やわらかいボルドーブレンド

ニュージーランドでは冷涼な気候の影響で、赤はボルドー品種よりもピノ・ノワールが主流です。

しかしそれでも挑戦を続け、手頃な価格でボルドーブレンドを作り上げた生産者がいます。

そのひとつが、南島ネルソンのサイフリード・エステート。

サイフリード・エステートは、ネルソンの開拓者でもあるヘルマン・サイフリード氏が率いるワイナリーです。

彼らのバリューブランド「オールド・コーチ・ロード」は、果実味豊かな親しみやすいワインとしてニュージーランド本国でも人気のシリーズとなっています。

この「マルベック カベルネ・フラン メルロー」は、冷涼な南島でもボルドーブレンドを可能にするという彼らの意欲作。

ぶどうは、海岸線から数キロに位置するネルソンの「クローバーロード」と「ブライトウォーター」の畑で育てられています。どちらも南側にリッチモンド山脈が広がっており、この高い山のおかげで強烈な南風を防ぐことが出来ています。

また、両方の畑ともに岩や小石が多く、そのおかげで冷涼地であっても地表は熱をしっかり保持しています。これがぶどうの成熟を助けているのです。

ちなみに、こちらがサイフリード・エステートのセラードア（試飲直売所）。すぐ隣にはバラが植えてあります。

「バラはぶどうより先に病気になるので、病気のセンサーとしてバラを活用しているんです」とワイナリーの方はおっしゃっていました。

セラードアのスタッフさん、とても親切にひとつひとつのワインについて教えてくれました。

では、オールド・コーチ・ロード マルベック カベルネ・フラン メルロー 2020、改めていざ試飲です。

テイスティングノート

色調は控えめで赤みがかったトーン。

香りは、ラズベリーのような酸味のある赤い果実やスミレを思わせるフローラルなニュアンスに、ナツメグやクローブのスパイス感が絶妙に混ざり合います。

口に含むと、柔らかく明るい印象。さくらんぼやすもものようなフルーティーな味わいが広がります。渋みは控えめで後味にはほんのりスパイスが残ります。

濃厚で渋みの強い伝統的なボルドータイプではなく、フルーツ感と透明感のある爽やかなボルドーブレンドに仕上がっています。

おすすめのペアリング

このワインには以下のような料理がよく合います：

• 生ハムとマッシュルーム、ルッコラのサラダ
  
• マグロのタルタル
  
• ローストチキン（ローズマリーとベリーのソース）
  
• 肉じゃが
  
• 豚肉の生姜焼き

割と幅広い料理とあわせられますが、相性アップのためには、重くないこのワインとバランスを取るために、味つけは「濃すぎない」ことが重要です。

牛肉でも良いのですが、やややさしい鶏肉や豚肉料理の方がよくマッチします。

ワイナリー「サイフリードエステート」について

サイフリードエステート（Seifried Estate）は、オーストリアからの移民であるサイフリード夫妻によって開かれたワイナリー。1970年代からぶどう畑を開梱し、今ではネルソン地方で最も歴史のあるワイナリーとして知られます。出身地であるオーストリア系やドイツ系の品種を得意とし、数々の国際コンペで受賞も果たしています。

産地ネルソンについて

「ネルソン」は南島北部に位置し、年間日照時間が非常に長いことから「サニーネルソン」の愛称で親しまれています。

比較的小さなこの産地では、ブティックワイナリーと呼ばれる小規模のワイナリーがほとんどです。

豊富な日照量を活かし、主にシャルドネや、ソーヴィニヨン・ブランやリースリング、ピノ・グリなどアロマティックな白ワインが生産されています。赤ワインではしっかりとしたフルーツ感のあるピノ・ノワールが人気です。またネルソンは、ホップや果物の産地としても有名です。

オールド・コーチ・ロード マルベック カベルネ・フラン メルロー 2020（Old Coach Road Malbec Cabernet Franc Merlot  2020）