ニュージーランド南島にあるカンタベリー地方(Canterbury)は、国内最大のカンタベリー平野を持ち、広大な範囲を占めています。
農業や牧畜が盛んでありながら、南島の商業の中心地でもあり、多様性に富んだ見どころの多い地域です。
美しい草原には、放牧された羊たち。 最高峰マウント・クックのそびえる険しいサザンアルプス。 青く透き通る、幻想的なタスマン氷河。
まさにNZの象徴ともいえる絶景であふれています。
このカンタベリー地方は、
- 最も大きな範囲を「カンタベリー(Canterbury)」
- ワイン生産者が最も集中する北部を「ノース・カンタベリー(North Canterbury)」
- 更にその中にある「ワイパラ(Waipara)」
と3つのワイン生産地が重なって、下図のように分類されます。
なかでも最も重要な産地が「ワイパラ」です。
ワイパラは、レストランが併設されたワイナリーが多数あるのに加え、南島最大の都市「クライストチャーチ(Christchurch)」からのアクセスも抜群。レンタカーを利用して簡単に行くことができるので日帰り旅行にもオススメです。また、日本からのワイナリーツアーもあるので、ぜひ一度は足を運んでみてほしい産地です。
ワインにおけるカンタベリー地方の歴史は浅く、NZの中でもまだ新しい産地です。そのためワイナリーの数そのものが少なく、生産量も2.1%とごくわずか。(2019年)NZ国内でも稀少と言える存在でもあります。
かつて、この地方の特徴である冷涼な気候ではぶどう栽培は困難である、との見方が根強くありました。
しかしながら現在では、冷涼な気候に加え十分な日照時間があり、なおかつ乾燥してるカンタベリー地方の気候は、ぶどう栽培に大変向いていることがわかり、高品質なワインを生み出す産地として、そのポテンシャルは近年世界中から注目を集めています。
カンタベリー地方を代表するぶどう品種は、
- ピノ・ノワール
- リースリング
この2種。
どちらも最上級のワインになりうる品種のひとつなんです。
この2つの品種において高品質なワインを世界中に送り出せたのは、向上心が強く、イノベイティブであるNZの人々だからこそ成し得たことと言えるでしょう。
また、小規模で家族経営のワイナリーが多いカンタベリー地方ですが、小規模ながらも明確な個性をもった魅力あふれるワインを生み出し続けていることも特徴のひとつです。
ワインの歴史はわずか約30年という短いものですが、ここカンタベリー地方はNZの中でも近年急速に成長し、進化し続けているワイン生産地です。
冷涼な気候が生む、洗練されたエレガントなワイン
NZは「一日の中に四季がある」と言われるほど、一日の中に大きな寒暖差があることで知られています。
カンタベリー地方は国内では冷涼な気候です。
ぶどうの成長期である夏場(1月)の平均最高気温は22.7℃、平均最低気温は12.3℃です。
日本の夏場と比べると、涼しい気候であることが一目瞭然ですね。
そしてかなり乾燥した地域でもあります。年間降水量は618mm。東京の年間降水量約が1,500mm程なので、半分以下しか雨が降らないということになります。
実はこの降水量の少なさも、カンタベリー地方の気候の重要な特徴の一つです。なぜなら、ぶどうの栽培に最適な年間降水量は500mm~900mmと言われているから。その最適と言われる幅の中でも、降水量がやや少なめの乾燥した場所と言えるでしょう。
ぶどう栽培に向いている環境は、ざっくりとこの3つ。
- しっかりとした寒暖の差があること。
- 日照時間が十分なこと。
- 水分コントロールがうまくいっていること。
西から来る湿気を含んだ風は、標高3,000m以上の高山が連なるサザンアルプスにぶつかり、雲になります。その雲は、反対側であるウエストコーストにはたくさんの雨を降らしますが、東側のカンタベリー地方には届かないので、雨が降りにくいんですね。
これは、日本の冬を思い出すとわかりやすいと思います。
どういうことですか?
