ニュージーランドのクライストチャーチで発生したマグニチュード6.3の地震から10年となった2月22日、現地で追悼慰霊祭が行われ、数千人が集まりました。
慰霊祭の様子は世界中に配信され、Youtube等にアーカイブされています。
10年目の追悼慰霊祭
地震が発生した12時51分(日本時間午前8時51分)には1分間の黙とうが捧げられ、ファーストレスポンダー(災害時に一番に現場に駆けつけ対応する救急、警察、消防隊のこと)や、日本を含む世界各国の犠牲者にゆかりがある人たちが、犠牲となった185名の名前を読み上げました。(犠牲となった日本人の方の名前は動画の35:00から)
慰霊祭は、遺族による詩の朗読、ニュージーランド総督のデイム・パッツィー・レディによるエリザベス女王からのメッセージ紹介、現クライストチャーチ市長から当時のクライストチャーチ市長からのメッセージの紹介と続き、ジャシンダ・アーダーン首相からの挨拶の後、慰霊碑への献花で締めくくられました。
アーダーン首相は
この10年はとても大変なものでした。復興は成し遂げられないのではと感じたことでしょう。しかし、次の10年にはきっと希望とエネルギーと明るい展望が見えます。クライストチャーチはニュージーランドでも素晴らしい明るい街として進んでいくでしょう。
と語り、この場に来ることのできなかった87名の外国人の家族に思いをはせ、
追悼の意を、あの日犠牲となった外国籍の皆さんにも捧げます。
と述べました。
アーダーン首相の挨拶全文はこちら
こちらはアーダーン首相のインスタグラムから。
10年前、カンタベリーを大きな揺れが襲い、多くの人生が永遠に変わってしまいました。今日、慰霊祭で遺族の方々とお話をし、この10年目は特に辛いものものだと実感しました。今朝ラジオでどなたかが「10年目じゃない、10年分の誕生日、10年分のクリスマス、10年分の愛する人と過ごせなかった日々だ」と語られていました。大切な方をなくされた皆さん、怪我をされた皆さん、余震に耐えてきた皆さん、今も10年前と同じようにたくさんの愛とサポートを感じられていることを願っています。
カンタベリー地震追悼国立メモリアル
追悼慰霊祭がとり行われたのはThe Canterbury Earthquake National Memorial(カンタベリー地震追悼国立メモリアル)。2017年にクライストチャーチの中心部を流れるエイヴォン川を挟んで完成しました。川にそって建てられた壁には犠牲となった方たちの名前がきざまれ、慰霊壁となっています。
慰霊祭ではこの壁に沿って献花が行われたほか、川にも花が流されました。
▶The Canterbury Earthquake National Memorial(カンタベリー地震追悼国立メモリアル)
日本人28人も犠牲に
この地震では、カンタベリーテレビのビルが倒壊。入居していた語学学校で28人の日本人が犠牲となりました。
新型コロナウイルスによるニュージーランドの外国人に対する入国制限のため、犠牲者の遺族は現地での慰霊祭に参加できず。日本から追悼式が見守られたほか、12人の留学中の生徒が犠牲となった富山市にある富山外国語学校でも追悼式が行われました。
昨年、クライストチャーチ市は、カンタベリーテレビのビルに構造上の問題があったのにもかかわらず、建築許可を出した市に責任があったことを認め、地震があった2年後の2013年から市長を務めるリアン・ダルジール市長が日本を訪れ、正式に遺族に謝罪しています。
慰霊祭のはじめの挨拶で、ダルジール市長は現地にくることができなかった日本の遺族へメッセージを送りました。(動画15:17から)
特に昨年お会いした日本の遺族の皆さん、今日は本当にここに来たかったことと思います。私たちにはこの悲劇を通じで永遠に繋がっています。離れていても皆さんのことは決して忘れません。皆さんの思いは私たちと共にここにあります。
こちらは当日のダルジール市長のツイッター。
Te tiro whakamuri kia haere whakamua.
— Lianne Dalziel (@LianneDalziel) February 22, 2021
This whakatauki invites us to walk towards the future with our eyes on the past. For me this reminds us of the importance of learning the lessons of that day so the world we live in is a safer and better place. pic.twitter.com/wQr3o3NC1P
前に進むために過去を振り返る。この格言は私たちを、過去から目をそらさず未来に向買わせてくれます。そして私に、世界をより安全に良いものにするために、あの日から学ぶことの大切さを改めて実感させてくれるのです。