アオテアロア・ニュージーランド? まさかの国名変更?!

ニュージーランドはAotearoa(アオテアロア)に国名を変えるべき? ニュージーランドの国営放送がこんな興味深い世論調査を行いました。

Aotearoaはニュージーランドの先住民、マオリ人の言葉でニュージーランドを指します。

実はニュージーランド、以前から国旗を変更すべきとの声もあり、2015〜2016年には国民投票が行われたほど。結局現状維持という結果になりましたが、今度は国名です。

Aotearoaの由来

8~10世紀ごろ、無人島だったニュージーランドに渡ってきて定住したのが東ポリネシア系のマオリ人。そのマオリの人たちが、おもに北島を示す言葉としてAotearoa(アオテアロア)と名付けました。

北島を見て「長い白い雲(=Aotearoa)」のようだ、と思ったことが名前の由来とも言われていますが、実はAotearoaという言葉の意味には諸説あります。

AotearoaはAo(雲)/tea(白い)/roa(長い)またはAotea(カヌー)/roa(長い)と分解できます。

Aoは「雲」という意味の他に「夜明け」「日中」「世界」、teaは「白い」の他に「透明」「明るい」とも訳せます。roaは長いという意味。「Long white cloud(=長い白い雲)」が一番一般的に知られている訳になっています。

今回、この国名をめぐって、ニュージーランドの政党の一つで、先住民であるマオリの権利を守ることを方針として掲げるMāori Party(マオリ党)は、国名を正式にAotearoaとすることを求める署名運動を開始。1週間で6万人もの署名を集めました。

ニュージーランドの国名の由来は?

では、そもそもニュージーランドはなぜニュージーランドと呼ばれているのでしょうか。著者自身もニュージーランド留学当初、冗談で「新しいジーランド?」なんて聞かれたことがあるのですが、実はほぼ正解?!

ニュージーランドを初めて「発見」したヨーロッパ人はオランダの探検家、アベル・タスマン。1642年、ニュージーランドを発見したタスマンは、飲み物と食料を補給しようと、上陸を試みますが、マオリに見つかり、争いになったため上陸を諦めました。タスマンは自分の故郷、オランダのZeeland(ゼーランド)にちなみ、Nieuw Zeelandと名付けました。(Nieuwは古オランダ語でNew)。その後1645年にオランダの地図制作者によってNova Zeelandiaと変更され、これが現在のNew Zealandの由来となっています。

タスマンの発見から100年以上あとになって、イギリスの海洋探検家、ジェームス・クックがヨーロッパ人として初めてニュージーランドへの上陸を果たしました。

国名変更世論調査の結果は・・・?

現在ニュージーランドの人口の7割以上がヨーロッパ系、マオリは約17%ほどですが、マオリ語は英語、手話とともにニュージーランドの公用語。公共の施設では、施設名が英語、マオリ語の併記になっていたり、あらゆるところでマオリ語を見ることができます。ニュージーランド国歌もマオリ語ー英語の順に歌われます。

しかし、知っての通り、国名はニュージーランドと英語のみ。これに対し、「ニュージーランドはヨーロッパではない、太平洋にあり、Aotearoaだ」というのがマオリ党の主張。

国営放送が行った公式の国名をどうするべきかという世論調査では、58%が「今のままNew Zealand」、41%が「AotearoaまたはAotearoa New Zealand」という結果がでました。

この国名を変更すべきとした41%のうち、公式に国名をAotearoaとするべきと答えたのは9%、Aotearoa New Zealandとマオリ語ー英語両方にすべきと答えたのは31%でした。

ちなみにニュージーランド首相のジャシンダ・アーダーンは、Aotearoa New Zealandが望ましいとコメントしています。

マオリ党は、ニュージーランド国内の地名、都市名も、2026年までに全てマオリ語に戻したいという意向を示しており、今後の動きが注目されます。

ちなみにニュージーランドは、現状、場所によって英語だったりマオリ語だったりと、混在していますが、その中で一番長い地名は、ホークスベイにある

“Taumata whakatangi hangakoauau o tamatea turi pukakapiki maunga horo nuku pokai whenua kitanatahu”(タウマタファカタンギハンガコアウアウオタマテアポカイフェヌアキタナタフ)

意味は

“the place where Tamatea, the man with the big knees, who slid, climbed and swallowed mountains, known as ‘landeater’, played his flute to his loved one”

“大きな膝を持ち、山を滑り、登り、飲み込んだ”ランドイーター”と言われる男が愛する人のためにフルート(鼻笛)を吹いた場所”

これ一個の地名です!(現地にある看板は単語間のスペースなし)。

国旗は結局変更となりませんでしたが、国名はどうなるのでしょうか・・・?

この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
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