冬、日本海側にはたくさんの雪が降りますが、反対の太平洋側では乾燥して晴れた日が多くなりますよね。
確かにそうですね〜
これも日本海からきた湿気をたっぷり含んだ雲が、日本海側にたくさんの雪を降らせ山脈を越えたのち、乾いた空気になって太平洋側へ抜けるからなんですよ。
なるほど!カンタベリー地方ではそびえ立つアルプスが、雨雲や風を遮って悪天候から守ってくれているんですね〜
しかし、この好条件な気候であったにもかかわらず、かつてはぶどうの栽培は難しいとされていたカンタベリー地方。
ですがその“難しい”という認識を覆し、ワイン生産地としてここまでの成長を遂げたのです。
その開拓には、ぶどうづくりに信念を持って取り組んだ、生産者たちの姿がありました。
カンタベリー地方のポテンシャルを引き出したパイオニアたち
カンタベリー地方で最初に醸造用にぶどうが植えられたのは1978年のこと。ワイン生産者「St.Helena(セントヘレナ)」によってクライストチャーチ北部でぶどうの栽培が始められました。
しかしながら1980年代半ばまでは、冷涼な気候であるカンタベリー地方でのぶどうの栽培は難しいという見方が主流でした。
そんな中、
“ピノ・ノワールならカンタベリー地方でも栽培できる!”
と提唱した一人のパイオニアがいます。 当時、クライストチャーチのリンカーン大学でぶどう栽培を教えていた「ダニエル・シェスター」という人物です。
シェスター氏は、70〜80年代にかけてのピノ・ノワール栽培に力を注ぎ、その礎を築きあげました。
現在も国際的なぶどう栽培の専門家であり、コンサルタントをする傍らワイナリーも経営するなど第一線で活躍されています。
また、ドナルドソン家によって設立された「ペガサス・ベイ」というワイナリーも、ワイパラでは重要な存在です。
1970年代初頭からワインづくりに取り組んでいたドナルドソン家は、地元ワイナリーの草分け的存在でした。
1986年の「ペガサス・ベイ」設立後、次々にハイクオリティなワインを生み出し、NZ屈指の優良ワイナリーとして世界的に高い評価を受けました。現在もワイパラのワインを世界中に広めた立役者としてワインファンに広く知られています。
土地と向き合い、深く理解すること
“ぶどうの果実そのものの力と、その土地の個性を活かすこと。”
これが、この土地がぶどうに向いていると見抜いたシェスター氏の言葉です。
そしてその言葉の通り、土地を深く理解することで、魅力的なワインを生み出せることを、実際にペガサス・ベイのような生産者が証明しました。
ワイパラの冷涼で乾燥した気候に向き合い、そして、寄り添いながらぶどうづくりに取り込む姿勢こそが、豊かで魅力的なワインを生み出せた理由と言えるでしょう。
こうして土地の持つ秘められた力は次第に引き出され、カンタベリー地方を代表するワイン生産地「ワイパラ」に注目が集まったのです。
ワイパラがプレミアムワインの産地である理由とは
ワイパラ(Waipara)は、クライストチャーチから車で北へ約1時間ほど走ったところにあります。
クライストチャーチといえばNZ第二の都市でもあり、南島の玄関口。日本から直行便がでている唯一の街オークランドから、飛行機で約1時間半ほどなので日本からも訪れる人が多く、馴染みのある都市だと思います。
ワイパラは前述のとおり、標高の高いサザンアルプスという山脈が西から来る雨雲を遮ってくれていますが、それだけではありません。太平洋側の東にも低い山脈があり、その山々が海から吹く風も遮ってくれるのです。
このことによって、クライストチャーチよりも温暖になる、という特徴を持っています。
ワイパラでは主に、
-
白ワイン用ぶどう品種
- リースリング
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- ピノ・グリ
-
赤ワイン用ぶどう品種
- ピノ・ノワール
これらの品種が栽培されています。
NZ国内で栽培されているぶどう品種のうち、73.8%の収穫量を占めるのがソーヴィニヨン・ブランですが(2020年)、実はここワイパラでもソーヴィニヨン・ブランが圧倒的に多く栽培されています。
しかしながら、世間的に高い評価を得ているのはリースリング、ピノ・ノワールの2種。
これは大変興味深いですよね。
ワイパラのソーヴィニヨン・ブランは、その品種の一大産地である「マールボロ」の陰に隠れていてしまっていますが、リースリングとピノ・ノワールは、高品質で個性的なプレミアムワインが生まれています。
なぜなら、リースリングとピノ・ノワールは、涼しさがあればこそ本領を発揮できる品種なので、冷涼なワイパラの気候との相性がよいから。
さらにこのワイパラの土壌は、リースリングやピノ・ノワールとの相性がとても良いとされています。
ということで、次は土壌の話。ワイパラの土壌にはどんな特徴があるのか見てみましょう。
異なる気候・土壌によって生まれる、さまざまな個性
ワイパラのぶどう樹は、
- 内陸の粘土質
- 海岸線のの石灰岩質
- 川の流域の砂質
と大きく三種類の土壌に植えられているのが特徴です。
いろんな種類の土壌があるってことは、とっても貴重なことなんですよ。
どうしてですか?
