラン。
飛行時間が1万時間を超えるのは、飛行機のパイロットとしては決して珍しいことではありません。でもレスキューヘリは一回ごとの飛行距離、時間が短いので、飛行機のように一日長い時間を飛ぶことはありません。
ディンケラッカーさんは、このレスキューヘリでキャリアを積み上げていくにつれ、活躍する女性の姿を見る機会が増えてきたと言います。
乗務員、救命士、そしてエンジニアと、多くの女性がいます。女性パイロットだということを驚かれることは多いですが、だからと言ってネガティブな経験をしたことはほとんどありません。最初はびっくりしても、その後ほとんどの人が応援してくれます。
ディンケラッカーさんは家族に何人もパイロットがいるとか。好きなこと、そして情熱を持って向き合える仕事ができて幸せだとコメントしています。
また、
女性を代表して、高いスタンダードで、良い働きをすることを求められても、好きなことなら苦労はないです。
とも語っています。
広がる女性の活躍の場
オークランド地方では、10年前は女性の救命救急士やヘリの乗務員は存在しませんでした。
しかし、現在前線で活躍するスタッフのうち、約20%が女性であるそうです。さらに、救命医の半数近くを女性が占めるなど、女性の活躍の場が広がっています。
マクレーンさんは、自分自身憧れていたスーパーヒーローになれると信じてキャリアを積み重ねてきたとコメントしています。
そして、
古い固定概念に縛られず、自分の夢を突き進んで欲しいです。男性社会と言われる職業であっても、必ずチャンスはあります。私ができたのだから、あなたにもできます。
と語りました。