優しい味わいで、まろやかな口当たりのメルロー(Merlot)は、日本人にも親しまれている赤ワイン用ぶどう品種です。
赤ワインはボルドーブレンドといって他のワインと混ぜて作られることも多いのですが、その際にメルローは下支え役として大活躍します。
特に渋みの強くパワフルなカベルネ・ソーヴィニヨンとの相性が抜群で、この2種は名コンビとして知られます。
一方で、その優しい味わいが飲みやすいと評判で、単一品種のワインも人気です。
またメルローは病気にも強く育てやすくもあり、地域によっての差があまり出ない品種なので、世界中で栽培されています。
赤ワインになくてはならないメルロー。その秘密を探っていきましょう。
なめらかでシルキーな味わいは、カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドが鉄板
メルローの原産地はフランスボルドー地方です。
濃い紫色からは想像できないほど、味わいはなめらかでシルキー。
渋み成分であるタンニンや酸が控えめで優しい味わいのメルローは、他の赤ワイン用ぶどう品種とよくブレンドされます。
また、熟成にも向いています。早めに熟成が終わるので、ワイン生産者にとっては扱いやすい品種であるとも言えます。
よくブレンドされる品種が
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カベルネ・フラン
など。
カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを比べてみると、以下のような違いがあります。
カベルネ・ ソーヴィニヨン | メルロー | |
---|---|---|
味わい | 苦味成分である タンニンが豊富 重厚でパワフルな 味わい | 酸が柔らかい、 タンニンが少なく、 きめ細かい |
収穫時期 | 遅熟 | 早熟 |
気候 | 十分な日の光が必要 湿気を嫌う | 温和な気候 高温多湿でも育つ |
こうして比べてみると、カベルネ・ソーヴィニヨンとは真逆の特徴を持ち合わせていることがわかりますね。
そうですね。様々なぶどうの個性があるからこそ、素晴らしいワインが生まれるんです。
メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンは、相反する特徴を持っているので一緒に植えることで、ぶどう農家にとって保険的な意味も持ちます。(※ぶどうは気候の変動によって出来が変わる為)
口当たりが大変マイルドなので、ブレンドの補助品種としてだけではなく、メルロー単体のワインも人気です。
呼び名や親品種は?
ワイン用ぶどう品種は世界で生産されているので、その名前が地域によって変わることもあります。
例えばシャルドネは、フランスの一部の地域でムロン・ダルボワと呼ばれていますが、メルローの場合は世界中どこでもメルローなので、混乱することがありません。
メルローの片親は、カベルネ・フランということがわかっています。
この図からわかるように、メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンやカルメネールと片親違いの兄弟ということが言えます。
香りはプラムやダークチェリーやいちごなどの果実の香りが豊かに感じられ、樽熟成でチョコレート、熟成によりなめし皮や腐葉土の香りが加わります。
柔らかな酸と渋み成分であるタンニンがきめ細かいので、舌触りも優しくまろやかなで、しっかりとした果実味があります。
メルロー単一品種ならやさしい味付けの肉料理がおすすめ
メルローは、優しい味わいのワインなので私達日本人の口にもよく合うとされています。
赤ワインにはたびたび牛肉やジビエなどの濃い味の食べ物が合うとされますが、メルローは優しい味わいなので、あまり強い味わいの食事を持ってくると負けていまいます。
まろやかなメルローには、洋食では鶏肉を使った料理や煮込み料理がいいでしょう。
和食で言えば甘じょっぱい味付けのものが相性がいいんですよ。
メルローなら、和食とも相性がいいんですね。例えばどんなものがおすすめですか?
僕のおすすめは、すき焼きです。醤油ベースのタレにとってもよく合うんです。
へー!私も週末にすき焼きを作って、メルローと合わせてみよう〜♪
和食であれば他には、
- うなぎ
- 牛丼
- 肉じゃが
などとの組み合わせがおすすめです。
新旧両世界、様々な地域で愛される品種
メルローはその育てやすさから、広く世界で栽培されています。
代表的な地域が
- フランス ボルドー地方/南西地方
- イタリア
- 南アフリカ
- チリ
- アルゼンチン
- 北アメリカ カリフォルニア州
- 日本 長野
などです。
フランス
メルロー原産国のフランスでは、今でもメルローが多く栽培されています。
フランスでの栽培面積は、以下のようになっており
- メルロー・・114,631ha
- グルナッシュ(赤ワイン用ぶどう)・・85,4084ha
- ユニ・ブラン(白ワイン用ぶどう)・・84,464ha
2位以下に大きく差をつけています。
フランスで1位って結構意外です。名脇役である理由にも、うなずけますね。
ボルドーブレンドで人気の品種とあり、フランス国内では主にボルドー地方で生産されています。
その中でも特にメルローが有名な地域がサン・テミリオン地区です。ローマ時代からのワインづくりの歴史があり、気候や土壌がメルローを育てるのに適しているとされます。
日本(長野)
日本でもメルローは人気のぶどう品種です。
高温多湿な気候条件の日本は、メルローとの相性がよいのです。
日本のメルローは、本当に美味しいんですよね〜。
赤ワイン用のぶどう品種では、日本の生産量は以下の用になっています(2016年)
- マスカット・ベリーA
- コンコード
- メルロー
長野塩尻市周辺がメルローの名産地として知られています。
ニュージーランドではホークスベイが代表的な産地
ニュージーランドのメルローは、そのほとんどが北島の有名なワイン産地、ホークス・ベイ地方で作られています。
それは、ホークス・ベイ地方では豊富な日照量があり、温暖な気候を好む遅熟のメルローに適しているからです。
NZのメルローは、カベルネ・ソーヴィニヨンなどとブレンドされることがほとんどで、単一で使われることはそれほど多くありません。
まとめ
豊かな果実味を持ち、タンニンはおだやかで口当たりの柔らかいメルロー。
主役にもなれて、ボルドーブレンドとしてのサポート役にもなれる優秀な品種です。
まろやかなその味わいは、日本食にもぴったり。
是非味わってみてくださいね。