それは土壌によってワインの “質” に違いが生まれるからなんです。
この異なる土壌は、綺麗な酸味を持つものや果実感が充実したものなど、様々な特徴を生み出します。
このように局地的に異なる土壌によって、そこに植えられたぶどうの実は異なる香りや味わいを持ちます。生産者は、その土壌の特性にふさわしい品種を育てることで、個性豊かなワインを作っているんですね。
土地の個性を見抜き、土地と品種がぴったり合致させることに成功したワインは「プレミアムワイン」と呼ばれ、世界的に高い評価を受けています。
味わい豊かなワイパラの「ピノ・ノワール」
NZでの「ピノ・ノワール」の名産地といえば、世界的に注目を集めている「セントラル・オタゴ」、そして、パイオニアであるワイララパの「マーティンボロ」です。
しかし、ここワイパラのピノ・ノワールも、負けていません。
最高級になる可能性を秘めた品種
フランスのブルゴーニュ地方が原産地の「ピノ・ノワール」はかつて、“ ブルゴーニュでしか作れない” とも言われていたほど、栽培においては難易度の高い品種です。
しかし、土壌や気候との相性がよい環境で上手に育てることが出来れば、極上のワインになる可能性を秘めているという魅力的な品種でもあるのです。
基本的には、冷涼な気候を好みます。そして水はけの良い石灰質土壌を好みます。NZの中では涼しい地方であり、水はけの良さもあるワイパラは、ピノ・ノワールの栽培に向いていると言えます。
色の面でも特徴があります。ピノ・ノワールは皮の色素量が少ないぶどうで、普通、ワインの色は薄くなりがちです。しかし、ここワイパラは昼間の日照時間がかなり長い地方です。それゆえ、本来薄くなりがちなピノ・ノワールの皮も濃い色になり、ワインの色づきも良い=濃いルビーレッドの色のワインになる、という特徴があります。
さらに、十分な日照時間から生まれた糖分により、アルコール度数もしっかり13%以上あるものが多く、それらのワインは力強い凝縮感を持ちながら、滑らかなエレガントを持った、個性的なピノ・ノワールになります。
また、ピノ・ノワールという品種は少しの土壌の差で香りや味わいに差が出る品種として知られています。土壌が多様であることから、様々なタイプのピノ・ノワールが存在しているのも、このワイパラの魅力のひとつです。
ワイパラの土地の個性を活かした、斬新な「リースリング」
ワイン用のぶどうは、総じて「痩せた土地」での栽培が良いとされますが、リースリングは特にその傾向が強い品種です。気候の条件においては、冷涼かつ1日の中で寒暖差のあることが良いとされます。
ワイパラでは、1日の大きな寒暖差と砂利土壌という環境を最大限に活かしたリースリングがつくられています。
それは、心地良い甘さを持ちながら、引き締まったもの。
そしてキリッとした、綺麗な酸味があるのも特徴のひとつです。
リースリングって、甘口ワインじゃないんですか?
そう思われている方も多いかもしれませんが、そんなことないんですよ。
わたしもそう思っていました!
