心地よい酸味のフレッシュピノ

明るい色合いのピノ・ノワール、そして冷涼産地のピノ・ノワールに惹かれる、という方にお薦めなのがこの１本。

ニュージーランドの中でもピノの名産地はいくつかありますが、マールボロのアワテレ・ヴァレーは、その中でも特に「澄んだ酸味」と「凛とした果実味」が際立つワインが生み出されています。 このヴァヴァサワー ピノ・ノワールも、そんな冷涼産地の特徴をとてもきれいに表現していると思います。

ひとくちにマールボロのワインと言っても、そのサブリージョンによって、だいぶ性質が違ってきます。

このアワテレは、太平洋からの風が強い場所。真夏でも日差しはあるのに空気はひんやり。降雨量が少なく、極めて乾燥しています。そして、マールボロの他のサブリージョンよりも日較差（日中と夜の寒暖差）があり、昼間に太陽の光を受けて育ったぶどうは、夜しっかりと養分を保持し、時間をかけて成熟していきます。

そんな厳しくも恵まれた環境で育ったピノ・ノワールは、余計な装飾がなく、でも奥行きがある。まさに「澄んだ強さ」をもったワインに仕上がっています。

使用されているぶどうはすべて自社畑産、手摘みで収穫されます。 果実の大部分は除梗してステンレスタンクへ、一部は全房のまま低温浸漬。 野生酵母で発酵させ、丁寧に手作業でピジャージュ（撹拌）を行います。 発酵後は果皮をプレスし、フレンチオークの樽に移して熟成。 春にはマロラクティック発酵を経て、夏の終わりにブレンドされ瓶詰めへ。

仕上がったワインは･･･・

色は明るいチェリーレッド。香りは、チェリー、ストロベリー、すももなどの明るくジューシーな果実に、トーストやスパイスのニュアンスがほんのりと重なります。 口に含むと、きれいな酸がキュッと引き締め、果実のふくらみと一体に。 余韻には繊細なタンニンとともに、スパイス感を伴ったしっかり長めのフィニッシュが心地よく続きます。

綺麗な酸のため、飲み口はさっぱりしているように感じる。しかし複雑なコクもある。そして、涼しげな印象を最後に残してくれる。実に洗練されたピノです。

ワイン単体でも楽しめる仕上がりですが、もちろん料理との相性も抜群です。

おすすめのペアリングは…

• チキンとヒラタケのトマトソース・リングイネ
• ポークソテー ラタトゥイユ添え
• マグロとマッシュルームのカルパッチョ
• 鮭の味噌焼き
• ブリ・ド・モー＋イチゴジャム＋白コショウ

このあたりを試してみて。夏場は少しだけ冷やして飲んでも美味しくいただけます。

近年、ニュージーランドのピノ・ノワールは全体的に価格が上がってきています。が、ヴァヴァサワー ピノ・ノワール、この品質で4,000円を切っているのでコストパフォーマンスはかなり高いと言えると思います！

トマトソースのパスタ、ラタトゥイユなどトマト煮込みの料理とあいます。マグロのカルパッチョ、鮭の味噌焼きなどの魚料理にも。

ワイナリー「ヴァヴァサワー」について

ヴァヴァサワーは、ニュージーランド・マールボロ地方の中でも特にユニークな産地、アワテレ・バレーの草分け的存在です。

1980年代、この地は冷涼かつ乾燥した気候や強風、岩の多い土壌により、ワイン造りには不向きだと考えられていました。しかし彼らは、この「難しい土地」だからこそ生み出せる特別な味わいがあると確信し、果敢に挑戦を決意。それが成功し、現在アワテレ・バレーはニュージーランドを代表するワイン産地として、世界的に認知されるまでになりました。

独自のテロワール（土壌）がもたらす味わい

彼らのワインを特徴づけるのは、まさにこのアワテレの土地そのもの。

冷涼で昼夜の温度差が激しい気候条件は、ブドウの成熟をゆっくりと進め、鮮やかな酸味と深い味わいをもたらします。岩が多く水はけに優れた土壌は、ワインに明確なミネラル感を与え、その味わいを際立たせます。

こうした土地特有の厳しい条件が、繊細かつ複雑な風味を与えます。

細部へのこだわりと進化するワイン造り

彼らのブドウ畑は100以上の小さな区画に分けられ、それぞれを個別に管理・収穫し、細かな醸造プロセスを経てワインに仕上げています。

野生酵母による自然な発酵や全房発酵、高固形分発酵など、伝統的な製法と現代的な技術を融合させることで、土地の個性を忠実かつ最大限に表現しています。

その卓越した品質により世界的な評価を獲得していますが、受賞歴や評論家の評価を過度に前面に出すことを控えています。

なぜなら、彼らがワインの本質的な品質や土地への忠実さを何よりも重視しているから。

この姿勢は、信頼性や真正性を重視するワイン愛好家に強く共感されています。

土地に深い理解を持つつくり手の存在

醸造責任者ストゥ・マーフェル氏は、アワテレ・バレーで生まれ育った人物であり、この土地の特性を誰よりも深く理解しています。

彼のワインづくりは、土地に寄り添い、その個性を尊重することを基本とし、畑の微生物環境や土壌の特性を緻密に研究し、常に進化と革新を続けています。

彼が手がけるワインには、土地への深い愛情と卓越した技術が融合し、唯一無二の魅力を放っているのです。

ヴァヴァサワーのワインボトルの中には、土地への敬意、挑戦者の情熱、そして職人としての細やかなこだわりが凝縮されています。

産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

ヴァヴァサワー マールボロ ピノ・ノワール 2022（Vavasour Marlborough Pinot Noir 2022）