ノースランド地方|亜熱帯性気候に属するNZワイン発祥の地

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ニュージーランドで最初にぶどうが植えられ、「ニュージーランドワインの故郷」として知られるノースランド地方(Northland)。

国内最北端のワイン産地であり、亜熱帯性気候に分類されるため、決してワインづくりに適しているとは言えない環境ですが、いくつかのワイナリーが工夫を凝らして生産を続けています。ワイン用ぶどう以外にも豊かな作物に恵まれ、ブルーベリーやアボカド、レッドパイナップルなどのトロピカルフルーツが栽培されています。

アクセスはニュージーランド第一の都市オークランドからは車で3時間。飛行機なら45分の距離です。

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太平洋に突き出たその地形は、国内の他の産地とはまた違った特徴を持った地域です。

NZワインの歴史を語る上では外せないノースランド地方について、詳しく見ていきましょう。

京都市と同じ緯度ながら穏やかな気候が特徴

ノースランド地方は南緯35度付近に位置します。

これを北半球・日本に置き換えてみると、北緯35度には京都市などが位置しています。

京都市といえば盆地で海が遠く、夏に暑く冬は寒いことで知られています。しかし同じ緯度であるノースランド地方は寒暖の差が少なく、冬に暖かく夏に涼しい気候です。

  ノースランド・ファンガレイ 京都市
夏の最高気温 24℃ 32℃
冬の最低気温 10℃ 0℃

※「ファンガレイ」は、ノースランド地方の中心都市

このように比較すると、1年の気温差が非常に小さいことがわかります。

 

日本で亜熱帯気候といえば、沖縄を思い出しますよね?

 

そうですね、だからもう少し暑いのかと思いました〜

 

那覇市の緯度は26度付近なので、同じ「亜熱帯」とはいえ取り巻く環境が大きく異なるんですね。

年間降水量は1,300mmほどで、ワイン産地としては比較的多いと言えます。ちなみにNZ最大のワイン産地であるマールボロ地方・ブレナムの降水量は720mmですので、ほぼ倍近い雨が降るということですね。

ぶどう栽培には、水はけがよく寒暖差のある土地が向いているので、ノースランド地方の雨が多く気温が高めという環境は、決してワインづくりに適しているとは言えません。

しかしその歴史から、NZワインを語る上では外せない地方であることもまた事実です。

ニュージーランドワインの故郷

ノースランド地方は、NZで初めてぶどうが植えられワインがつくられた場所であることから「ニュージーランドワインの故郷」と呼ばれています。

その歴史を詳しくみていきましょう。

1819年、「ベイ・オブ・アイランズ」のケリケリという街で、牧師であるサミュエル・マーズデンによってぶどうの苗が植えられたと言われています。

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その後「オーストラリアワイン業界の始祖」と言われるイギリス人ジェームズ・バズビーによって、NZで初めてのワインづくりが行われました。場所は、ケリケリの東20kmに位置するワイタンギという街。

この事実を持って、「ニュージーランドワインの故郷」と呼ばれているのです。

ちなみにワイタンギは、当時武力衝突が絶えなかった先住民族マオリ族とイギリスとの間で締結された「ワイタンギ条約」締結の場所。1840年に交わされたこの条約をきっかけに、NZは国家として形成されていきます。

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その後1800年代後半になると、カウリガム(琥珀)を採掘するためにクロアチア移民が入り、ヨーロッパ風のワインづくりが受け継がれてゆくのです。

しかしノースランド地方でのワインづくりは、長い間産業として成立することはありませんでした。本格的に生産が始まるのは1990年代以降のことです。

すべて小規模ワイナリー

ノースランド地方のワイナリーは現在15軒。そのすべてが家族経営かそれに近い小規模ワイナリーで、大規模農園は存在しません。

 

たった15軒しかないんですね!

 

しかし小規模だからこその良さがあるんですよ。必ずと言っていいほどセラードアが併設されており、経営者自らがテイスティングに対応してくれることも少なくありません。

彼らは自らのワインづくりについて誇りを持っていて、地域の伝統や醸造の工夫についても話してくれることがあります。

決してぶどう栽培には適していないこの土地で、温暖な亜熱帯性気候でも育つカベルネ・ソーヴィニヨンメルロー、ピノタージュといった品種を植え、生産者の創意と工夫でワイン生産を続けています。

生産量はNZ全体の0.1%と非常に少なく、そのほとんどが地元で消費されています。当然、日本にも入ってきていません。

ノースランド地方のワインは、実際に現地を訪れなくては味わえないのです。

現地ならではのペアリングを楽しむ

温暖なノースランド地方では、地元のワインと土地ならではの食材でペアリングを楽しむのがいいでしょう。

豊富なシーフードはもちろんのこと、アボカドやマカダミアナッツをはじめ、柑橘類や亜熱帯の果実を使ったフレッシュな料理と合わせることで、より深くノースランド地方を楽しめるでしょう。

その他にもクルーズやダイビング、フィッシングやイルカと泳ぐアクティビティなども体験できます。

1年を通じて過ごしやすい気候を誇るノースランド地方。オークランド近郊を訪れた際には是非立ち寄ってほしいワイン産地のひとつです。

この記事の筆者

ボクモワイン
ボクモワイン編集部
ボクモワインの編集部です。ソムリエ岩須の監修の元、ニュージーランドやワインについての情報を執筆&編集しています。

この記事の監修

岩須
岩須 直紀
ニュージーランドワインが好きすぎるソムリエ。ラジオの原稿執筆業(ニッポン放送、bayfm、NACK5)。栄5「ボクモ」を経営。毎月第4水曜はジュンク堂名古屋栄店でワイン講師(コロナでお休み中)。好きな音楽はRADWIMPSと民族音楽。最近紅茶が体にあってきた。一般社団法人日本ソムリエ協会 認定ソムリエ。
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