ドライで複雑な濁りオレンジ

■ ドライで複雑。じんわり旨い。

一口飲んで「うわっ、何これ！」となるような派手さはありませんが、飲むほどに、香るほどに、じわじわと惹き込まれる。そんなオレンジワインがこのワイン。

ドライで、複雑で、濁っている。
でも、その内側にある味わいは、まっすぐで、芯がある。
そんな静かなエネルギーを感じさせてくれるワインです。

■ ブドウ品種の“香りのモザイク”

使われているブドウは、なんともユニークな組み合わせ。

• ピノ・グリ 62%

• ソーヴィニヨン・ブラン 23%

• ピノ・ノワール 14%

• さらに少量のゲヴュルツトラミネール、ミュスカ、ヴィオニエも

白ワイン用のブドウを中心に、赤ブドウも入り、アロマティック品種もほんの少し。
この“香りのモザイク”が、オレンジワインというキャンバスの上に絶妙に配置されています。

栽培はすべてオーガニック認証（BioGro）取得済み。
北カンタベリーの畑に加え、セントラル・オタゴからのブドウもブレンド。冷涼な気候の個性が光ります。

■ 醸造スタイル：ナチュラルで、しっかり“攻めて”ます

このワイン、造りも徹底しています。

• 房ごと発酵する「ホールバンチ発酵」（12～24日間）

• 発酵中にブラン・ド・ノワールの果汁を少量追加

• 熟成はコンクリートタンク、粘土製アンフォラ、古樽で6ヶ月

• 酸化防止剤無添加、無清澄・無濾過

その結果、やや濁りのある外観を持ち、ナチュラルワインらしいラフな見た目ながら、中身はむしろ洗練されています。

■ 香りと味わい：ふくよかで、渋みが効いていて、クセになる

外観は、曇ったような柔らかいオレンジ色。ナチュラルな造りならではの濁りがあり、見た目からすでに個性が光ります。

グラスを近づけると…

• カンパリやオレンジピールのようなほろ苦さ

• 甘いスパイスやドライフラワー、ほんのりハーブ

• 軽く発酵したようなナチュラルワイン特有の香り

口に含むと、果実のふくらみとスパイスが広がり、そこに“しっかりめの渋み”が背骨のように通っている。
この渋みが実に心地よくて、ひと口目では終われない。気づけばもう一杯、手が伸びている。

後味はドライで、塩味のあるミネラル感がじんわりと広がっていきます。

■ ペアリング例：香りとスパイスのある料理とどうぞ

このワインの複雑さと芯の強さは、料理との組み合わせでより魅力を増します。
特に「スパイスと香り」を楽しむ料理との相性は抜群。

おすすめはこんなメニューです：

• チリコンカン（スパイスの深みに、果実味と渋みが寄り添う）

• ジャークチキン（スモーキーな風味とオレンジピールの苦みがリンク）

• クミンを効かせたローストチキン（香ばしさとタンニンが絶妙なバランス）

• グリーンカレー（ハーブとココナッツの複雑さに、アロマと酸がマッチ）

• 魯肉飯（ルーローハン）（八角の香りと甘辛さに、ほのかな塩味がぴたり）

• セビーチェ（柑橘と塩味に、果皮のニュアンスと酸が重なります）

香り×香り、スパイス×渋みの“かけ算のペアリング”が楽しいワインです。

ワイナリー「ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤーズ」について

ニュージーランド南島・カンタベリー地方のなだらかな丘陵地に佇む「ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤーズ」。そのワインを口に含んだ瞬間、あの土地の風や光、そして静けさがふっとよみがえるような感覚に包まれます。ペガサス湾から吹く涼やかな風、広がる星空、羊のいる牧草地──ニュージーランドを愛する方なら、誰もが懐かしさを覚える景色です。

自然の力を尊重したワイン造り

このワイナリーは2000年、マイク＆クローディア・ワーシング夫妻によって設立されました。「土地の声をワインに語らせる」という信念のもと、化学物質を一切使わないビオディナミ農法を実践。畑は月のリズムに合わせて耕され、醸造では培養酵母を使わず、自然酵母による発酵を行っています。人の手はあくまで自然を“導く”存在にとどめ、ブドウそのものが持つ力とテロワールを最大限に引き出しています。

新たな世代による挑戦

現在は、ニュージーランドを代表する醸造家スティーブ・スミスMWと、米国の実業家ブライアン・シェス氏がこのワイナリーを引き継ぎ、セントラル・オタゴにも畑を拡大。それぞれの土地の個性を活かしたピノ・ノワールやシャルドネは、世界のワイン専門誌からも高い評価を受けています。なかにはVinousで97〜98点という高得点を獲得したキュヴェもあります。

一杯に込められた、ニュージーランドの記憶

グラスの中のワインが語るのは、単なる味わいだけではありません。その一杯には、自然への敬意、造り手の情熱、そしてニュージーランドという特別な土地の記憶が詰まっています。ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤーズのワインは、ニュージーランドを心から愛する皆さまに、あの国の風景と想いをそっと届けてくれることでしょう。

産地ノースカンタベリーについて

ノース・カンタベリーは、ニュージーランド南島の東海岸に広がる注目のワイン産地です。冷涼で乾燥した気候、豊富な日照、長い生育期間により、ピノ・ノワールやシャルドネ、リースリングなどが高品質に育ちます。石灰岩や粘土質を含む多様な土壌も、この地のテロワールを個性的にしています。

この地域には家族経営の小規模ワイナリーが多く、職人的なアプローチでワイン造りが行われています。中でもワイパラ・ヴァレーは、温暖な微気候と土壌の特徴から、特にピノ・ノワールとリースリングの優良産地として知られています。また、カンタベリー・プレインズでは平地を活かした栽培が行われています。

ノース・カンタベリーは、今まさに世界が注目するプレミアムワインの産地です。

ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤーズ ノース・カンタベリー ソーヴィニヨン プラス 2023（Pyramid Valley Vineyards North Canterbury Orange 2023）