ニュージーランド、新型コロナの市中感染。一人の感染で即ロックダウンへ

新型コロナウイルスを収束させていたニュージーランドから久しぶりに市中感染のニュースです。

8月17日の午後、Ministry of Health(厚生労働省)は、オークランドで新型コロナウイルスの市中感染が確認されたと発表。政府は即日、8月17日23時59分から警戒レベルを最上の4に引き上げ、オークランドとコロマンデルの7日間、その他の国内を3日間のロックダウンとすることを決定しました。

一人の陽性者確認でロックダウン

ニュージーランドは既に一年以上国境を封鎖し、帰国する自国民にも入国後即ホテルでの2週間の厳しい隔離を義務付けています。帰国者には継続的に感染者が出ていますが、この隔離のおかげで市中感染を防いできました。マスクなし、大規模イベントも開催といった、コロナ前の生活を取り戻し、市中感染はここ6ヶ月発生していませんでした。

今回はたった1名の感染者が見つかったことによるロックダウン。これには、感染拡大に悩む海外のメディアが反応。

ロックダウン中は、スーパー、薬局、病院、ガソリンスタンド、ライフラインに繋がる施設以外の全てのビジネス、そして学校なども閉鎖されます。

この素早さに世界は驚きと賞賛を送っていますが、ニュージーランド国内では、半日待たずに即警戒レベルをあげることができなかったのかという声が上がっています・・・!

初のデルタ株確認

ジャシンダ・アーダーン首相は17日の会見で

今までデルタ株が発見されていなかったのが世界的にも珍しい

と前置きしながら、今回の市中感染がデルタ株である可能性が高いと発言。ゲノム解析が進められ、感染が確認された翌日の18日、今回の感染がデルタ株であることが確定しました。

最初に感染したのはワクチン未摂取の58歳の男性。ニュージーランドでは、国民にアプリを使って訪れた場所のQRコードをスキャンし、記録することを要請しており、この男性もアプリを使用していたおかげで比較的早く、足取りを追跡することができました。男性が訪れた場所は公開され、濃厚接触者と思われる人の検査が進められています。

18日の朝には早速、この男性の同僚が陽性と判明。この同僚からさらに3人の濃厚接触者が陽性に、合計5名の感染者が明らかになりました。このうちの一人、オークランド病院で看護師をしている女性は2回のワクチン摂取が済んでおり、症状がないと発表されています。

そして18日の午後のアーダーン首相と保健局のブルームフィールド長官の会見で、さらに2名の陽性が発表されました。陽性者の中には医療従事者や学校の教員がおり、濃厚接触者がさらに増えています。

感染経路を徹底追跡

ニュージーランドのコロナ対策は、徹底したロックダウンのほか、感染が拡大し始めた2020年の3月から変わらず、症状のあるなしにかかわらず国民に検査を促し、ウイルスの解析し徹底して追跡、感染経路を明らかにすること。

18日の午後の会見で、アーダーン首相は、ゲノム解析の結果、今回のウイルスが、ニューサウスウェールズで起こった感染に繋がるものだったと発表。最初に陽性と判明した男性がどこから感染したのか更なる解析が進められています。

今回のロックダウンで、新型コロナウイルスのワクチン摂取が一時的に中止になりましたが、19日には再開されることも伝えられました。ニュージーランドはワクチン摂取が進んでおらず、2回終えた人は全体の4分の1にも満たない程度。ワクチン摂取者は感染しても軽症で済むとして、摂取を急いでいます。

会見の最後でアーダーン首相は

デルタ株に不安や今まで以上の恐怖を感じている方も多いでしょう。今後も感染者が増えて行くことが予想されています。でも今までもそうしてきたように、みんなで力を合わせて乗り越えましょう。

と国民にメッセージを送りました。

国営放送でニュースキャスターを勤めるヒラリー・バリーは昨年の一ヶ月以上に渡るロックダウンの間”フォーマル・フライデー”と称し、金曜日に自宅で必要以上にドレスアップする様子をSNSに掲載。自宅で過ごす時間を少しでも楽しく、とその様子をSNSに掲載していました。

今回のロックダウンで、

フォーマル・フライデーが帰ってくるよ!

と投稿。ロックダウンにパニックにならないよう、”大丈夫。落ち着いて過ごしましょう”と呼びかけました。

この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
1 / 4