南半球のニュージーランドはそろそろ春を迎えようとしていますが、このニュージーランドの冬は、今までに類を見ない、インフルエンザの件数が少ない季節となりました。
ニュージーランドにあるインフルエンザの状況をモニターする2つのシステムによると、件数の少なさはまさに、“インフルエンザがほぼ消滅した”に近い、99.8%減となりました。
ニュージーランドが行なった、ロックダウン、ソーシャルディスタンスなどの新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みが、ここ20年以上類を見ないインフルエンザ陽性者数の減少につながりました。
4月から8月のインフルエンザシーズン
南半球のニュージーランドは日本とは季節が逆なので、日本の春夏がニュージーランドの秋冬に。4月から8月が通常インフルエンザのシーズンです。ニュージーランドでは例年、約2万人がインフルエンザに。そして死者は400〜500人ほどにもなります。
インフルエンザの専門家、スー・ホアンさんによると、ホアンさんがインフルエンザの流行を検証するために集めている検体からは、通常5062件の陽性が確認されるそう。それが今年はなんと6件。かつ、呼吸器系の患者からは死亡者がでたものの、インフルエンザだったとは確認されず、インフルエンザによる死亡者はゼロなのではと推察されています。
またオークランド周辺で昨年呼吸器系で入院した人数は1728人でインフルエンザ陽性者は385人だったのに対し、今年は529人。そのうちインフルエンザにも感染していたのはたった3人でした。
→ Coronavirus: The flu season that never was, thanks to Covid-19 response(コロナのおかげでインフルエンザシーズン来ず)
→ Covid 19 coronavirus: Influenza numbers plummet due to lockdown(ロックダウンでインフルエンザ数が激減)
国全体が警戒レベル1に
8月からオークランドで発生していた新型コロナウイルスの新たなクラスターもおおごとにならずに抑えられたため、現在はオークランドの警戒レベルが緩められ、国全体がレベル1となりました。現在はマスクもソーシャルディスタンスも義務付けられておらず、ほぼほぼコロナ前の生活に戻りつつあります。
今月31日のハロウィーンを前に、子供達によるトリックオアトリートも例年通り楽しまれる予定。ただし、こまめな手洗いをすること、訪れる家はなるべく最小限にし、どこに行ったか記録することなどが専門家によって推奨されています。
Ministry of Health(日本でいう厚生労働省)も、ハロウィーン関連のイベントは問題ないとしながらも、節度をもって用心して行うようにと呼びかけています。
入国規制は引き続き継続
新型コロナウイルスへの対応が世界中から評価されているニュージーランドですが、入国規制は引き続き継続されています。
現在入国できるのは、国籍または永住権保持者か、政府から特別な許可が得られた場合のみ。また、入国後即、オークランド市内のホテルでの14日間の隔離が義務付けられています。
この隔離期間中、陰性陽性に関わらずホテルからは一切出ることができませんが、がまんできずホテルから脱走して街をふらついたりする人が後を絶たず、逮捕者も出る事態に。ホテルのセキュリティーは厳重とはいえ、刑務所ではないのでやはり軽い気持ちで抜け出してしまう人が出るようです。
現在ニュージーランド国内での陽性者は全て、隔離されている海外からの入国者のため、市中感染はゼロとなっています。