オールド・コーチ・ロード リースリング 2023

甘酸っぱさが心地よい

このリースリングの特徴はなんと言ってもコストパフォーマンスの高さです。

日本に輸入されているニュージーランドのリースリングの中で、最もリーズナブルな価格のワインのひとつと言えるでしょう。

なぜこの価格が実現できているのか。

それは、このワインをつくっているワイナリー「サイフリード」による並々ならぬ思いがあったから、と言えるでしょう。

サイフリードは、オーストリア出身でドイツでワインづくりを学んだヘルマン・サイフリード氏によるワイナリーです。

ドイツやオーストリアでの人気品種であるリースリングを、移住先のニュージーランドでも人気にしようと、1973年から南島のネルソンで栽培し続けています。

1970年代と言えば、まだニュージーランドではワイン生産がさかんではなかった頃。そんな時期からずっとリースリングをつくり続けているわけです。

つまり、サイフリードは、ニュージーランドにおけるリースリングの先駆者。

「故郷の特産品であるリースリングを多くの人に飲んでもらいたい」というサイフリード氏の思いは息子たちに受け継がれ、ぶどう畑は徐々に拡大し、今やネルソンでは屈指の広さの畑となっています。

そして、現代的なワイン醸造システムを取り入れることで、ワインの生産量も飛躍的に上がり、他のワイナリーに比べて安価なワインが供給できるようになったというわけです。

もちろん品質は申し分ないです。

「オールド・コーチ・ロード」は、サイフリードのラインナップの中ではエントリーのシリーズ。中でもリースリングは創業者ヘルマン・サイフリード氏の肝煎りとあって、やはり秀逸です。

香りにはほんのりとしたオイリーさがあり、口に含むと青リンゴや柑橘類のような、心地よい酸味を伴う果実味がしっかりと感じられます。

そして、後味にはまるみのある蜂蜜のような甘みが長く続きます。残糖は12.1g/L。甘すぎない、絶妙なチューニングです。

特に2023年ヴィンテージは、お花や生姜のようなニュアンスもあり、それらの複雑な要素がフルーティーさをさらに引き立てています。

単体でも楽しめますが、料理とあわせるならば、ソーセージやザワークラウト、ベッケオフのようなドイツ料理がよいでしょう。

また、海老フライ、ホタテフライ、白身魚のフリットなど、魚介の揚げ物も好相性です。

冷蔵庫に１本あると重宝すること間違いなし。飲み残しても３〜４日は美味しく楽しめます。

ちなみに、先日野外のイベントで様々なニュージーランドワインを提供したのですが、断トツで一番人気だったのが、このオールド・コーチ・ロード リースリングでした。

この甘酸っぱい味わいはアウトドアに非常にマッチするということがよくわかりました。

今度、僕もキャンプに持って行こうと思います！

ワイナリー「サイフリードエステート」について

サイフリードエステート（Seifried Estate）は、オーストリアからの移民であるサイフリード夫妻によって開かれたワイナリー。1970年代からぶどう畑を開梱し、今ではネルソン地方で最も歴史のあるワイナリーとして知られます。出身地であるオーストリア系やドイツ系の品種を得意とし、数々の国際コンペで受賞も果たしています。

産地ネルソンについて

「ネルソン」は南島北部に位置し、年間日照時間が非常に長いことから「サニーネルソン」の愛称で親しまれています。

比較的小さなこの産地では、ブティックワイナリーと呼ばれる小規模のワイナリーがほとんどです。

豊富な日照量を活かし、主にシャルドネや、ソーヴィニヨン・ブランやリースリング、ピノ・グリなどアロマティックな白ワインが生産されています。赤ワインではしっかりとしたフルーツ感のあるピノ・ノワールが人気です。またネルソンは、ホップや果物の産地としても有名です。

オールド・コーチ・ロード リースリング 2023（Old Coach Road Riesling  2023）