NZのキウィフルーツ、サンゴールドが中国で違法栽培。法的措置へ

キウイフルーツ

ニュージーランドといえば真っ先に連想される特産物、キウイフルーツ。日本にも輸入され、スーパーですぐ手に入る日本人にとっても身近な果物の一つです。

そんなニュージーランドのキウイフルーツ販売を担うZespri(ゼスプリ)が開発したキウイフルーツ、サンゴールドが中国で違法に栽培され、問題になっています。

キウイフルーツはニュージーランドの財産

ニュージーランドにキウイフルーツのもととなる品種のタネが持ち込まれたのは1904年。もちこんだのは女子校の校長先生をしていたイザベル・フレーザーさん。このころキウイフルーツはチャイニーズグースベリー、モンキーピーチといった名前で知られていたそうです。

そして1927年、ニュージーランド人であるヘイワード・ライトさんによって商業改良され、商業栽培されるように。これが一番一般的なグリーンキウイフルーツであるヘイワード種の誕生です。

「キウイフルーツ」という名前はアメリカに輸出されるようになった頃に、ニュージーランドのシンボルである鳥のKiwiにちなん命名されました。鳥のKiwiの色と丸っこい形がキウイフルーツに似ている気もしますが、それが命名の理由ではないそう。また鳥の方のキウィがキウィフルーツにちなんで名付けられたと思っている人もいますが、鳥の方が先です!

ニュージーランドから輸出される園芸作物の3分の1がこのキウイフルーツ。また世界中のキウイフルーツの90%がニュージーランド産。キウイフルーツはまさに、ニュージーランドの財産と言えるでしょう。

開発に10年以上、サンゴールドとは

ゼスプリはニュージーランドに本社をもつグローバル企業で1997の設立以来、世界中でニュージーランド産のキウイフルーツの販売を行ってきました。

日本でも、2種類のキウイフルーツを模したキャラクター、ゼスプリ・キウイブラザーズがテレビCMやスーパーなどでの展開でかなりの認知度を獲得しています。ニュージーランドだけでなく他の国からの輸入品の中でも、マーケティングに成功している例と言えるでしょう。


そんなZespriが10年以上をかけて開発したサンゴールドは、その名の通り黄色の果肉、皮の色も定番のグリーンキウィと比べると少し薄い色。もともとキウイフルーツはビタミンCが豊富な栄養価の高い果物ですが、サンゴールドはビタミンCがグリーンキウイの2倍以上!また、酸味の強いグリーンキウイと比べるとまろやかで甘みが強いのが特徴です。

ちなみにグリーンキウイのほうが食物繊維が倍。味も栄養価もそれぞれに特徴があるので、好みに合わせて食べるのがおすすめ。ZespriのWebサイトやSNSでは、スイーツだけでなく、料理にも活用できるレシピがたくさん紹介されています。

中国での違法栽培が半年で倍に

ゼスプリが開発し、権利を持つサンゴールドは、ニュージーランド国内のキウイ農家が高額の権利金を支払うことによって栽培が許可されています。

しかし、この権利を無視し、中国では勝手に栽培されているそう。半年前には2500ヘクタールほどとされていた中国国内での違法栽培は、今では4000ヘクタールほどに増えているとされています。ニュージーランド国内のサンゴールドの栽培が約7500ヘクタールなのでかなりの広さです。

ゼスプリ役員のDave Courtney(デーヴ・コートニー)さんによると、

重要なのは、中国で違法に栽培されているサンゴールドのクオリティーがどれくらいなのかをよく理解すること。高いクオリティーのものが販売されれば、ニュージーランド産のサンゴールドにとって脅威となる。残念ながら、そこそこのクオリティーのものが多く栽培されているようだ

違法栽培を根絶するのは不可能に近いとしながらも、ゼスプリは少しでも違法栽培を減らすためPlant Variety Right(育成者権)を主張し、中国のキウイ農家に対して法的措置を検討しています

中国当局はニュージーランドが育成者権を持つことを理解しつつも、違法栽培を行っている個々の農家は規模が小さく全部を管理するのは難しいだろうとの見解を示しており、何かしらの解決策を探りたい意向のようです。

違法栽培への対策はまだスタート地点。今後の動向に注目が集まっています。

この記事の筆者

石黒
石黒 沙弥
高校・大学時代を過ごしたNZを故郷と愛する。購入するワインは100%NZで、常備しているのはSILENIのソーヴィニヨン・ブラン。マーマイト大好き。歴代彼氏の半分以上がKiwi。
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