「ニュージーランドのラム肉や牛肉は、カーボンフットプリントが低く、炭素効率性が高い。」そんな研究結果が発表されました。
「カーボンフットプリント」とは、日本語にすると“炭素の足跡”。商品が製造され、消費・破棄・リサイクルされるまでの過程で排出される温室効果ガス排出量をCO2に換算した数値です。温室効果ガスは地球温暖化に及ぼす影響が大きいとされ、いかに排出量を削減できるかが世界中で大きな課題となっています。
ニュージーランドの食肉が環境に良いということは以前からいわれていましたが、最新の研究でもそれが証明されました。酪農も地球温暖化など環境への影響が大きな問題となっているため、NZの食肉がエコであることがアピールできるのは牧場関係者にとっても消費者にとっても良いニュースです。
牧場のカーボンフットプリントは世界平均の半分以下
ニュージーランドで酪農業に関わる国内外のリサーチを行っている機関「AgResearch(アグリサーチ)」が行った包括的な研究では、ニュージーランドと世界各地の牧場の炭素排出量が比較されています。
ニュージーランドの牧場では、牧草地帯の約20%を草木が生えている状態にし、二酸化炭素の吸収を促すなど、牧場自体の炭素効率化が進んでいます。そのようなことから、牧場でのカーボンフットプリントは世界平均の約半分となっています。
そのため、NZ国外へ輸出されたとしても、世界各地の輸出先で生産されている食肉とカーボンフットプリントが変わらない、またはむしろ少し低いという結果が出ました。
ゲップから出るメタンガスを減らす
酪農で排出される温室効果ガスの中でも、特に問題となるのが羊や牛のゲップから出る「メタンガス」です。
羊や牛は、一度飲み込んだ食べ物を再び口の中にもどし、再咀嚼する反芻(はんすう)動物。胃が4つあり、食べ物の消化に時間をかけますが、第一胃に入る微生物の働きでメタンが発生するそう。そして、ゲップをすることでこのメタンガスが体外に排出され、大気中へと出ていき、温暖化の原因となります。
ニュージーランドでは多額の予算を費やし、生産量を保ちながら羊や牛から出るメタンガスを減らすために、遺伝子や飼料、ワクチン、牧草管理など様々な研究が行われています。
羊や牛にとってもメタンガスの生成は無駄なエネルギーを消費しているということ。そのため、メタンガスの生成が減らせれば、環境問題だけでなく、羊や牛の体調改善にもつながるとされています。
森林保護の取り組み
羊や牛を放牧するためには、広大な土地が必要となります。そして、放牧地をつくるために、森林伐採が行われることが世界でも問題になっています。
ニュージーランドでは、そんな牧草地拡大による森林破壊を防ぐ取り組みも行われています。その取り組みの一つが、食肉の生産レベルを維持したまま、羊や牛の飼育頭数を減らすことです。たとえば羊の場合、頭数を5000万頭から2700万頭に減らすことに成功しています。
そのような取り組みの結果、ニュージーランドの牧草地は30年前と比較し400万ヘクタールも少なくなり、かつ1ヘクタールあたりの家畜数は少ない状態となっています。
また、放牧はずっと同じ場所で行うのではなく、エリア間で羊や牛を定期的に移動させるローテーション方式が採用されています。これは同じ場所で放牧しすぎると、羊や牛が牧草を食い尽くしてしまい土地を傷めていまうので、ローテーションすることによって土地が再生されるようにするためです。
ニュージーランドのラム肉輸出量は世界第二位で、牛肉の輸出量も世界上位。そのため、環境に良い酪農業を維持するのはとても重要です。食肉の環境に対する悪影響が懸念されている現状で、世界への大きなアピールになります。
みなさんもスーパーでNZ産のラム肉や牛肉を見つけたら、ぜひ買い物かごにいれてくださいね!
ボクモでも、NZ産ラムチョップが食べられますよ。