原産地であるドイツのリースリングは甘口ばかりと思われがちですよね。けれど実際はドイツでも辛口のリースリングは多く生産されていて、半甘口、中辛など、様々なタイプがあるんですよ。
そう、リースリングの最大の特徴は辛口、中辛、甘口、極甘等と変幻自在であること。それに加えて、その味わいも大きく変化するという品種なのです。
なぜなら、 “土地の個性を忠実に反映する品種” ともいわれるほど、土壌の影響を大きく受ける品種だからです。
「多様な土壌をもつワイパラ」と「土地の影響を大きく受けるリースリング」の素晴らしい掛け合わせ。
産地によって様々な味わいが生まれるワイパラの地を「ポテンシャルがある土地」と誰もが注目するのも納得ですね。
ワイパラワインの先駆者。名門「ペガサス・ベイ」
ワイパラで最も存在感のある、重要なワイナリー。それが「ペガサス・ベイ(Pegasus Bay)」です。
「ペガサス・ベイ」はカンタベリー地方のワイン業界の先駆者、ドナルドソン家によって1986年に創立。創立者であるアイヴァン・ドナルドソン氏は、もとは神経科医でもありながら、ワインライター、ワイン審査員の顔を持つ人物です。
創業当初はその妻であるクリスティーンとワイナリーを始めましたが、現在では彼らの息子たちを含む一家による強力な体制のもと、ワイナリーを運営しています。
ペガサス・ベイはワイパラのみならず、NZを代表する優良ワイナリーとして名声を築き上げてきました。家族経営ながらも個性際立つワインは世界中から高い評価を得ていて、著名なワイン評論家であるロバート・パーカー Jr.の「ニュージーランドTop5ワイナリー」にも選ばれています。
生産されている品種は主に、ピノ・ノワールとリースリングで、特にリースリングは高評価を得ています。
ペガサス・ベイのリースリングははっきりとした酸味を持ちながらも、豊かな果実感を持っているのが特徴です。ワイパラの気候の特徴である、一日の寒暖差、ミネラルを多く含んだ砂利土壌という環境を最大限に生かし、トップクラスのワインを生み出しています。
完全なる家族経営で運営しているペガサス・ベイのワインづくりは、限りなく自然に身を委ねたもの。人の手を加えることを最小限にする努力をしています。
ワイナリーに併設されたレストランが人気。人々の生活に寄り添うワイン。
ペガサス・ベイは1992年、ワイナリー内にレストランをオープンします。
庭園を見渡せるとても雰囲気の良いこのレストランは、たちまち人気を集め、NZ国内でも有数のワイナリーとして知られるようになりました。
レストランでは地元の食材を使った料理が提供されていて、オリジナルレシピ本も発行。雑誌にも取り上げられさらに賞も受賞するなど、彼らが発信するものは大きな影響力があると言えます。
また、ワイナリーにはセラードアという試飲できる直売所もあります。レストランで食事をする時間が無い方も、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
挑戦し続けるワイナリー「コヤマ・ワインズ」
ワイパラでは、日本人の醸造家も活躍しています。 「コヤマ・ワインズ(Koyama Wines)」というワイナリーの小山竜宇(たかひろ)さんです。
画像引用元:コヤマ ワインズ公式サイト
高品質なワインを生み出す産地として、そのポテンシャルに惹きつけられワイパラの地にやってきた小山さん。
“素晴らしいワインは、素晴らしいぶどうから生まれるもの”
という信念を持ち、自分のワインをつくるならこの地しかない、と望みをかけた畑で、ピノ・ノワールとリースリングの栽培を始めます。
以来、土地に寄り添いながら自らのスタイルを表現したワインづくりに力を注いでいます。
小山さんは、アメリカの大学を卒業したのち帰国後就職するものの、「ものづくりに携わりたい」という強い気持ちから退職。ワイン醸造家の道を歩み始めます。
2003年からNZのリンカーン大学でぶどう栽培学とワイン醸造学を学びながら、2004年からはピノ・ノワールで評価の高いワイナリー「マウントフォード・エステート」でアシスタント・ワインメーカーとして働き始めました。
