今日もAmazonプライムでワインのドキュメンタリーを見てみました!
おお、さすがみかさん、勉強熱心ですね。
でも今まで見た映画と違って、ワインを飲みたいなって気持ちにはならなかったような…。
今回ご紹介するワイン映画は、2000年代のボルドーワインと中国の経済成長との関わりをインタビュー中心にまとめたドキュメンタリー「世界一美しいボルドーの秘密」です。
みかさんがテンション低めなのは、この作品がワインの商業的な部分にフォーカスを当てたものだったからでしょう。
特に、フランスのボルドーと言えば、ワインの名産地であると同時に、ワインビジネスのメッカでもあります。
以前ご紹介した映画「ブルゴーニュで会いましょう」では、ブルゴーニュの田舎で長年ワインをつくる人が、ボルドーから商談に来た都会的なビジネスマンに「スーツ姿のおすまし野郎」だとか「ボルドーなんかには醸造家はいない」などと言って追い返してしまうシーンがありました。
ブルゴーニュで質素に暮らしながら極限までこだわったワインづくりをしている生産者からすると、ボルドーは「商売目的のワインをつくっている」というネガティブなイメージがあるのかもしれません。
もちろん、ボルドーの生産者がみんなワインを単なるビジネスの道具だと思っているというわけじゃあありませんよ(笑)
しかし、ボルドーは「ワインの貿易で栄えた町」であることは間違いのない事実です。その貿易は、世界情勢や経済の動きに非常に大きく左右されます。
そして近年では、そのワイン貿易に最も大きな影響を与えているのが中国です。
「世界一美しいボルドーの秘密」は、そんなワインのビジネス面にフォーカスした映画。ワインの価値とはいったい何か?を考えさせられるようなドキュメンタリー作品となっています。
【この記事の登場人物】
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みかさん
アパレル会社に勤務する35歳。ワインにハマり始めてる今、ワイングラスが気になってしょうがない。
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岩須
このサイトの監修を担当する、ソムリエ。自身が名古屋で営むバーでは、ニュージーランドワインを豊富に取り揃える。
「世界一美しいボルドーの秘密」詳細情報
※こちらの予告編動画に字幕はついていませんが、本編(日本版)では日本語字幕が付いています。
映画ジャンル | ドキュメンタリー |
テーマ | 2000年代ボルドーのワイン産業の変遷、 中国の経済成長とボルドーワインの関係 |
原題 | Red Obsession |
制作年/国 | 2013年/オーストラリア・中国・フランス・イギリス・香港 |
時間 | 78分 |
監督 | デヴィッド・ローチ、ワーウィック・ロス |
ナレーション | ラッセル・クロウ |
ナレーションを務めるラッセル・クロウは、「グラディエーター」(2000年公開)でアカデミー賞主演男優賞を獲得した有名俳優。ダンディで落ち着いた雰囲気の声がとても素敵です。
原題「Red Obsession」は、直訳で「赤い執着」。中国人の高級ボルドーワインへの強い執着心を描いたこの映画にはぴったりのタイトルです。
「世界一美しいボルドーの秘密」に登場する有名人
各界の有名人のインタビューを中心とした構成になっているこの作品。映画ファン、ワインファンなら知っている超有名人も登場します。フランシス・フォード・コッポラ(映画監督)
言わずと知れた映画界の重鎮。代表作は「ゴッド・ファーザー」「地獄の黙示録」など。カリフォルニアに自身のワイナリーを持つほどのワイン愛好家。ロバート・パーカー(ワイン評論家)
ワインを評価するワイン・アドヴォケイト誌の「パーカーポイント」で有名。最高点は100点で、その点数はワインの価格に大きな影響を与えるほど重要とされています。スティーヴン・スパリュア(ワイン評論家)
ワインの歴史に残る「パリ・テイスティング事件」の仕掛け人であり、ワインの専門学校「アカデミー・デュ・ヴァン」の創立者。
パリ・テイスティング事件をベースにした映画「ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡」について、詳しくは下記リンクをご覧ください。
▶ワインの歴史を変えた事件「ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡」の感想とあらすじ
「世界一美しいボルドーの秘密」を見るとわかること
全てを書いてしまうと映画を見たときの楽しみがなくなってしまうので、実際見るとこんなことが分かりますよ、というのを簡単にまとめてみました。
有名なボルドーワインの経営者の意見
「シャトー・オー・ブリオン」「シャトー・マルゴー」など、ボルドーの「五大シャトー」と称される超一流シャトーの経営者たちの、ワインへの情熱が伝わってくるインタビューが満載。
ボルドーの美しいぶどう畑やシャトーの歴史ある建物なども映し出され、一度は現地を訪れてみたいというワインファンの心をくすぐります。
世界からのボルドーワインの評価
名のあるボルドーワインの多くが、世界の富豪や投資家に買われていきます。
2000年代初頭までは主にアメリカ、その後は急激な経済成長を遂げた中国へ。
彼らはワインを投資目的で大量購入し、貯蔵しています。芸術品などと同じように、価値が上がれば利益になり得るからです。
本作では、実際に大量の高級ワインを貯蔵している投資家や、ワインを投資家に売る仲介業者のインタビューなども見ることができます。
中国の経済成長とボルドーワインの関係
中国では、五大シャトーの一つである「シャトー・ラフィット」のワインが、自分の地位を周りに示すためのステータスとして扱われていました。
もともとワインを飲む文化がなかった中国ですが、経済成長と共にワイン消費量が右肩上がりになっていきました。しかし、味や品質、テロワールについてきちんと理解している人は少数。
「権力者や著名人がラフィットを好んでいる」ということを知った人たちがそれを真似て、コレクションのために買い集めたり、空き瓶を家中に飾る。
その人たちは、ワイナリーの伝統や、ワインそのものの本来の価値などにはそれほど興味がないのです。
ワインオークションに興じる人が、インタビューで「ただ手に入れたいだけ。飲むかどうかは分からない」と答えていたのは衝撃的でした。
ワインを愛する者としては、複雑な感情を抱いてしまうコメントです。
更に、中国に注目されることによって起きる弊害も起きていました。それはまさに中国のワイン業界の裏側という内容。
大国を相手にして、生産者にはどうすることもできない問題も起きているという現実を垣間見ることができます。
拡大する中国のワイン産業
中国では自国のワイン産業も広まってきています。
本場ボルドーなど海外でワインづくりの技術を学んだ人が、自国に戻り中国ワイナリーの指揮を取っているようです。 本作ではそんな生産者の想いも知ることができます。
中国ワインは、ちょっと飲んでみたくなりました!本場で学んだ方がつくる味なら、きっとおいしいんだろうなぁ。
まとめ
ワインのことを色々教わってきたつもりでしたが、全然知らない世界のお話だったので、驚きの連続でした。
「世界一美しいボルドーの秘密」ならぬ、「ボルドーワインと中国の秘密」というような内容でしたね。
この映画は、ワインと経済の関係を学べるドキュメンタリー作品。ワインにはこんな意外な一面もあるんだと驚く方が多いのではないかと思います。
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