さらにイタリアやドイツでも修行を重ね、世界各地で技術を磨き、2009年に自身の「コヤマ・ワインズ」を設立。
また、2017年には経営難で衰退しかけた古巣のマウントフォード・エステートを買収し、同ワイナリーのオーナーに就任しました。
小山さんのワインづくりとは
小山さんは、できるだけ人の手を加えない自然なワインづくりをしています。
ぶどう樹は自然のもつ力で、育成できるよう栽培。収穫したぶどうを細かくつぶす際には、足で踏んだり、酵母は自然酵母を使用しています。そして、ピノ・ノワールは清澄やろ過をせずに瓶詰めします。
これは簡単に言うと、ワインの透明度を上げる作業を省いている、ということ。より人の手を加えず、自然の力強さをそのまま瓶の中のワインに反映させたいという思いが感じられます。
ぶどうと土地にまっすぐ向き合う小山さんの誠実な人柄を映しこんだワインは、NZの人々を魅了し、逸品とも言われる存在になっています。
このような小山さんのワインづくりは、日本にいるわたしたちにNZワインの魅力を届けてくれる重要な架け橋と言えるでしょう。
リンカーン大学の権威的存在
このように小山さんのような海外から来た人が活躍できるうつわがあるのが、NZの特徴でもあります。
それは、ワイン醸造学を学べる大学、「リンカーン大学」があることも大きな要素と言えるでしょう。
NZのワイン業界で活躍する人々の多くがリンカーン大学出身で、日本人醸造家では小山さんのほか
- 「サトウ・ワインズ」の佐藤さん
- 「グリーンソングス」の小山さん
- 「キムラ・セラーズ」の木村さん
たちもリンカーン大学出身です。
ぶどう畑を所有しているリンカーン大学は、栽培から収穫・醸造までに必要な知識と技術が身に付けることができ、ぶどう栽培とワイン醸造が学べるのはNZ国内では唯一の大学です。
コヤマ・ワインズの小山さんも、冷涼な気候の産地について学べるカリキュラムが専攻できるので選んだそうですよ。
大学レベルで醸造学を学べるということは大変貴重な環境であると言えるでしょう。
また1878年に設立したリンカーン大学は、南半球で最も古い農業学校でもありNZで3番目に古い大学です。
ワイン産業としては歴史の浅いNZですが、古くから醸造学を学ぶ文化があり、ワインが人々の生活の一部であるということがよくわかりますね。
トップクオリティワイナリーが生まれ続けるカンタベリー。「ベルヒル」の伝説とは。
「マスター・オブ・ワイン」の資格を持つボブ・キャンベル氏が主導する「ニュージランド トップ ワイナリー2019」という格付けにて、2位にランクインしたワイナリー「ベルヒル(Bell Hill)」。
ベルヒルはいま、間違いなく世界の注目を集めているワイナリーの一つです。
妥協を許さない姿勢は“伝説”に。
ベルヒルは1997年に立ち上げられた、マルセル・ギーセン氏とシャーウィン・ヴェルドゥイツェン氏の夫婦が営む小さなワイナリーです。
この小さなワイナリーからつくり出されるワインは、“伝説”とまで言われています。
なぜなら、ベルヒルのワインは国内でもなかなか手に入らないという、超超希少品なのです。
それもそのはず、ベルヒルのワインの年間生産量は、
- シャルドネ=約1樽(本数にして約300本)
- ピノ・ノワール=5樽(約1500本)
のみという、普通では考えられない少なさなのです。
これらはメーリングリストのみで売り切れてしまうというので、手に入れるのは至難の業。伝説的なワインと言われるのも納得してしまいますね。
こだわりを貫き通す、ベルヒル
ノース・カンタベリーそれまで何もなかった土地を開墾し、ベルヒルの歴史は始まりました。
周辺はもともとチョークの原料ともなる石灰岩を採堀する場所であり、石灰質の土壌が広がっています。
そこは風が吹けば粉が舞ってしまうような、真っ白な土地。ここで育つシャルドネは、骨組みのしっかりとした、程よい酸味があるのが特徴です。
ぶどうは、バイオダイナミック農法で栽培され、手間を惜しまず、ひとつひとつ手摘みしています。生産量はごくわずかになり、そして伝説とも呼ばれる存在に。
ひとつひとつの作業を丁寧にこなし生み出されたワインは、奥深く素晴らしい味わいになり、多くの人々に愛されています。
▶ベルヒル